「後に引けない状況を作り出すのがプロ」
地上波のメリットとともに、会場に訪れるコアな格闘技ファンにとっては、国内最高峰の大会であってほしいという声も高い。
そのジレンマを平本は「『もっと一般層に届けたい』とか『お茶の間に届けたい』って言葉。俺にはその言葉は『本当の格闘技のファンなんてどうでもいい』っていう意味に聞こえる。そんな奴とは本質から合わない。俺は存在と闘いで格闘技ファンも一般層も、全ての人を魅了してみせる。俺なら絶対できる」と、K-1からMMAに転身した自身の戦いへのモチベーションに変えている。
SNSで舌戦を繰り広げる朝倉も、実は平本の姿勢を認めている。
「結局、観たい試合って、平本蓮vs.萩原恭平みたいなああいう試合だと思う。あの試合が一番楽しみという人は多い。失う物が多いし、リスクも背負ってあんだけ盛り上げている。プロフェッショナルですよね。あんだけ言って勝ったら、平本蓮とかすごいじゃないですか。幻想抱かせて『マジで強いじゃん、どうなの? 次、朝倉未来とやってどうなの?』って思わせられたらすごいし、そこで勝っていったら、俺もやりたいねとなるよね」と、敗者が全否定される状況に自ら追い込んで、試合を煽っていると評価する。
そして、ファイトスポーツにおけるプロの在り方を、「そういう見せ方が出来る人が増えてくれば、格闘技が盛り上がる。謙虚なのはもちろん大事だし、謙虚なんてみんなそうだよ。リスペクトしているに決まってるんですよ。あんな辛いことをやっているんで。俺も対戦相手をいつもリスペクトしている。矢地君ともあんなバチバチにやっても、今朝も一緒に練習したし、試合が終わったら関係ない。でも、試合が終わるまでは、“後に引けない状況を作り出すのがプロ”だと思います」と語った。