修斗でもONEでもどちらが来ても大丈夫なように練習していた
――2回目の隔離生活はもう慣れてきましたか。
「前回とちょっとずつ勝手が違うんですけど、いい部分もあり、ちょっと前回のほうが良かったなと思う部分もあり、ですね。というのも、前回はバスタブがあったんですよ、各部屋に」
――じゃあ半身浴とかもできないんですね。
「そうですね。サウナとかも無いみたいで、一応確認はしたんですけど、ただ、プールとかウエイトジム系を今回使えるので、運動はできるんですけど、運動以外では汗かけないという」
――ところで、前戦リト・アディワンにキムラを極められたとき、山上幹臣さんの試合(タイガー石井戦)が思い浮かんだそうですね。
「思い浮かびましたね、試合中に。あの試合を自分、リアルタイムで見ていて、あっ、山上さんのときと同じじゃんって」
――アディワンの動きは当然想定していた。それでもかかるというのは、アディワンの極めの強さなのでしょうか。
「警戒もしてましたし、ぶっちゃけ言うと、あそこまでいくことも想定してたので。たぶん僕がいくら頑張ったところで、あそこまで持って行くだろうなと。もちろん前段階で止めておけるのが一番良かったんですけど、あそこまでいった場合もどうにかしようというのはずっと頭の中にあったんです」
――あの体勢になったときのエスケープまでシミュレーションしてきたと。
「そうですね。あそこまでいく想定はしてました」
――とはいえ、バキバキと音が鳴っていたようですね。
「鳴ってました。2回鳴りました」
――よく凌ぎましたね。
「やっぱ一応修斗のチャンピオンで、ベルト持って、シンガポールまで来てて、1Rで一本取られてタップしてって……日本帰れないですよね」
――その意地が出たと。あそこまで持って行かれることも想定していたことでパニックにならなかったのですね。
「そうですね。あそこまでいくと人ってテンパると思う、パニックになっちゃうと思うんですけど、想定をしていたというのもあって、けっこう冷静にはできたかなと思います。あそこまでいってて、ダメージが無かったとは言えないですけど、別に骨に異常は無かったので、多少のリハビリで強度を落として練習しながら徐々に戻してきました」
――リト・アディワンは、「試合後に映像を見たらタップしているように見えた。ただ箕輪がタップしてない、と言うのであれば、もう1回戦って決着をつけるしかない」とコメントしていました。
「まずタップしてないんですよ、実際。タップしてたら相手も分かると思うんですよ」
――あの手の動きは足を触ろうとしていたんですか。
「いや、取られた手を取りに行こうと。ハマった手を反対の手で、クラッチを組みに行こうとしたら、想像以上に回っていて。だから俺、たぶん胴も触ってないと思うんです。自分の手を触りに行って、触れなかったので。実際、俺も試合中に“ヤバい、これタップっぽいかな”と思ったんです。それで回る(前転)ほうを選択したんです。で、再戦ですか。リト・アディワン、再戦したいって言ってるんですか。僕はできればしたくないですけど(笑)。
決めるのは僕らじゃないんで。もし再戦しろということなのであれば、しなきゃいけなくなるでしょうし。お互いどっちかが先に上に行っちゃうのかもしれないですし。どこでどのタイミングで再戦するかだと思います。おそらく2人ともこの先残っていくと思うので、今すぐじゃなくてもいいんじゃないのかなというのはあります」
――あの後、アディワン選手は川原波輝選手と対戦しました。あの試合を見て、率直にどう感じましたか。
「アディワン強ええと思いました。僕の試合からの成長ぶりというか。僕は彼の良さを消したような試合だったので、テイクダウンして、アディワンの一撃の強さとか、そういうのを消して・消して勝った。でも、そうじゃなく戦ったアディワンは、やっぱり強ええなと思いました。スタンドも強いですけど、それまでの野獣性みたいなのがちょっと抑えられていましたね」
――確かに見ることが出来ていました。
「そうですね。しっかりきちっと距離取って見てという感じで。また一段と強くなったんじゃないですか」
――周囲もどんどん成長していることを感じながら、箕輪選手は今回のアレックス・シウバ戦が決まるまではどのように過ごされてきましたか。
「もう1回、ONEからオファーが来るんじゃないかなというのがあったので、修斗の防衛戦との兼ね合いもあったんですけど。先に声かけていただいたのがONEだったので、今回はONEに出させていただきました。修斗になろうが、ONEになろうが、どっちが来ても大丈夫なように、全体的なスキルアップをしていました」
――年末年始も3カ月間、いいコンディションを保ってきたのですね。
「基本的に試合期間じゃなくても、ずっと練習はしているので。それに日本でも2月に試合があるかもしれない、と言われてたんです。1月の頭にONEからお話をいただいて、修斗が防衛期限過ぎてから連絡が来たんです。なので、ちょっと修斗のほうが遅くて、そのときは出られなかったですが、別に修斗を捨てる気はないので、今回は修斗がどれだけかっていうのをONEで見せたいと思っていました」