▼DEEPJEWELS KICKルール 63kg以下 3分3R
○KINGレイナ(K-Clann)63.0kg
[判定2-1] ※29-28×2,28-29
×熊谷麻理奈(WSRフェアテックス札幌)61.95kg
KINGレイナは、2019年10月大会で63kg契約のMMAの試合を2.3kgの体重超過により失格に。2020年2月24日の前戦ではタイのアンドレ・ザ・ロケットを相手にフェザー級(66.3kg※王座戦以外は+0.5kg含む)契約で戦い、1R3分29秒、マウントからのパウンドでTKO勝ちしている。
当初は、5月6日の『DEEP JEWELS 29』後楽園ホール大会で、悪夢の63kg契約で超弁慶(ガムランナック)と対戦予定だったが、5月大会が中止に。今回の8月23日大会で、対戦相手を変えて半年ぶりの復帰戦に臨むことになった。立ち技ルールは、2018年7月のシュートボクシング「Girls S-cup」でのキム・ヨンギ戦(KINGレイナが判定勝ち)以来となる。
対する熊谷麻理奈はWSRフェアテックス札幌所属。“北の女武芸者”と呼ばれるマルチファイターで、元々はアマチュアボクシングで活躍しキックボクシングに転身。さらに2018年5月にはMMAにも挑戦(Road FC 47で女子バンタム級(-61.2kg)でジン・インチャオに判定負け)、同年9月には、素手にバンテージのみで戦うラウェイにも出場し、4R判定無しのドローとなっている。
2019年6月30日の「ノースエリア格闘技イベントBOUT37」では、57kg契約で熊谷がチェ・ウンジ(MAXFC/FEARLESS-GYM)に判定3-0で勝利。そのチェは、2018年6月の「DEEP JEWELS 20」でMMAルールでKINGレイナに1R リアネイキドチョークで敗れており、韓国の強打者相手にともに勝利している者同士の対戦となる。
立ち技を本職とする熊谷はチェ戦で、174cmの長身を活かし、インファイトに持ち込みたいチェを懐へ入らせずにカウンターのヒザ蹴り・テンカオをボディに突き刺すなど、クレバーな試合運びで主導権を握っている。また、ラウェイでも長身から右ハイキック、左ミドルを当てており、160cmのKINGレイナは戦いやすい相手と言える。
しかし、-57kgでも戦える熊谷にとって、-63kg契約での立ち技はどんな戦いになるか。KINGレイナは前戦アンドレ・ザ・ロケット戦では、右ストレート、右のカーフキック&ローキック、ジャブから下につなげるなど上下に散らした攻撃で完勝後、「以前のKINGレイナよりもさらにいい動きで、新しいKINGレイナとして再スタートできるような試合だったんじゃないかな」と自己評価。
「できれば海外の選手たちが本当に強い61.2kg(バンタム級)くらいの階級とか。絞って筋肉が見えてきてカッコいい身体になるって理想があるのでそれを目指して頑張ろうと思っています」と、語っていた。今回の63kg以下は、その念願の契約体重に近いと言える。KINGレイナはこのコロナ禍のなか、ドライフルーツの食事療法で本格的に肉体改造に着手した成果を出せるか。
対する熊谷は「初めて減量無しで戦います」と言い、今回のキックルールでは得意の首相撲は無いが、「(掴まないヒザ蹴りの)テンカオは使いたい。ほかにもレパートリーは増やしてきました」と自信の表情。さらに、8年間のアマチュアボクシングの経験を活かし、「パンチのテクニックには自信があります。ぜひ観てほしいですね」と、レイナとのパンチ技術の差を見せつけるつもりだ。
1R、ともにオーソドックス構え。右を振るレイナは作戦通り金網に詰めての右のオーバーハンドを振る。熊谷はジャブから右ストレートが伸びる。左ジャブも伸ばすレイナだが、左右を返す熊谷は、右から左を当てて右のテンカオ! しかしレイナも熊谷の右の蹴り足を掴んでから上体を伸ばしておいて左右を連打する。
2R、右ローを突くレイナは遠い。さらに左右で詰めるが、熊谷はさばきながらジャブ。金網まで詰めるレイナに体を入れ替える。左インローは熊谷。レイナの左右を避けて下がりながらもパンチを伸ばす。
3R、いきなり左ハイは熊谷。ブロックするレイナの左右の打ち返しに左フックを当てる熊谷! さらにボディストレート。前蹴りでストッピングする熊谷。さらにテンカオも。大きな右を振るレイナ。右を受けるが、熊谷は離れ際に右ハイ! レイナの右に左ジャブを合わせる。さらに右ストレートにレイナのスウェイは避けきれずアゴが上がる。差して金網に押し込むレイナは左右を連打するが、熊谷も最後は打ち返してゴング。
判定は2-1(29-28×2,28-29)でレイナが勝利。レイナは前に出たことが評価されたか。有効打数では勝ったように見えた熊谷にとっては厳しい判定となった。試合後、レイナは「コロナの中、たくさんの応援、ありがとうございます。シュートボクシングに続き、初めてのキックルールで苦手意識があり、攻め切れてなくてすみませんでした。もっともっと成長できるように頑張ります」と反省しきりだった。