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【UFC】ジョーンズが史上最多王座戦勝利でLH級3度目防衛! 女子フライ級はシェフチェンコも3度目防衛成功=UFC247

2020/02/09 11:02
2020年2月8日(日本時間9日)、米国テキサス州ヒューストンのトヨタ・センターにて『UFC247』が開催された。 メインイベントではライトヘビー級タイトルマッチが行われ、王者ジョン・ジョーンズがMMA12戦全勝のドミニク・レイエスを迎え撃った。5Rにおよんだ試合は、後半のチャンピオンシップラウンドで盛り返した王者が判定3-0勝利。ジョーンズがジョルジュ・サンピエール(カナダ)が持つUFC史上最多タイトルマッチ勝利数の「13勝」を抜く「14勝」を記録し、ライトヘビー級では3度目の防衛に成功した。 セミでは、女子フライ級タイトルマッチが行われ、王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコがケイトリン・チョケイジアンを3R パウンドでTKO。3度目の防衛に成功している。 【メインカード】 ▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R○ジョン・ジョーンズ(王者/米国)[判定3-0] ※48-47×2,49-46×ドミニク・レイエス(挑戦者/米国)※ジョーンズが3度目の防衛に成功 メインイベントは、UFC世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズ(米国)がランキング4位につけるドミニク・レイエス(米国)を相手に防衛戦に臨む。 23歳にしてUFC史上最年少王者になったジョーンズはMMA25勝1敗。2019年は3月のアンソニー・スミス戦、今回のチアゴ・サントス戦とすっかりニューウェーブファイターを迎え撃つ立場となり、いずれも試合は危なげなく判定勝利。しかし、32歳のジョーンズは守りに入っているつもりはないという。 「スミスもサントスも僕と戦うまでどんな試合をしていたか、みんな忘れている。フィニッシュしなくても価値ある勝利なんだ。ドミニクもそう。ドミニクは無敗で最もタフな挑戦者だ。彼にはフィニッシュする力があるし、危険な試合になるだろう。だからこそこの試合は最高なんだ。ファイトはファイト。みんな俺の試合を“新しいスタイル”だと言うけど、やることは出来るだけ殴って蹴るだけさ」。 対するレイエスは、2017年6月のLFAでジョーダン・パウエルをハイキックKOした3週間後にはUFC入り。ジョアキム・クリステンセンを29秒TKOで沈めてUFC初勝利を飾ると、6カ月後にはジェレミー・キンボールから1Rリアネイキドチョークでタップを奪い、2018年5月にはジャレッド・キャノニアを1R TKOに下すなどUFCで3連続、UFC以前も含めると6試合連続1Rフィニッシュをマークした。 2018年10月にオヴィンス・サン・プレーに、2019年3月にはヴォルカン・オズデミアにいずれも判定勝利。前戦2019年10月のクリス・ワイドマン戦で再び1R KOで勝利し、MMA12勝無敗で今回のジョン・ジョーンズ戦に向かう。 「彼(JJ)のオーバーハンドライトは見てきた。足技も見てきた。彼のような人たちを見て育ってきたからね。どうってことはない。今じゃ(JJが)ビビっている。それは彼自身が明確にしている」と、アマチュア5戦も含め、17試合負け知らずの30歳は勝利に自信を見せている。 先に入場は顎ヒゲをたくわえたレイエス。コールに両手を広げる。対する王者ジョーンズは、首から肩、腹、足を自ら叩いて、両手をついてケージイン。いつものようにマット上で側転する。 ライトヘビー級タイトルマッチ。1R、正座からスタートしたジョーンズ。低い姿勢からいきなりダブルレッグも切るレイエス。 サウスポー構えのジョーンズは左の関節蹴り。同じくサウスポー構えのレイエスも右ジャブから左ローとリズムよく突いていく。 バックフィストを見せるジョーンズは距離を詰めるがステップするレイエス。ジョーンズは左ローもそこに左をボディに合わせるとジョーンズが尻餅! すぐに立つがレイエスは左ストレートを当てて前へ! ジョーンズは回って距離を取る。 手数を落としいったん落ち着いたレイエス。