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【UFC】3度目対戦はミオシッチがコーミエーに5R判定勝利で王座防衛。注目のオマリーは負傷でヴェラにTKO負け=『UFC252』

2020/08/16 00:08
 2020年8月15日(日本時間16日・日曜日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC252』が無観客試合として開催された。 UFC 252: Miocic vs. Cormier 3 2020年8月16日 UFC APEX米国ネバダ州ラスベガス  【メインカード】 ▼UFC世界ヘビー級選手権試合 5分5R○スタイプ・ミオシッチ(米国)王者 233lbs/105.69kg[判定3-0] ※49-46×2, 48-47×ダニエル・コーミエー(米国)挑戦者 236lbs/107.05kg※ミオシッチが王座防衛 メインイベントは、スティーペ・ミオシッチ(米国)vs.ダニエル・コーミエー(米国)のヘビー級タイトルマッチ。前日計量では王者のミオシッチは233ポンド(105.69kg)で、挑戦者の コーミエーは236ポンド(107.05kg)で、それぞれ計量をパスしている。 weighin photos(C)Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Image  両者はこれまで2018年7月と2019年8月に、2度タイトルを賭けて戦い1勝1敗、今回が1年ぶりの再戦で決着戦となる。その間、コーミエーは2018年11月にデリック・ルイスにリアネイキドチョークでの一本勝ちを挟んでおり、ミオシッチにとっては、3試合連続でコーミエー戦となる。  これまで、マーク・ハント、ファブリシオ・ヴェウドゥム、アリスター・オーフレイム、ジュニオール・ドス・サントスといったヘビー級の猛者をKOしているミオシッチに対し、1試合目のコーミエーはクリンチに突破口を見い出し、至近距離の右フックで1R KO勝利。再戦となる2試合目は、ミオシッチがボディ攻撃を効かせて打撃で畳み掛け、4Rに逆転のTKO勝ちで王座を奪回している。3試合目となる今回は、互いに手の内を知った上で、いかに戦うか。  1R、ともにオーソドックス構え。さきに軽い左ローを前足に突くミオシッチ。さらに前戦で効果を発揮した左ボディブロー! コーミエーは前足にシングルレッグでテイクダウン。すぐに立つミオシッチをがぶりで首を押さえるがミオシッチも首を抜く。  ミオシッチのワンツーはブロックするコーミエー。左ボディから右を振るミオシッチだが、そこに右を被せるコーミエー! しかしコーミエーの伸ばした手がアイポークとなり中断。再開。ミオシッチは左・右ローをヒット。コーミエーは左ボディを振りながら前に。ミオシッチは左フックを当てる。詰めるコーミエーは左右で金網に詰めて右フックを当てたところでブザー。互いに一進一退の攻防。  2R、ミオシッチの左ローはローブロー。再開から左右を上下に散らして連打するミオシッチだが、コーミエーはさばく。左インローを互いに当て、頭を下げたテイクダウンのフォームから右を振るコーミエー。右から左フックはコーミエーもそれはブロックするミオシッチ。  左のダブルを上下に散らすコーミエー。ミオシッチの打ち返しにコーミエーは左ジャブで迎撃する。右から左ボディを突くミオシッチ。コーミエーは跳びあがるようにワンツーを打ち、右オーバーハンドを当てる。左のトリプルのジャブから右ストレートを振るコーミエー。さらに右ボディも。  ミオシッチもラウンド終盤にボディ打ちのフェイントから右フックをヒットさせ4連打! バランスを崩したコーミエーからマウントを奪い、上半身は金網に立てるコーミエーが腹に抱き着いてスペースを閉じて凌ぐ。  3R、前に出るミオシッチ。右の打ち下ろしを当てると頭が下がるコーミエーにヒザも! 