ケージでもリングでもストリートでも、どこでも試合してきた
──アルバレス選手、試合まであとわずかとなりました。今の調子はいかがでしょうか。
「調子はいいよ。すごくいいね。とても有意義なトレーニングキャンプをして来た。減量も問題ないし、準備はできているよ」
──以前、「この試合に勝てば次はタイトルマッチだ」と言っていました。タイトルマッチ(現王者はクリスチャン・リー)に名乗りを挙げるのに、勝ち方に何かこだわりはありますか。完全決着でこの試合を終えることでしょうか。
「もちろんだよ。もし完全決着で勝てば、次は当然タイトルショットだろう。ただ俺はプロモーターではないから。俺は、ただ勝つために来たんじゃない。勝つっていうことは、ファンを魅了させるってことだ。だからケージに入ったら考えるのはいつもそのことさ。ファンの注目に値する試合をすることだ。ファンのために完全決着で試合を終わらせることを望んでいるし、準備はできている」
──37歳で、ある意味限られた時間の中で、コロナのパンデミックで1年の時間を失いました。再び試合に戻ることについてどんな気持ちでしょうか。
「俺はクリティカルな人間でね。俺が37歳であろうとそれがキャリアの限界を示すものではない。好きなことをやって来て、もうすぐ20年のキャリアを迎える。その中で、この期間はある種、自分への癒しの時間でもあった。さっきも言ったようにもうすぐ20年、少し時間が空いただけで、何も傷つくことはないよ。(時間が空いたことは)それは自分の問題ではなく、みんなが同じく直面した世界的な問題だ。ただ、世界王者なら逆境に直面した時はいつだって、それに順応して方向転換するだけさ。方向を変えて自分の手段の範囲内で出来ることを実行するんだ。俺にとっては、家族の面倒を見ること、子供を養うこと。第一に、俺は父親であって夫である。より良い父に、夫になるチャンスをもらっているとも考えたよ」
──ご自身のキャリアにおいて、3つの異なる団体(UFC、Bellator、ONE)でベルトを獲得するということはどんな意味がありますか。
「3つの異なる団体でベルトを獲得するっていうのは、ライト級MMAでは初めてのことだと思う。5年くらいの(短い)期間、エネルギーを持って最高のアスリートで居続けることはある意味で可能なこと。でも俺にとっては、もうすぐ20年。世界を渡り歩いて戦い、チャンピオンになって、またチャンピオンになって。一つの場所に留まらず、どんな挑戦者も受け入れて来たよ。最終的に俺の“履歴書”がそれを物語るだろう」
──3つめのベルトキャリアを狙い、ライト級で最高の選手に相当すると思いますが、他のライト級選手でハビブ・ヌルマゴメドフ、BJ・ペン、ダスティン・ポイエーなど、最高と言われている選手と比べるとご自身はどうでしょうか?
「(自分が1番で)みんな2番目だね」
──前回、米国で試合が放送されたのは3年前のダスティン戦(2018年7月のUFCで2R TKO負け)でした。3年経って再び米国のテレビで中継されることはご自身にとってどんなことでしょうか。
「幸せなことだし楽しみだよ。母国のファンを失いたくないしね。アジアで戦うことは大好きだ。ある種、アジアで戦って来たこの経験は、俺が何者なのかを証明してくれたようなものだし。さいたまスーパーアリーナや両国国技館……アジアに行って、ファンのみんなに向けて戦うことは夢だったしそれが叶った。でも最終的に自分の母国のファンに向けて、自分のファンや友達や家族が俺の試合を見ることが出来るTNTの大会で試合をするのは、ONEとサインした時からの夢だったし、その可能性について話し合ってきた。それが今、現実になっているよ」
──TNTで放送される大会ということで、アメリカのファンに自身の存在を忘れさせないようする良い機会になると。それはモチベーションになりましたか。
「もちろんだよ。アメリカのテレビでライブ放送されて、自分がコ・メインイベントに抜擢されるなんて、それは見せ場だよ。もう俺のショーだよ、そう感じるね。若返らせてくれるし、活力を取り戻せるよ。もう一つ上のレベルでトレーニングをするモチベーションになったね」
──試合は平日と週末のどちらががいいですか。
「何曜日でも試合をするさ。火曜日でも土曜日でも。週に2、3試合して来たこともあるし、ケージだってリングだってストリートだって、関係なくどこでも練習するし試合もしてきた」