しかし今度は左ミドルを当て、後ろ蹴りも。ジョーンズはコツコツとレイエスのヒザに関節蹴りを打つ。 左ローを連打で返すレイエス。ジョーンズもスナップを効かせた左ハイ。さらに右ハイもレイエスはブロック。中央を取るジョーンズに回らされるレイエス。ホーンにレイエスは右手を挙げてアピールする。 2R、オーソドックス構えから入るジョーンズ。右のミドルを腹に入れるとレイエスは左ストレートから左右のラッシュで追うが、ジョーンズの懐は深い。顔を触らせずにサークリングする。オーソのジョーンズに左インローはレイエス。サウスポー構えに替えるジョーンズに左ロー。ジョーンズは再びオーソドックス構えに。レイエスも左関節蹴りを狙うがジョーンズの圧力は止まらず。後ろ蹴りを見せて詰めると動き続けるレイエスを消耗させる。右ボディストレートのレイエスに右ストレートをヒットさせるジョーンズ。 ワンツーの左は胸元のレイエス。なおも詰めるジョーンズはサウスポー構えでカウンターの左! オーソドックス構えに変えて詰めて左サイドキック! レイエスは右アッパーを当てると左インローも。終盤に返したレイエスだがコントロールはジョーンズのラウンドに。 3R、開始前に笑顔を浮かべるジョーンズ。先にオーソドックス構えから右ローはジョーンズ。レイエスは左の攻撃を上下に散らして前へ。しかしジョーンズはステップバックとブロッキング。左前手を伸ばして右ストレートを当てるジョーンズ。レイエスも左の蹴りを返す。左ボディを伸ばすレイエスだが遠い。右ボディストレートは当たるが浅い。 しかし左の蹴り、インローも繋げ手数は多い。カウンターのジョーンズは、右ハイキック。さらにダブルレッグへ。それを差し上げたレイエスは離れ際に右ヒジ。ブロックするジョーンズはなおも詰めて行く。たがいにファイトの掛け合いから左ミドルをヒットはレイエス! 詰めるジョーンズに左ロー、左ストレートを下がりながらも入れる。追うジョーンズだが、サークリングしながら手を出すレイエスは右アッパーも。かわすジョーンズは追い足から跳び蹴りも当たらず。手数はレイエスのラウンドに。 4R、肩で息をするジョーンズ、レイエスも口を開けている。オーソドックス構えからサウスポー構えになるジョーンズに前に出るレイエス。組み付くジョーンズのダブルレッグに尻は突くレイエスだが立ち上がると金網背に突き放す。左で飛び込むレイエスだが軸は崩れる。サウスポー構えに変えるジョーンズはダブルレッグへ。そこに背中を向けたレイエス。背後から右ハイを狙うジョーンズだが、かわすレイエスは離れる。 サウスポー構えのジョーンズに左ボディストレートはレイエス。さらに左ローも。ジョーンズも左ローも単発。ジャブは遠い。ワンツーから右ヒジで詰めるジョーンズは首相撲も切るレイエス。左を返すと右ボディストレート、左を振る。右ハイをガードの上に当てるジョーンズ。ニータップのフェイントから前に出ると下がるレイエスは左ハイをブロック上に。右の前蹴りはジョーンズ。さらにワンツー、右ストレートで前進し、いい印象でチャンピオンラウンドを終え、5Rへ。 5R、拳はかわさず。ジョーンズの左に左を当てるレイエス。右ジャブダブルから左ローも! しかしジョーンズはこの苦しい時間帯にダブルレッグテイクダウンへ! すぐに金網背に立つレイエス! 右ボディストレートで前に出るジョーンズ。レイエスも下がりながら左ローも力強さに欠ける。右ミドルを当てるジョーンズ。追うが回るレイエス。ジョーンズはヒジも。かわすレイエスは口を開けて呼吸する。右ミドルを当てて前に出るジョーンズ。さらに左ローでサークリングを止めようとする。スピンキックは腹狙いもかわすレイエスは手数が足りず逃げ切り体勢か? 左ハイをかわしたレイエス。ジョーンズは腹に前蹴りを突く。さらに左サイドキック。サウスポー構えからオーソに変えるジョーンズは右ロー、右ハイ。ワンツーのレイエスは当てられず。距離を取るレイエス。互いの拳は空を斬る。ホーンに両者が手を挙げる。最終ラウンドはジョーンズのラウンドに。 3Rまでは手数で勝っているのはレイエスだが、後半はジョーンズが上回りテイクダウンも奪っている。果たして判定は、ジョーンズが3-0(48-47×2,49-46)で勝利。3度目の防衛に成功した。 試合後、3度目の防衛に成功したジョーンズはオクタゴンの中で、「ドミニクは最高の試合をしたよ。彼に敬意を表するよ。