軸が乱れるコーミエーに詰めるミオシッチは肩パンチ。右で差すミオシッチは離れ際にバックフィストも距離が足りない。  右ローを突くコーミエー。息づかいが洗い。詰めるミオシッチは左右両脇を差すと、コーミエーは金網背にスタミナを取り戻す。  互いに離れ際に当ててスタンドへ。左の蹴りを出すコーミエーが前に。ミオシッチも左のスーパーマンパンチを当て、打ち下ろしの右も! コーミエーは前手のアイポークを主張する。ブザー。コーミエーの左目は赤く充血する。ミオシッチノラウンドに。  4R、左インローを打つコーミエー。しかし左目を腫らすコーミエーはミオシッチの右は見えているのか、被弾。左ボディストレートはコーミエー。右ローを蹴るが、そこにコーミエーはカウンターの右を打つ。  左腕を首に巻いてクリンチをするコーミエーを突き放すミオシッチ。しかしコーミエーは右フックを返す。前に押し返すミオシッチになおも右! ミオシッチは金網あで押し込むもコーミエーが突き放す。  詰めるのはミオシッチ。左腕でクリンチも抱え込む形になるのはコーミエー。金網背に凌ぐ。押し戻すとワンツーから右を当てるコーミエー。  5R、互いにグローブタッチし、胸を合わせ最終Rへ。左ジャブで圧力をかけるミオシッチ。ジャブを突き返すコーミエー。右で差して押し込んだコーミエーだが、体を入れ替えるミオシッチ。金網背にするコーミエーは右手で首を抱えると、体を入れ替え。右のニータップ狙いで組みに行くミオシッチは右で差して金網に押し込む。細かいさ左右を突いて離れる。  右ストレートをダブルで突き、テイクダウンを狙うミオシッチ。ここは倒れないコーミエー。左で差して押し込むミオシッチに首を左手でギロチンにとらえるコーミエー。頭を抜いたミオシッチが押し込み、コーミエーが突き放したところでブザー。  熱戦の結果は、精度と手数で上回りケージレスリングでも譲らなかったミオシッチが、判定3-0(49-46×2, 48-47)で、最大3ポイントをつけて勝利。王座防衛に成功した。  王者は「疲れたよ。家に帰りたい。驚き? 簡単な試合じゃないことは分かっていた。3戦したけど、彼(コーミエー)には幸せな人生を送ってほしい。もっと蹴ってくると思っていた。最初のテイクダウンを取られて焦ってしまった。彼は本当にカウンターが上手くて、こっちはやりたいように出来ないし、2R目はほぼ捕まったね」と試合を振り返ると、今後については「明日も起きて普通に過ごして子供たちと遊び、水曜日にまた歳を取る(38歳)のでゆっくり過ごしたい」と、5Rの死闘に疲弊した表情で語った。  一方、敗者のコーミエーは「彼は強かった。クリンチでダブルアンダーフックを取られたし、上手かった。前の2試合で見せなかった技術を見せた」と王者を称えた。  また、3Rのアイポークについて聞かれると、「左目は焦点が全然合わなかった。いまも見えていない。アイポークがあったことはレフェリーに伝えたけど、聞いてもらえなかった。まあ、しょうがない」とため息。  さらに放送席で同僚となる解説のジョー・ローガンから今後について問われ、「3部作の最後に酷い結果になった。これを受け止めるよ。……もうタイトル戦は無いのかな。タイトル戦以外に興味は無いし、これがヘビー級で最後の試合になるかな」と、ヘビー級からの撤退を示唆した。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R○マルロン・ヴェラ(エクアドル)136lbs/61.69kg[1R 4分40秒 TKO] ※パウンド×ショーン・オマリー(米国)136lbs/61.69kg  コ・メインイベントでは、ダナ・ホワイト・コンテンダー・シリーズ(DWCTS)出身で、MMA12戦無敗で現在バンタム級14位にランクされる新星ショーン・オマリー(米国)が登場。前日計量ではオマリーが136ポンド(61.69kg) で、マルロン・ヴェラが136ポンド(61.69kg)でパスしている。  