格闘技が好きで、まだ諦めていない。朝倉選手にも堀口選手にもリヴェンジを(扇久保)
海戦の敗戦を経て、RIZINが用意したのは、金太郎を下して勢いにのる瀧澤謙太だった。勝者同士あるいは敗者同士を戦わせるのではなく、敗者と勝者を戦わせるマッチメーク。再起戦にしては厳しく、四天王としては壁になることが求められ、上を目指す者にはこれを越えられなければどのみちトップにはたどり着けないとステップボードにすることが期待されるカードといえる。
扇久保はこの“カラテキッド”について、「ヒザ蹴りが強い。ウチの佐久間健太ともやっていて(2016年11月佐久間が判定勝ち)、先にダウンを奪われながらも瀧澤選手が盛り返して、セコンドで見ていてすごい気持ちが強い選手だなと思いました。殺傷能力もあって、すごいいい選手ですね」と印象を語る。
接戦だった金太郎戦は、「瀧澤選手の勝ちかなと思って見ていました。(朝倉海と同じ)長身で同じようなタイプなのか、どうかな……、向かい合ってみてスピードがどのくらいあるのか」と、あらためて海のスピードが並外れて速かったことをうかがわせつつ、瀧澤とは対峙して体感してみないと分からない部分もあるとした。
大阪には「いい思い出しかない」という。2011年4月に修斗環太平洋フェザー級(-60kg)王座を獲得した松本輝之戦、2014年にカナ・ハヤットに一本勝ちした「VTJ 5th」、も大阪だった。
これまでRIZINでは、堀口恭司、元谷友貴、石渡伸太郎と各団体の王者同士、競い合う試合だったが、今回、初めてランカーを迎え撃つことになる。
「RIZINでは“迎え撃つ”ような試合は初めてかもしれないですね。修斗では防衛戦でそういう試合をいっぱいしてきましたけど。タイトルマッチでいろいろ気負い過ぎたので、自然体でいければと思っています」と、よそ行きファイトではなく、自身の持ち味を生かした戦いをするつもりだ。
「マジで勝ちます、今回は。申し訳ないですけど、面白い試合とか、もう今回は考えません。思う存分“扇久保博正”を出したいと思います」と語ると、“おぎちゃん”の顔に戻り、「今回はとりあえずSNSはすべて遮断して、山に籠ろうかと思っています」と笑顔を見せた。
これまで戦ってきた相手と比べれば、キャリアの差は歴然だ。それでも警戒を怠らない扇久保には、修斗王者としての自負もある。
「全然、油断はしてないですし、強い選手なのでいい試合になると思います。気持ちの勝負ですね。僕、PANCRASEの石渡選手にもDEEPの元谷選手にも勝っているんで、2人とも元バンタム級のチャンピオンですか。僕、フライ級ですけど、レベルが違うんだぞっていうのはやっぱ見せなきゃいけないかなと思っています。自信があるので、そこを見ていただければ」
前戦での後悔が、敗戦直後は「辞めよう」と思った現役に踏みとどまらせた。「やはり格闘技が好き。そしてまだ諦めていないので。朝倉選手にも堀口選手にもリベンジしたいと思っている」と、扇久保は改めて朝倉海と堀口恭司へのリベンジを誓っている。