テイクダウンはあまりできなかったけど作戦を変えてキックを蹴った。接戦だと思っていた。5Rは自分が取った。テイクダウンも勝利のポイントだったと思う。(UFC史上最多王座戦勝利「14」に)ありがとう。みんな愛している。最高の記録を作ることができた。米国の歴史、UFCの歴史を作った。ここまでタフな道のりだった。コーチにもありがとう、と言いたい。ドミニクは僕が思っていたよりずっと強い相手だった」と勝利を振り返った。 また、今後については「ヘビー級? まずは少し休んでからコーチと話して決めるよ。今日、83歳の祖母が初めて会場に観に来てくれたんだ」と長身の祖母とケージの中でハグをかわした。 MMA13戦目で初黒星となったレイエスは「1Rから3Rは自分が取っていると思った。4、5Rはチャンピオンシップラウンドで彼が盛り返したけど。まあ、結果は結果。自分が本物だと分かっている。(サプライズは?)無いよ。彼は強かった。打撃でも接戦だった。でもこれがファイトだ。ダメージがゼロじゃない。でも僕も彼にダメージを与えたと思う。みんな応援ありがとう。自分の心に響いたよ」と語った。 ◆ジョン・ジョーンズ「簡単なことなんて何もない」(※試合後コメント) 「最高だよ、勝利の気分を味わえて。アメリカの歴史が作られたのがまさにそうさ。必死に戦う。一番感動した勝利とはいかなかったけど、でもこれまでも一度として楽なものはなかった。簡単なことなんて何もない。全力を尽くしたし、5Rにはチャンピオンたるところを示せたと思うから、あれは最高だ。もちろん、身体は痛いけど、勝利は嬉しいものだ。今回の試合が史上最高のアメリカ人アスリートの1人になるために後押ししてくれる。俺は自分の試合だったと思っている。彼は何度もハードな打撃を打ち込んできた。ファンは俺が打たれるのが好きみたいだけど、そう滅多にあることじゃない。ただ、同時に、俺もテイクダウンを取っているし、1回と言わず彼のバックを取っている。寝かせ続けられなかったけど、バックを奪ったし、テイクダウンを成功させて、5R目は完全に俺が優位だった。必死に勝ち取ったとしても勝利は勝利だ。レイエスはすごい若手だね。次? どうかな。アルコールかな(笑)」 [nextpage] ▼UFC世界女子フライ級選手権試合 5分5R○ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(王者/キルギス)[3R 1分03秒 TKO]×ケイトリン・チュケイジアン(挑戦者/米国)※シェフチェンコが3度目の防衛に成功 キック出身のUFC世界女子フライ級王者シェフチェンコはフライ級転向後、4試合連続で完勝中。空手出身のチョケイジアンはバンタム級からフライ級に転向。フライ級で最も長身で、シェフチェンコより10cm身長が高く、リーチも長い選手。 シェフチェンコは、バンタム級時代の2017年9月に王者アマンダ・ヌネスにスプリット判定負け以降、フライ級でプリシラ・カショエイラにRNCで一本勝ち、元ストロー級王者ヨアナ・イェンジェイチックに判定勝利、ジェシカ・アイをハイキックで沈め、リズ・カモーシェに判定勝ちしている。 対するチューケイジアンはフライ級で4勝1敗。2018年12月にジェシカ・アイにスプリット判定負けも、2019年6月にジョアナ・カルダーウッド、11月にジェニファー・マイアにいずれも判定勝ちし王座戦にこぎつけた。 1R、サウスポー構えのシェフチェンコ。オーソドックス構えのチュケイジアン。ジャブ&ローで攻めるチュケイジアン。どっしり構えるシェフチェンコも右前蹴りを返す。サウスポー構えにスイッチするチュケイジアンにするインローを当てるシェフチェンコ。さらにワンツー&ローの蹴りまで繋ぐ。 チュケイジアンの右ミドルを掴んでテイクダウンはシェフチェンコ。インサイドガードに入れるチュケイジアンはクローズドガード。シェフチェンコはインサイドから細かくパウンドを突くと右ヒジ! チュケイジアンは左目尻から大きく出血する。 2R、ステップを踏むチュケイジアンに、左バックキックを打つシェフチェンコ。さらに右の前蹴りを腹を出して突き刺す。チュケイジアンの右に合わせてワンツーを打つシェフチェンコ。チュケイジアンも右ミドルを打つが、しっかりカットするシェフチェンコは左ミドルを蹴り返す。さらに左の後ろ廻し蹴りをヒットさせるシェフチェンコ! 右の前蹴りも。 