オマリーは、2019年12月の「QUINTET Ultra」でグラップリングルールながら、五味隆典をハイエルボーのギロチンチョークで極めた選手。2020年はUFCで3月にホセ・キニョネスに、6月にエディ・ワインランドにいずれもKO・TKO勝ちしており、MMAでは無敗記録を更新中だ。  対するマーロン・“チト”・ヴェラ(エウアドル)は、中国の新鋭ソン・ヤードンに敗れるまでKOとサブミッションでUFC5戦勝中(MMA17勝6敗1分)だった10年選手。プロ5年目のオマリーにとって、これまでのMMAキャリア中、最も厳しい試練に挑むことになる。  1R、オーソドックス構えのヴェラに、左右スイッチするオマリー。ヴェラもサウスポー構えを見せる。ともにオーソドックス構えになるとサイドキックはオマリー。さらに右ロー、右ミドル、さらに左ミドルを当てる。  サウスポー構えになるヴェラ。オマリーは右ジャブのダブルからサウスポー構えに。左ローはヴェラ。前足を入れ替えるオマリーはサウスポー構えに。詰めるヴェラは左ハイをガード上に当てる。  詰めて右サイドキックはヴェラも避けるオマリーあえてケージを背にサークリング。右に回るとヴェラが左ミドルで止める。  サウスポー構えから踏み込む際に、前足で空足を踏み足首を痛めた様子のオマリー。いきなりの右ストレートを振り跳び込んで前に出るが、ヴェラが右で迎撃し、押し返しにバランスを崩したオマリーが下に。ヴェラはインサイドガードから左パウンド、さらに左ヒジ! 鉄槌! 効かされたオマリーは動けず。レフェリーが間に入った。  右足首を押さえるオマリー。コール時に片足をひきずり歩けず、最後はキャスターつきの担架に乗せられてオクタゴンを後にした。  オッズ的には番狂わせを起こしたヴェラは、ジョー・ローガンのインタビューで、「相手がビッグネームであるとかは関係ない。僕がやれば勝てるんだ。(アンダードッグだったが?)構わない。みんなの意見は気にしない。僕はタフだし、コーナーを信じている。そして3人の子供たちのために戦う。それは僕の使命さ。(オマリーが)足を痛めたことは分かったよ。もう蹴りは出来ないなって。でも誰だって足を痛める。チャンスがあれば仕留めようと思ったよ。底辺からここまで這いあがった。これからが楽しみだ。またジムに戻ってトレーニングするよ」と語った。  また、バックステージの公式コメントでは、「彼は僕との激闘を待っていたみたいだ。(エディ)ワインランドやメキシコのヤツ(ホセ・キノネス)がそうしたみたいに。でも、それは僕の戦い方じゃない。右の強打を押し込むなんて、そんなの安っぽいだろ。ちゃんとしたコーチを見つけて、しっかり取り組めば、テクニックは自ずと高いレベルになる。僕は個人的にハイレベルな黒帯を目指しているし、ハイレベルなレスラーにもハイレベルなストライカーにもなりたい」と、テクニカルに試合を戦ったことを振り返った。  さらに、試合前の下馬評についても、「ジョー・ローガンがいいアドバイスをくれたよ。(SNSの)コメントは読むな、否定的なものは目にするなって。僕は自分のポジティブな部分を感じたいし、家族や友達、誰が本物のファンかも分かっているし、誰が本当にちゃんと分かってくれているかも分かっている。誰かとやり合うほど暇じゃない。そういうヤツらは何もないのさ。答えてしまえば向こうの勝ち。無視しておけば人生ではこっちの勝ちだ」と意に介さなかったことを明かした。  ソン・ヤードン戦の判定負けから、再起を果たしたヴェラは最後に、「試合前にも言ったことだけど、もう一度言おう。僕はいいスピリットを持っているし、自分のため、家族のため、母国のために必死に頑張るタイプだ。僕のような取り組み方をすれば、きっと夢は叶う」と、大一番に勝利した思いを語っている。 [nextpage] ▼ヘビー級 5分3R○ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)254lbs/115.21kg[2R 3分47秒 TKO] ※左フック×ジュニオール・ドスサントス(ブラジル)238.5lbs/108.18kg  元王者のドスサントスは、2017年のスタイプ・ミオシッチ戦の敗戦以降、3連勝を飾ったが、2019年6月のフランシス・ガヌー戦で1R 71秒KO負け。続くカーティス・ブレイズ戦でもTKO負けで、キャリア初の連敗を喫している。  ホーゼンストライクは、2018年5月に当時4戦無敗でRIZINに参戦し、アンドレイ・コヴァレフにスプリット判定勝ちしたヘビー級ファイター。コンテンダーシリーズで勝利し、2019年2月からUFC参戦。アンドレイ・アルロフスキー戦を含む3試合で連続KO勝ち後、2019年12月のアリスター・オーフレイム戦では5Rに逆転のTKO勝ち。2020年5月の前戦では、フランシス・ガヌーに20秒でKO負けし、MMA初黒星を喫した。今回が再起戦となる。  1R、ともにオーソドックス構え。口ひげをたくわえたドスサントスは右のオーバーハンド、左ボディストレートを振る。かわすホーゼンストライクは、左インロー。ドスサントスの右ミドルをつかんでそのまま付いていって右を振るが、ドスサントスも回る。  右のオーバーハンドはドスサントス。しかし顔をずらすホーゼンストライクは左ロー。それがローブローとなり中断後再開。ドスサントスが右の後ろ廻し蹴りを見せてブザー。  2R、詰めるホーゼンストライクに半身気味の構えから右ストレートをアゴ下に当て、さらに左ボディストレートを突くドスサントス。その入りに右を振るホーゼンストライクは徐々に詰めて、右のフェイントから左、さらに詰めてサウスポー構えから右をヒットさせると、ドスサントスがダウン! 金網際で背中を見せながら立ち上がるドスサントスにさらに左右のラッシュでドスサントスがまたも崩れ、レフェリーが間に入った。ホーゼンストライクがTKO勝ち。  試合後、ホーゼンストライクは「できるだけ早く次の試合をしたかった。この勝利が必要だった。次? UFCにカードを任せるよ。最強の自分を作る。(タイトル戦?)そうだね。それが僕のミッションだ。フランシス(ガヌー)とやりたい。リマッチをしたい。ベルトを手にしたい」と、2020年5月に20秒で敗れたガヌーへのリヴェンジを語り、最後に母国スリナムの言葉で挨拶した。  また、試合後の公式のコメントでホーゼンストライクは、「向こう(ドスサントス)のペースを押し戻して、自分が後ろに下がるのを止める必要があった。だからペースを上げ、相手を捕まえて打ち込みながら、今度はスタンスを変えて右手でとらえて追いかけ続けたんだ。俺はすぐに打っていった。五分五分の勝負ってことは知っている。俺たちはパワフルだし、何と言ってもヘビー級だからね。捕まったらおしまいだ。俺はこの階級では危険なヤツだからな。今の俺より上位にいるヤツ全員と戦ってやる」と意気込みを語っている。 [nextpage] ▼フェザー級→キャッチウェイト 5分3R○ダニエル・ピネダ(米国)146lbs/66.22kg[2R 4分37秒 TKO] ※クルスフィックスからヒジ×エウベウ・バーンズ(ブラジル)149lbs/57.59kg ※体重超過  バーンズは、新型コロナウイルスの陽性反応から復帰したが、今回は3.5ポンドの大幅体重超過に。「ONE」「Titan FC」から「Contender Series 2019」での三角絞めでの一本勝ちでUFC入り。2020年1月にネイト・ランドウェアーを首相撲ヒザで1R TKOに下すと、6月の前戦では、エヴァン・ダナムを1R リアネイキドチョークで極め、UFC2連勝中だ。  対するピネダも柔術黒帯。2014年3月のロバート・ホワイトフォード戦での判定負けでUFC3勝4敗となりリリース。6年ぶりのUFC復帰戦となる。