【写真】2020年2月8日にドミニク・レイエスに判定勝利し、UFC史上最多タイトルマッチ勝利「14勝」をマークしたジョン・ジョーンズ(左)。ライトヘビー級王座返上を発表している。(C)Josh Hedges/Zuffa LLC/UFC
2020年8月17日(日本時間18日)、UFC世界ライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズ(米国)とUFCが同王座の返上を発表。UFCは18日(日本時間19日)、9月26日(日本時間27日)の「UFC 253」でドミニク・レイエス(米国)vs.ヤン・ブラホビッチ(ポーランド)によるUFC世界ライトヘビー級王座決定戦を行うことを発表した。
ジョーンズは、2020年2月の前戦で、当時MMA12戦無敗だったドミニク・レイエスと対戦。判定3-0(48-47×2, 49-46)ながら接戦の内容で5Rの死闘を勝利。UFC史上最多タイトルマッチ勝利記録となる「14勝」をマークした。
これまでMMA26勝1敗の戦績を誇るジョーンズはライトヘビー級で、ダニエル・コーミエー、アレクサンダー・グスタフソン、アンソニー・スミス、チアゴ・サントス、ヴィトー・ベウフォート、チェール・ソネンといった名だたる強豪たちを打ち負かしてきた。
ジョーンズはSNSで、「UFCとの電話を終えたばかりだ。本日(17日)ライトヘビー級王座を返上する。正式に争奪戦になるだろう。驚くべき旅路だった。すべての対戦相手、UFC、そして最も重要なファンに心から感謝している」と投稿。さらに、「サラリー(契約金)について交渉は無かった。それが変わるなら、俺は(オクタゴンに)戻ってヘビー級ファイターとして再び競争したい。それまでは、ファンとしてUFCを楽しみ、家族やコミュニティの世話をするために最善を尽くす」と、条件次第でヘビー級に転向することを示唆していた。
続けて、「ちょうどUFCと本当に前向きな会話をしたところだ。次のヘビー級での試合の交渉があるだろう。全ては朗報だし、体重増量のプロセスが始まる」「俺の家族のサイズを見たかい? 少し体重を増やすことで、俺の真の遺伝的・運動的能力が引き出されると本当に信じている」とヘビー級でさらなるポテンシャルを発揮できると豪語している。
そのツイートから4時間後、UFCはツイッターで、9月26日の「UFC 253」でドミニク・レイエス vs. ヤン・ブラホビッチによる「UFC世界ライトヘビー級王座決定戦」を行うことを発表。その報を受けてか、ジョーンズは「One man's trash is another man's treasure(一人の男のゴミは別の男の宝物)」と皮肉めいた言葉を投稿。すぐさまレイエスが「あとでお前をつかまてやる」「耄碌したことを言うな」と反論している。
One man’s trash is another man’s treasure
— BONY (@JonnyBones) August 19, 2020
I'll catch you later JB https://t.co/C9ZpNgmUMS
— Dominick Reyes (@DomReyes) August 17, 2020
— Dominick Reyes (@DomReyes) August 18, 2020
また、16日には「今夜これらのヘビー級(スタイプ・ミオシッチvs.ダニエル・コーミエー)は、俺にはそれほど大きく見えない」「スタイプの右手を避けろ。俺は速すぎるし、タイミングが合えば強すぎるし、エネルギーがありすぎる。そしてすぐに、この地球上で最も悪い男と思われるだろう」と、思わせぶりにツイートしていた。
ジョーンズが転向を模索するUFCヘビー級戦線は、今回コーミーを相手に王座を防衛した王者スタイプ・ミオシッチを筆頭に、1位にフランシス・ガヌー、2位にカーティス・ブレイズ、3位にコーミエー、4位に元RIZINのジャルジーニョ・ホーゼンストライク、5位にデリック・ルイス、6位にアリスター・オーフレイムといった強豪たちが並ぶ。
2020年5月には、ヘビー級でガヌーとの対戦を要望するも、金銭面でUFCと折り合わなかったとされるジョーンズ。「ヘビー級タイトル、会いに行くよ。勝つぜ!」とSNSでは意気込んでいるが、ヘビー級初戦はいつになるか。
一方、ジョーンズが王座返上したライトヘビー級では、1位のレイエスと3位のブラホビッチが対戦し勝者が王者に。ほかにも2位のチアゴ・サントス、4位のグローバー・テイシエラ、5位のアンソニー・スミス、そして6位には7月のUFCデビュー戦でヴォルカン・オーズデミアを2R KOに下した元RIZINライトヘビー級王者のイリー・プロハースカが名を連ねている。ライトヘビー級の新たな王者は、彼らの挑戦を受けて行くことになる。
そんな慌ただしい重量級のなかで、8月16日に5Rの熱闘の末、ミオシッチに判定で敗れたコーミエーは、試合直後は、「3部作の最後に酷い結果になった。これを受け止めるよ。……もうタイトル戦は無いだろう。タイトル戦以外に興味は無いし、これがヘビー級で最後の試合になるかな」と、ヘビー級からの撤退を表明していたが、翌17日にはインスタグラムで引退を示唆している。
「すべての愛とサポートに感謝します。(今回の結果は)望んでいたものでも期待していたものでもなかったけど、それはそれで仕方がない。ミオシッチの素晴らしい戦いを祝福します。あなたと50分間(3試合)オクタゴンを共有できたことは、名誉であり喜びでした。毎回見せ場があったよね。チームのみんなを死ぬほど愛している。多くの犠牲を払ってくれた 。誇りに思ってもらえたかな。サリナと子供たち、私のモチベーションになってくれてありがとう。ファンの皆さんへ、本当に愛しています。あなたたちのおかげで私は頑張ろうと思うし、偉大になることができる。愛するダナとUFCへ。この機会を与えてくれてありがとう。凄い旅だったよね?」と惜別のメッセージを投稿した元王者。UFCの解説者としても定評がある“DC”と“JJ”の階級を変えての3度目の対戦はいまのところ可能性は薄そうだ。
果たしてほんとうにジョーンズはヘビー級に転向するのか。そして混沌としてきたライトヘビー級戦線はレイエスとブラホビッチのどちらがベルトを巻くか。プロハースカがRIZINとUFCの2冠に挑戦するチャンスは巡ってくるのか。注目だ。
UFC 253
9月26日(日本時間27日)
▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R
イスラエル・アデサニャ(ナイジェリア)
パウロ・コスタ(ブラジル)
※2009年5月23日の『UFC 98: Evans vs. Machida』のラシャド・エヴァンス vs. リョート・マチダ以来11年ぶり2度目の「無敗同士のタイトルマッチ」。
▼UFC世界ライトヘビー級王座決定戦 5分5R
ドミニク・レイエス(米国)
ヤン・ブラホビッチ(ポーランド)