右の蹴りを撃ち返しに行くチュケイジアンに再び蹴り足を掴んでテイクダウンはシェフチェンコ! ハーフガードから肩でアゴを押さえパスを狙うが、足を戻したチュケイジアンがガードの中に入れてホーン。 3R、近距離で右ヒザを突くチュケイジアン。しかしそこを掴んだシェフチェンコ。チュケイジアンは跳びつきガードもすぐに着地。そこに小外がけをあわせてシェフチェンコはテイクダウン! すぐにサイドを奪うと、チュケイジアンの左腕を両足で挟んでクルスフィックスで釘付けにとらえると、左で脇を差し、右の拳を連打! 動けずにパウンドを浴びるチュケイジアンを見てレフェリーがストップした。シェフチェンコはマット上で勝利の前宙返り。 試合後、ベルトを腰に巻いたシェフチェンコは、ベルトが外れるほどキレ味ある3回転の勝利の舞いを見せると、オクタゴンのなかで「毎回、試合に向けて柔術をするとき高い目標を立ててきました。もちろんグラウンドでKOを狙ってあのポジションにしました。(この階級で頭一つ抜けているが?)まだまだバンタムにもいい選手がいます。私はどんな相手でも試合を受ける覚悟があります」と、バンタム&フェザー級王者ヌネスとの再戦を示唆。 続けて、「チームメイトやタイガームエタイのみんなありがとう。防衛に成功し満足しています。そして、テキサスのみんなサポート、ありがとう。私はヒューストンに2年半いました。ここはホームで、レガシープロモーションにいたので戻ってきたという気持ちです。こんなに嬉しいことはありません」と、ヒューストンとタイの仲間に感謝の言葉を語った。 ◆ワレンチナ・シェフチェンコ「次はコールダウッドかもね」 「嬉しくてたまらないわ。毎回この気持ちを味わっている。必死に頑張ってきたし、すべてのアスリートが同じように思うはずよ。何カ月もつらいときがあって、減量して、必死にトレーニングして……。やるべきことを果たしたら、これ以上いい気分はないわね。最高の気分よ。 ヒューストンでは本当にスペシャルな戦いだった。オクタゴンでも言ったけれど、ヒューストンは私がアメリカで格闘技のキャリアをスタートさせた場所なの。こうしてUFCチャンピオンとしてヒューストンに戻ってこられて最高よ。最初のラウンドはもしかしたら5Rまで行くかもしれないと思ったし、焦りたくなかった。毎回、面白いから、彼女を感じたかったの。試合前、対戦相手からいろんなことを聞く。彼女はスタンディングがうまいし、私よりいいところも持ってる。だから、彼女がどれくらい優れているかを確かめたかった。言葉を抜きにしてね。 距離感では上回っていないことを見せられたと思う。手足の長さは劣っているかもしれないけれど、それがあったからって何になるわけでもない。プレッシャーをかけ続けた。最初のラウンド終盤には相手をカットしたし、そこからは5Rまでもたないって思っていた。フィニッシュしないといけないことも分かっていたしね。 今はまず休みたい。何カ月も必死にやってきたから。だからといって最悪の状態ってことではないわ。きつかったけれど、それが私の人生。毎日、やるべきことをやっているだけ。少し休みたい。フライ級について話すなら、次の対戦相手が誰になるか分からないけど、もしかしたら、ジョジョ(ジョアン)・コールダウッドかもね。だって、私にしてみれば、彼女はチャンスに一番近い人だと思うし、でも、どうなるかしら。もしかすると、予想外で素晴らしい試合があるかもしれない。他の選手が上がってくればね。今はフライ級に集中しているけど、ずっと言っているように、私は何に対してもオープンよ。特定の試合をするのにいいタイミングなら、私は(階級を越えた試合にも)いく。でも、今はフライ級のことを考えている」 [nextpage] ▼ヘビー級 5分3R○ジャスティン・タファ(豪州)[1R 1分59秒 KO]×ジュアン・アダムス(米国) 両選手ともノーランカーながら白星はすべてKOというヘビー級対決。豪州のタファはMMA3勝1敗。MMAデビューからわずか3戦で2019年10月にUFCデビュー。マーク・ハントばりの剛腕を誇るが、前戦は同じUFCデビューのヨルガン・デ・カストロに1RKO負け。 アダムスは地元ヒューストン出身でアメフトとレスリングがバックボーン。「LFA」から「DW's Contender Series 2018」→UFCへと進んだ。2018年12月のオクタゴンデビューではクリス・デ・ホッシャとに3R TKO勝ちも、2019年は5月に五輪レスラーのアージャン・ブラーに判定負けで初黒星。