Legacy FC、Bellator、LFA、さらにFury FCでの3連勝を経てPFLで2試合を勝利もドラッグテスト陽性でノーコンテストに。コロナ禍、今回のオクタゴン復帰戦を決めた。  1R、ともにオーソドックス構え。右を伸ばしてテイクダウン狙いからバックを奪いにいくバーンズだが、背後のバーンズにヒジを打ち、正対から立ち上がり逆にテイクダウンはピネダ。  引き込み気味のバーンズは中腰からパウンドを狙うピネダに腕十字を狙うが、しっかり対応するピネダがボディ、顔面にパウンドで削る。さらに中腰から強いパウンド!   2R、左を伸ばして小外がけでテイクダウンはバーンズ! パウンドから立とうとするピネダのバックに回りハーフバック。腰をずらすピネダ。ツイスターも狙える位置から左脇に頭を入れ、左足に4の字ロック。  立ち上がりを狙うピネダに、バックについていくバーンズだが、正対するピネダが上に。サイドを奪い左腕を右足で押さえつけ、挟むクルスフィックスで、右脇は差してヒジ連打! ケージウォークを試みるバーンズだが腕は抜けず。ヒジを浴び続けるバーンズを見てレフェリーが間に入った。  7年4カ月ぶりのUFC勝利を決めたピネダは、アンダードッグの評価に「みんな僕の勝利を疑っただろう? 1週間で27ポンドも落としたよ。(バーンズの体重超過は)そうだね。でも彼のファイトマネーの一部(20%)をもらったからね。彼の柔術は優れているから難しい試合だった。彼はほんとうに強かったよ。すぐにバックを取られたしね。グラウンドでは向こうが強かった。とにかく冷静にならないといけなかったし、自分のやるべきことをやった」と、試合を振り返った。  また、公式インタビューでは、「彼も素晴らしいファイターだし、いずれ大きなことをやるだろう。でも、今は僕の方が少しだけ上回っている。(左目を腫らし)半分目が閉じていて申し訳ない。この傷が癒えたら、すぐにキャンプに入って、2週間とかじゃなくちゃんとフルでキャンプに臨んで、カーディオももっとちゃんと準備していくつもりだ。まだまだ強くなるよ」と、さらなる意気込みを語っている。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R○メラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)136lbs/61.69kg[判定3-0] ※30-27×3×ジョン・ドッドソン(米国)136lbs/61.69kg  12位のドッドソンはフライ級からバンタム転向後4勝4敗、15位の“テイクダウン・マシーン”デヴァリシビリはUFC4勝2敗で現在4連勝中。  1R、サウスポー構えのドッドソン。オーソドックス構えのデヴァリシビリは距離を詰めてダブルレッグテイクダウンもすぐ立つドッドソン。スタンドバックのデヴァリシビリはヒザを突く。  2R、アンクルピックを狙うデヴァリシビリ。金網まで詰めて尻下でクラッチし、リフトしてテイクダウンも、ドッドソンもすぐに立ち上がった。バックフィストで近づくデヴァリシビリ。さらに右で差して押し込むと左でヒジも突き、尻下でクラッチしテイクダウン。しかし抑え込むことなくドッドソンの立ち上がりを許す。  常に前後にステップを踏むデヴァリシビリ。外側の右に回るドッドソンも左右の連打で前に出るが、2R終了間際にダブルレッグテイクダウンはデヴァリシビリ。  3R、声を挙げて気合を入れるデヴァリシビリ。ドッドソンは後ろ手の左で牽制するが、デヴァリシビリは構わずワンツーで距離を潰すとヒザを触りに行く。またも金網際でクラッチしリフトテイクダウンするデヴァリシビリ。抑え込みに固執せず、逃がして再びスタンドに。右フックをヒットさせる。  胸を弾ませてステップを踏むデヴァリシビリはスタミナが切れない。右を振り、右で差して押し込むと右肩で押し上げてバックテイク狙い、さらに左手をヒザに持っていきダブルレッグも狙う。ブザーに雄たけびをあげるとドッドソンも両手を挙げるが疲労は隠せない。  