高校でレスリング部所属も「いまだに自分からタックルに行ったことが無い」(瀧澤)
一方の瀧澤は、9月27日に金太郎に競り勝っての2カ月間隔での連戦となる。
「前回、金太郎選手との対戦でKO出来なかったんですけど、今回しっかり皆さんの前でド派手なKOが出来るようにしっかり作り上げます。9月と連続の11月で今回、四天王のトップの扇久保選手とできることにすごく感謝してます」と、“四天王”と呼ばれる扇久保博正、元谷友貴(11.1 DEEPで米山千隼戦)、石渡伸太郎、佐々木憂流迦のなかでも、いきなりトップコンテンダーと対戦が決まったなかで“ド派手なKO”と自信も見せた。
「扇久保選手の印象はパンチと組みの選手。気持ちは僕のほうが強いと思うんで、気持ちで飲み込んで勝ちに行きたいと思っています。もちろんベルトを狙います」と、あくまで強気の瀧澤は、扇久保戦を足がかりに王座戦線に名乗りをあげるつもりだ。
金太郎戦後、空手の先輩である鈴木信達のYouTubeチャンネルに出演した瀧澤は、近年の成長について、組み技・寝技の進化が、打撃の進化もうながしているという。
「もともとは寝技に穴があったけど、いまは寝技にも自信が出来たので、誰とやっても相性が悪いと思う選手はいない。練習では寝技のトップクラスの選手とやるようになって極められないようになってきたので、これからは“より総合格闘技の戦い方”を出して行こうと思っています」
本誌で既報通り、“公園柔術家”として知られるGTFフェザー級王者・岩本健汰(IGLOO)とグラップリングの練習を積むことで、寝技の不安が解消され、さらにEXFIGHTで高谷裕之から学んだ“重心が浮かない蹴り方”で、「蹴り終わりも重心が浮いていないので、相手の組みを切ることが出来ます。ようやく空手がMMAの中で落とし込めるようになりました」という。
幼少時からフルコンタクト空手に慣れ親しんだが、高校の部活では将来的にMMAをやるためにレスリング部に所属していた。
「いまだに自分からタックルに行ったことが無いんです。足を触ったことが無い。(タックルを)切って打撃、切って打撃。でもほんとうは出来るんです。今までは寝技に自信が無かったから、レスリング力はあっても試合で寝技をやるスキルまでに到達していないと思ってタックルに行かなかった。打撃で倒せるのに、わざわざ寝技を使うリスクを取る必要は無いと考えていたんです」
MMAのなかで弱点を克服することで、これまでの軸がより生かせるようになってきたという。
「今までは“負けない戦い方”を研究してきた。テイクダウンデフェンスと寝技のデフェンス、でも今後はもっと簡単に勝てるような戦い方を勉強していて、そろそろ出したいなと思っています」
総合力で上回るのは扇久保だ。扇久保にしてみれば、前戦での反省を生かし、自身の強みである組みを交えた戦いでキャリアの差を見せつけたいところだろう。
打撃ベースで組み技も磨いてきた朝倉海の進化に近い道筋を辿っている瀧澤だが、海よりは蹴りの比重が高く、海ほどのパンチ力は見せていない。海が扇久保を攻略した動きを瀧澤は別の形で作る必要がある。
1年8カ月前にリアネイキドチョークで一本負けしたハファエル・シウバと似た強みを持つ扇久保を相手に、組みの展開でどう戦うか。レスリング解禁は瀧澤にとって新たな武器となるが、MMAのグラウンドは扇久保の庭。やはり、そのレスリング力を徹底してデフェンスに使ったときに、瀧澤の真価は発揮されるだろう。
「各団体のチャンピオンが集まっているRIZINのバンタム級のレベルは高い。ごちゃごちゃしているので、僕が四天王のトップに勝って、もし(大晦日に)海選手が負けたら、朝倉海選手とやりたいです。一番やりたいのは海選手ですね」という瀧澤。リベンジを目標に「ここでしっかり勝って来年に繋げたい」という扇久保。決戦まであと1カ月、勇猛な“雄鶏”たちはいまこの階級にいる。“黄金のバンタム”は、大晦日の朝倉海vs.堀口恭司に向け、まだまだ加熱しそうだ。