7月の前戦では元NFLのグレッグ・ハーディに1RKO負けを喫している。 1R、サウスポー構えのタファ。オーソドックス構えのアダムス。喧嘩四つで互いに前手の突き合い。マーク・ハントとも練習を積むタファは右ロー! リーチで勝るアダムスは右前蹴りも。右フックを当てたタファは、崩れてクリンチしてきたアダムスに左のクリンチボクシング2連打。さらに離れると、左を伸ばして下がらせると、右ロングフックをヒット! 金網に詰めたタファは右アッパー! ダウンしたアダムスは足元にしがみつくがレフェリーが間に入った。 オクタゴンの中でタファは、「チームに感謝したい。サモアンは戦士だ。ボスのマーク・ハントに勝利を見せられて良かった」と笑顔で語った。 ◆ジャスティン・タファ「ポリネシア人に、サモア人に、豪州の人に、示したかったことがある」 「フアンはロングジャブを打つのが好きなんだけど、そこからの右ストレートが遅れるから、そこを狙うべきだってことは分かっていた。俺はどっちの手もパワーがすさまじいし、少なくとも相手に効かせられるくらいはあると思っていたから、狙って仕留めた。フックを何度か仕掛けて、スタンドで戦わせたんだ。向こうの目を見たらイッてたな。だからフィニッシュが決まるまで攻め続けた。UFC初勝利は嬉しいね。UFCイベントとしてもそうだし、自分が前回戦ったMMAイベントよりもたくさんの観客がいるところでノックアウトできた。短期間で戻ってくる上で、単にみんなというだけじゃなく、ポリネシア人に、サモア人に、オーストラリア人に、示したかったことがある。何かと戦うなら、とにかく立ち上がって立ち向かうんだってことを」 ▼フェザー級 5分3R○ダン・イゲ(米国)[判定2-1] 29-28×2,28-29×ミルサッド・ベキッチ(ボスニア) MMA12勝2敗のイゲはUFC4連勝中。「Legacy FC」から「DW's Contender Series 2017」、UFCへと進んだ。UFCデビューとなった2018年1月のフリオ・アルセ戦は判定負けも、以降、マイク・サンティアゴ、ジョルダン・グリフィン、ダニー・ヘンリー、ケヴィン・アギュラーに勝利している。 ベキッチはMMA13勝2敗(UFC6勝2敗)。2018年にペペイにTKO勝ち、リカルド・ラマスにスプリット判定勝ちも2019年7月にジョシュ・エメットに1Rパウンドで敗れている。 1R、ともにオーソドックス構え。脇差し投げたベキッチに耐えるイゲが右アッパーで飛び込み右を差すとヒザを出したベキッチをテイクダウン。その立ち際に右を当てる。 右のクロスを当てたイゲ、詰めてクリンチアッパーも突く。中央を取るイゲ。左から右で詰めると肩パンチ。体を入れ替えるベキッチに足を伸ばして切るイゲが離れ際に右を打つ。右を振って前に出るイゲ。さらにバックスピンキックも。 2R、ワンツーをブロック上から当てるベキッチ。打ち返してきたイゲにカウンターのダブルレッグテイクダウン! そこにギロチンを合わせるイゲは後方に回そうとするが返されないベキッチは上に。サイドから上四方もすぐに足を戻すイゲ。その立ち際をバック狙うベキッチだが、正対するイゲ。そこにシングルレッグはベキッチ。イゲに背中を着かせるとハーフから肩でアゴを押さえて肩固め狙い。 肩固めをハーフで耐えるイゲだが、ベキッチはマウントへ。首をずらすイゲは下から腕固めを仕掛けて足を戻すと下からキムラも狙う。腕を伸ばされないベキッチに下からヒジを打つイゲ。 3R、互いに時折スイッチも基本はオーソドックス構えの両者。詰めるイゲに距離を保つベキッチ。イゲは左ミドルで前に。さらに左ジャブも、ベキッチの2Rのテイクダウンが生きているか踏み込みに慎重に。ベキッチにシングルレッグにヒジを側頭部に打つイゲ。ブレーク。詰めるイゲは右を振る。ダブルレッグでヒザを触りに行くベキッチ。遠間から右を振るイゲだが、ベキッチはアウトボクシングに。ワンツーの右を入れてからダブルレッグもそれをまたごうとしたイゲ。しかしイゲはシングルレッグテイクダウン。立つ伊賀はアームロック狙いから前転。ついていくベキッチはがぶりからバックに回おるとする。足を抱えスロエフストレッチ、ヒールフックを狙うイゲだがベキッチは極めさせずホーン。 判定は2-1のスプリットでイゲが制し、UFC5連勝。1、3Rを取ったことになるイゲは接戦を、「とてもタフファイトだった。