判定は3-0でテイクダウンを続けたデヴァリシビリが勝利。師匠マット・セラから祝福を受けた。  5連勝を決めたデヴァリシビリは、お決まりのアフロヘアのかつらをかぶり、「僕のキャリアにとって最高の試合だった。疲れてもいない。とても厳しい練習をしてきた。セラロンゴチームのみんながサポートしてくれた。これからだ。今後はこれ(MMA)一本に絞っていきたい」と、プロファイターとは別の仕事を辞めてフルタイムファイターになることを宣言した。  その上で、「もっと試合をして稼ぎたい。もともと何者でもない僕がハングリーにのし上がったんだ。チャンスが欲しい。ショーン・オマリーが勝ったらやりたい」と、上位陣との試合を希望した。  また、試合後の公式のコメントでデヴァリシビリは、「僕はみんなをすごくリスペクトしている。(今後の対戦相手の)具体的な名前は出したくない。UFCが望む相手ならどんな選手とも喜んで対戦するよ」とあらためて、誰とでも戦う用意があることを語った。  さらにセラロンゴファイトチームについて「僕はチームとともにある。そうするのが今の僕たちの祝い方だ。特に今回(ラスベガスAPEXでの隔離生活)はニューヨークやチームのみんなと一緒にいることができなかった。今夜は僕たちチームのみんなで食事に行くよ。俺たちはいつもハッピーなんだ。ポジティブでいいエネルギーがある」と、チームの絆を語った。  これでUFC5連勝。最後にデヴァリシビリは「拠点のニューヨークのみんなやチームメイト全員、友達、祖国ジョージアのみんな、全員が喜んでくれている。僕にとって本当に大きな勝利だし、このエネルギーを感じている。(母国でも)たくさんの人々や子供たちが、僕に憧れてUFCを夢見ている。努力すれば僕のようになれるという手本を見せることができて幸せだ。僕はまだ始まったばかりで、もっとたくさんのことができるよ」と、さらなる飛躍を誓っている。 [nextpage] 【プレリミナリー】 ▼ライト級 5分3R○ヴィンス・ピッチェル(米国)156lbs/70.76kg[判定3-0] ※29-28×2, 29-27×ジム・ミラー(米国)156lbs/70.76kg  この試合が36試合目で単独UFC最多出場となるミラー。2019年は4月にジェソン・ゴンザレス、クレイ・グイダにチョークで一本勝ち。2020年2月の前戦では、ルーズベルト・ロバーツにアームバーを極めて一本勝ちしている。  対するピシェルは、7戦無敗から「The Ultimate Fighter Season 15」参戦。3試合を勝ち抜くもアル・イアキンタに判定負け。2012年12月のルスタン・ハビロフ戦のTKO負けからいったん試合から遠ざかるも、2014年1月の復帰戦以降、4連勝。2018年6月にグレゴー・ギレスピーに肩固めで敗れるも、2019年6月の前戦ではルーズベルト・ロバーツに判定勝ちしている。  1R、サウスポー構えミラー。オーソドックス構えのピシェルは右ストレートを当てる。左ハイを放つミラー。ピシェルはその入り際を狙う。右アッパー、左ローはミラーのローブローに。再開。左ストレートを放つミラーの右のテンカオを打つピシェル。  左で差して押し込むミラー。右足にシングルレッグを狙うが、差し上げられると右で差して左のヒジ、ヒザも、ピシェルは突き放す。左を振りながらそのままニータップ気味にテイクダウンを奪うミラー。  そのままバックを奪うとハーフバックで片足かけてリアネイキドチョーク狙いに。腰をずらして正対し立ち上がるピシェルにギロチンを狙う。さらにサイドバックから足関節狙い、カーフスライサーに! ピシェルも持ち手を掴んで極めさせない。  2R、右ハイを当てたピシェルだがそのまま受け止めてテイクダウンを奪ったミラー。蹴り上げから立ち上がるピシェルは逆にダブルレッグテイクダウン。ギロチンを合わせ、ハイガードも狙うミラーだが、足を払うピシェル。ミラーは再び潜りから足関節狙い。引きはがしたピシェルが上から右で差して背中を着かせると左ヒジを喉元に押し付け、肩固め狙い。口を手で押さえ、パウンドを入れる。  3R、ダブルレッグテイクダウンはピシェル。ニーオンに足関節を狙うミラーを潰してレッグドラッグからバックテイク。前に落としたミラーは立ち上がりがぶりからヒザ蹴り。ギロチンから金網側に跳ね上げめくるとサイドバック。バックへ。足をかけさせなかったピシェルが落として立ち上がる。付いて行くミラーは金網に押し込むが、ピシェルは首相撲ヒザ!   離れるミラーの右を打ち込み押し込み首相撲ヒザ蹴りはピシェル! さらに離れ際に右ハイ! さらに押し込んで行くがそこにギロチンチョークはミラー! クローズドの中に入れて絞め上げるが、頭を抜いたピシェルがパウンドを入れてゴング。判定3-0でピシェルがレジェンドを下し、2連勝を決めた。  試合後の公式のコメントでピシェルは、「最初のラウンドは相手の動きを学び、様子を見ながら、向こうのセコンドの声に耳を傾けていた。彼のセコンドが何をしろと言っているのか聞いていたんだ。相手がどうやってトレーニングしてきたのか、僕への対策をどうしてきたのか、それを知った上で攻めて行きたかったから」とミラーの動きと作戦を見極めていたことを語った。  また、トップを取りラウンドを取り返した2R目について、「2Rはテイクダウンを狙われたけど許さなかった。金網際で倒されることなんて無いと思っていたけどね。もし誰かが僕へのテイクダウンを成功させられるとするなら、唯一のチャンスはオープンマットだ。僕はレスリングが上手いわけじゃない。でも、ことケージレスリングとなれば、テイクダウンさせられることはない。だからそれを待っていたんだ」と、ケージレスリングに絶対の自信を持っていることを明かした。  さらに、「2Rはうまく相手を疲れさせられたと思うし、ほとんどやられていない。2R目はなんというか、彼が人生をかけて戦っていたような気がする」と勝負を分ける大事なラウンドだったと振り返ると、「僕の方はちょっとダーティな作戦で、彼の口を覆ったから、あまり息が出来なかったと思うけど、でも反則じゃないだろ? 反則だったらやるべきじゃないけど。とにかくジムを疲れさせたかったんだ」とスタミナを奪うためになりふり構わず戦っていたことを語った。 「俺は強引に押し通すタイプだけど、初めはスローにいって相手を学ぶ。でも、その後はとにかく押して押して押しまくる。こっちがくたばるか、向こうがくたばるまで」と強い気持ちを見せたピシェル。再び乗った連勝街道をどこまで進めるか。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R○ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)115.5lbs/52.39kg[1R 1分44秒 腕十字]×フェリス・ヘリッグ(米国)116lbs/52.62kg  ブラジルのジャンジローバは柔術黒帯。2018年3月に魅津希と激闘の末、スプリット判定で勝利しInvictaストロー級王者に。続く2018年9月にジャナイサ・モランジンに肩固めで一本勝ちし、14戦無敗でUFCへ。元王者のカーラ・エスパルザ相手にテイクダウンを奪われ判定負けでMMA初黒星を喫した。前戦ではUFCデビュー戦のマロリー・マーティンを相手に2R、リアネイキドチョークで一本勝ちしている。  対するヘリッグは女子ストロー級の15位。キックボクシングベース。2016年7月からUFC4連勝も、2018年4月にカロリーナ・コバケビッチにスプリット判定負け、同10月にミッシェレ・ウォーターソンに判定3-0で敗れ、現在2連敗中。今回はヒザの負傷からの1年10カ月ぶりの復帰戦となる。  1R、左を見せながらダブルレッグテイクダウンはジャンジローバ。ハーフから足を効かせるヘリッグの立ち際をバックを奪うとリアネイキドチョーク狙い。