3R通して厳しくなることは予想していたから、3R目も諦めないようにしていた。肩固めの防御はいつも練習している。そんなに極まっていなかった」と振り返った。 ◆ダン・イゲ「6連勝して7連勝にするだけ」 「自分が勝ったと思っていた。最初のラウンドを俺が取ったのは明白だったし、向こうよりも攻めて打ち込んで、相手の攻撃は防御した。やつの打撃はひとつも当たらなかった。2R目は確かに落としたと思う。背中を取られた時間がちょっと長すぎたかな。でも、向こうを疲れさせることはできた。第3Rは立て直して俺が取っている。すべての面で俺が上回っていたし、向こうのテイクダウンは止めた。巻き返して、3Rではやるべきことをやったと思っている。 次については流れに乗るよ。6連勝して7連勝にするだけ。ランキングを駆け上がっていきたいし、勝利を重ねて、自分の名前を世界で一番のファイターとして知らしめたい。ミアサドと戦うことになったとき、やつはランク入りしていたはずだ。確か13位だったと思うけど、戦う前日にランキングから落ちたから、戻ってくるときにはランカーとやりたい。トップ15の誰かとやって、自分がトップ15にふさわしいことを証明したい。トップ5にふさわしいこと、チャンピオンにふさわしいことを証明したいんだ」 ▼ヘビー級 5分3R○デリック・ルイス(米国)[判定3-0] ※29-28×3×イリル・ラティフィ(スウェーデン) ヘビー級6位のルイスはMMA22勝7敗。ラティフィはライトヘビー級12位でMMA14勝7敗。 ルイスは2018年11月にダニエル・コーミエーに2R RNCで一本負け。2019年3月にJDSに2R TKO負けも2019年2月にブラゴイ・イワノフにスプリット判定勝ちしている。地元ヒューストンの4ozファイトクラブ所属でもある。 ラティフィは2018年2月にOSPにギロチンチョークで一本勝ちも、2018年12月にコーリー・アンダーソンに判定負け、2019年8月にはヴォルカン・オズデミアに2R 左フックでTKO負け。2連敗中で今回、約11年ぶりにヘビー級に復帰した。計量ではラティフィが111.8kg、ルイスが118.6kgとなっている。 1R、ともにオーソドックス構え。向かい合うとルイスの大きさが目立つ。右の跳びヒザで飛び込むルイス。それをキャッチして金網に押し込むラティフィはダブルレッグからシングルレッグに切り替えテイクダウンを狙うが差し替えるルイス。ブレーク。ルイスの左ハイをブロックするラティフィ。詰めてシングルレッグを肩口まで持ち上げて軸足をかろうとするが、耐えるルイスのラウンドに。 2R、右ローを当てるラティフィ。ルイスはオーソから左ミドルをブロック上から当て、右跳びヒザで詰めるが、すぐに体を入れ替えるラティフィが金網に押し込む。体を入れ替えヒザを突くルイスにボディロックテイクダウンはラティフィ! ハーフのまま背中を着かせ、細かくパウンドもブレークに。左ハイはルイスもボディロックしたグレコ出身のラティフィは驚くべきことに小外を合わせてルイスを投げ飛ばして見せる。 3R、跳びヒザも胸で受けるラティフィは金網で体を入れ替え、ボディロックから持ち上げテイクダウン! ハーフから細かいパウンドを当てるがルイスも立ち上がると跳びヒザで前に。しかし、ボディロックするラティフィはそのまま電車道で金網まで押し込むと、一旦右に崩してから左に回してテイクダウン。しかしここはすぐに立つルイスが右を振って前に。力を使ったラティフィに右アッパー! しかしサークリングするラティフィが逃げ切りホーン。互いに疲労困憊で金網にもたれかかる。 判定は1、3Rを取った地元ルイスが3-0勝利。ラティフィは再三のテイクダウンもダメージを与えられなかったことが響いたか。試合後、ルイスは「ラティフィのアゴは強かった。みんな応援ありがとう、アフターパーティーに来てね。みんなにショットをおごるよ」と観客に語った。 ◆デリック・ルイス「ガヌー対ホーゼンストライク戦で必要になれば代打する」 「ヒューストンで戦うんだから気が狂いそうだった。アドレナリンが爆発さ。最後は観客のみんなが手助けしてくれた感じだな。いい仕事ぶりだったぜ。かなり助かった。接戦なのは分かっていた。特にテイクダウンに関してはそうだと思っていたけど、相手の打撃はほとんどブロックできたし、俺がやつをコントロールしていた。向こうはすべてテイクダウン。跳びヒザ蹴りがいい感じで決まったな。俺もまだまだ成長できるってことさ。みんなにお目にかけていない武器がもっとたくさんある。体は問題ないし、何もないから、ガヌー対ホーゼンストライク戦で必要になれば代打するぜ。いつだって準備はできている」 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R○トレヴィン・ジェイルス(米国)[判定2-1]×ジェイムス・クラウス(米国)※アントニオ・アローヨは欠場 ◆トレヴィン・ジャイルズ「ヒューストンで戦うことが夢だった」 「土壇場で対戦相手が代わったことは当然大きかった。たぶん、本来、戦う予定だったやつは減量がうまくいっていなかったんだと思う。思っていたよりも大変だったんだろうけど、変更されてしまった。この試合を受けたいかと聞かれたんだけど、ちょうど体重が作れたところだったんだ。断るつもりもなかったけどね。新しい対戦相手には感謝しかない。直前で出場を決めてくれたんだ。何も言う必要はないよ。試合をやって戦い終えた。この2試合はチョークで負けていたから、もう二度とそうはさせないと誓っていた。とにかく流れに乗ってディフェンスをうまくやろうと。それがうまくいった。逃げ切れたし、勝てた。 他のラウンドは……何度か鋭いショットも打ったんだけどね。アグレッシブにいこうと思って。ちょっと無鉄砲だったかも。自分がやりたかった以上に相手のパンチが当たっていたけど、ダウンさせようとトライした。何発か鋭い打撃も当てられたのに、ウエイトを上げてきた彼がああいう打撃を受けてくるなんてびっくり。あいつは強いよ。フィニッシュできたと思ったんだけどね。でもしっかりは決まっていなくて、向こうも辛抱強かったし、残りの試合はそんな感じだったかな。ちょっと雑だったね。なんとかしようとしたんだけど、判定が嫌いだから。でも、勝てたし、それが何より重要だ。俺はヒューストンが大好き。ここが自分の地元だと思っている。みんなの前で勝てて最高だよ。それが重要だったんだ。UFCでここに来るのが、テキサス州ヒューストンで戦うことが自分の夢だった」 ▼女子フライ級 5分3R○ローレン・マーフィー(米国)[判定2-1]※29-28, 28-29, 30-27×アンドレア・リー(米国) ◆ローレン・マーフィー「計量をパスして勝利しているのは今のところジョジョかロクサンだけだから、次の対戦相手として私の興味があるのは彼女たち2人だけ」 「すべてのラウンドが接戦だった。どっちが勝ったのか分からなかったわ。疲れていたし、向こうも疲れていた。私はとにかく、世界中に心の強さを見せつけるしかなかった。ずっと“夫やコーチたちの前で諦めるわけにはいかない。今日は彼女にやられはしない”と自分に言い聞かせていたの。今回の結果で、トップ5との試合を組んでもらって、そこでも勝てたら嬉しい。2020年は3試合したい。オクタゴンではロクサン(モダフェリ)を指名したけど、次は彼女か、もしくはジョジョ(ジョアン・コールダウッド)とやりたい。ビビアン(アラウジョ)は負けたばかりだし、(ジェニファー)マイアも(ジェシカ)アイも計量をミスしているから、トップ5にいるのは彼女たち2人だけでしょ。つまり、計量をパスして勝利しているのは今のところジョジョかロクサンだけだから、次の対戦相手として私の興味があるのは彼女たち2人だけ」 ▼ウェルター級 5分3R○ケイオス・ウィリアムス(米国)[1R 0分27秒 TKO] ※右アッパー×アレックス・モロノ(米国) ◆ケイオス・ウィリアムズ「プレッシャーのある方がいいパフォーマンスができるんだ。プレッシャーは破壊もすればダイヤモンドにもなるから」 「まず、神に感謝したい。神様がいなけりゃ実現しなかった。チャンスをくれたUFCにも感謝している。2週間前のオファーだったんだ。相手は地元のファイターで、17勝5敗の戦績だから、かなり凄い勝利なんじゃないかと思う。ここにいられることに感謝しているし、勝ち方も凄かった。前にも言ったけど、ケイオス・ウィリアムズ、覚えておいてくれよな。俺はここでやっていくし、活躍していくからさ。将来があるし、いつかはタイトルをかけて戦うつもりだ。初めてオクタゴンに向かっているときは最高の気分だった。プレッシャーに押し潰されつそうになったことは一度もない。プレッシャーのある方がいいパフォーマンスができるんだ。プレッシャーは破壊もすればダイヤモンドにもなるからね。俺はとにかくダイヤモンドにできて感謝している。ファンにはもっともっとうまくなる俺を期待してもらいたい。ハングリーに攻めていくぜ」 ▼バンタム級 5分3R○マリオ・バウティスタ(米国)[2R 1分41秒 TKO] ※跳びヒザ→パウンド×マイルズ・ジョンズ(米国) ◆マリオ・バティスタ「出身地のベガスで戦いたい」 「相手の過去の試合は見た。向こうは俺よりもかなり低いし、頭が常に真ん中にあって、ラインを外れない感じ。打撃コーチと練習して、ずっとあのフライングニーの対策をやっていたから、知っているようなものだったし、うまくいった。対戦相手の記録なんて正直、考えられるもんじゃないよ。記録を考えてしまえば、向こうが無敗だってことをずっと思うことになるけど、俺は彼の前戦を見て、彼の方が負けたと思ったし、試合中もかなり穴があった。俺は最高のキャンプだったし、最高のゲームプランもあって、今日はそれがうまくいったんだ。できれば、2020年あと2試合して、年末までにはトップ15に入りたい。誰かを指名するのは好きじゃないけど、ただひとつ、ベガスで戦いたい。誰かに聞かれるとしたら、ベガスで戦いたいんだと言うよ。出身州だし、みんなの前でショーを見せたいんだ」 ▼バンタム級 5分3R○ジョーニー・ニューソン(米国)[1R 0分38秒 TKO]※右オーバーハンド×ドミンゴ・ピラルテ(米国) ◆ジャーニー・ニューソン「俺の右は凄まじい」 「信じられない。以上。現実とは思えない。すべてはゲームプランのおかげ。俺の右は凄まじいと思っているし、向こうがあのヘッドキックを仕掛けてきたから、俺は本能で右でいくしかないと思って、それがうまくいったんだ。あのヘッドキックで骨折している可能性があるから、チェックしてみる。今は何も言えないけど、でもそれだけの価値はある。今はとにかく病院に行って、顔に何も問題がないことを確認したい。その後で次の対戦相手を考えるよ」 ▼バンタム級 5分3R○アンドレ・イーウェル(米国)[判定2-1] ※29-28, 28-29, 30-27×ジョナサン・マルチネス(米国) ◆アンドレ・イーウェル「4月1日に息子が生まれるんだ」 「最高だったよ。今回の対戦相手は凄かった。向こうの蹴り凄くてがすごくて、防御するときに小手あたりを骨折したから、1本しか腕を使えなかったのは難しかった。それ以外は本当に楽しかったけどね。俺は戦うためにここにいるし、打ち合うべくここにいる。それはつまり最高の相手と戦うってことだし、マルチネスは最高だった。いいやつだよ。2ラウンドは勝った気がしていた。2ラウンド目と3ラウンド目はね。最初のラウンドは向こうの打撃がボディに当たっていたから議論の余地があると思うけど、その後で俺も打ち込んでいったし、以降のラウンドで取り返せた。だから自分としては29-28か30-28くらいかなと思っていたけど、まあしょうがない。不満はないよ。いい土産を持って家に帰れるからね。4月1日に息子が生まれるんだ。すごく楽しみ。だから今は休みをとって、8月か9月に戻ってきたい。状況に関係なく、俺は戻ってくるし、最高の俺を見せる。だって俺はサイコーだから(笑)」 ▼フェザー級 5分3R○ユーゼフ・バラル(米国)[判定3-0] ※30-27×3×オースティン・リンゴ(米国) ◆ユーセフ・ザラル「12日前はまだUFCにさえいなかったんだ」 「このヒューストンでUFCデビューを果たせて最高だよ。ペイ・パー・ビューのイベントのオープニングを飾れたしな。ここが俺の場所だって思う。マネジャーもコーチも、みんなが俺のショットを待ち望んでいてくれたし、ようやくかなった。初めてオクタゴンに向かうのはなんというか、もちろん、自分じゃないみたいにも感じたけど、とにかく最高で、覚悟はバッチリできていた。今回のチャンスに感謝している。ミドルキックをもっとコントロールするつもりだったし、試合に臨んで楽しみたかったけど、でも、これは俺のUFCデビュー戦だ。マネジャーが言っていたように、今はとにかく楽しんで、勝利を味わうべきだな。12日前はまだUFCにさえいなかったんだ。今はUFCにいて、勝利も決めた。今ここにいられることを本当に感謝している。次に何がこようと覚悟はできている」
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