正対するヘリッグからマウントを奪うと腕十字へ。クラッチを組み直してタップを奪った。  2連勝のジャンジローバはランキング入り確実に。中国のジャン・ウェィリーを頂点とし、日本の魅津希、村田夏南子が参戦するUFC女子ストロー級の高き頂きを駆け上がるか。  試合後にポルトガル語で勝利の喜びを語ったジャンジローバは、公式のインタビューに、「みんなもご存知の通り、私はBJJのスペシャリスト。インタビューでも言った通り、プランAとプランBがあって、今日はプランAがうまくいった。これまで誰にも言ったことはないけど、キャンプ中にちょっと問題があって。前歯を無くしたの。もう絶対に失いたくなかったから、できるだけ早く決めようと思ってた」と、補強したばかりの前歯にダメージを負わないよう、早期決戦を図っていたことを明かした。  さらに「フェリスはランカーだったから、来週には私がランキング入りしているといいけど。この階級で名を上げたと思うし、出来ればUFCがもっと私のことをケアーしくれて、トップ10の対戦相手とやらせてくれたらいいんだけど。ランキングに入っている選手なら誰でもいい。トップ5でも、UFCが用意してくれる試合なら喜んで受けるつもりだけど、ランキングを駆け上がって行きたいから、上位の人とやれたら最高」と上位陣との対戦を熱望。 「とにかくランキングを上げることに集中しているから、誰でもいい。空いている人なら、喜んで受けて立つ。時期としては、別に明日でも戦える。正直、ほとんどダメージはないし、来週でもいいかな。でも、(コミッションが定める)試合間隔を開けなければダメでしょうから、それが終わればすぐに戦いたい」と、約8カ月間隔で試合を行っているペースを上げたいとした。 [nexpage] ▼フェザー級 5分3R○ダニー・チャベス(米国)146lbs/66.22kg[判定3-0] ※29-28×3×TJ・ブラウン(米国)146.5lbs/66.45kg ※体重超過  UFCデビュー戦のチャベスはキックベースながら柔術黒帯。現在3連続1R KO中。対するブラウンも柔術茶帯。  1R、ともにオーソドックス構えから。チャベスの右カーフキックにダウンするブラウン。チャベスは深追いせず。立ち上がるブラウンはサウスポー構えに前足を変える。  2R、サウスポー構えから左ハイを狙うブラウン。しかしチャベスの右ハイが伸びてくる。ブラウンは右で差して押し込むがチャベスが突き放す。  ブラウンは左ミドルを当てると右ストレート! しかしチャベスは右を当てるとブラウンの低いテイクダウン狙いを切り、がぶり。頭を横に出して立ち上がるブラウン。サウスポー構えからの左ミドルはヒツト。バックフィストも見せる。  3R、やはりサウスポー構えのブラウン。ダブルレッグはチャベスがしっかり差し上げ切ると下になったブラウンは外掛けで足関節のトランジションから立ち上がる。  左右を振り前に出るブラウン。オーソからワンツー。チャベスの左ローに構わず前に。さらにダブルレッグも切るチャベス。しかし手数が減る。声を挙げながら前に詰めてヒジを打つ。  しかしチャベスはヒザ着きながらダブルレッグテイクダウン! 残り30秒ほどをバックコントロールから投げを連続し、ブザー。判定は3-0でダウンを奪ったチャベスが勝利。MMA4連勝でオクタゴンデビューを勝利で飾った。  試合後、勝者チャベスは公式のインタビューで、「このために14年間トレーニングしてきた。ここで戦っているなんて最高の経験だし、最高の瞬間だ。初めてオクタゴンに入った時はみんな緊張して落ち着かないと言うけど、自分の今までの経験があってここに来られたと感じでいたし、自信があったから、僕はそんなことは感じなかったな。ベテラン選手と対戦して最高な気分だよ」と喜びを語った。  ニューヨーク州クイーンズで生まれ、7歳のときにコロンビアのボゴタに行き、父と出会った彼はケネディの町に14歳まで住んでいた。コロンビア系米国人として、「チームやチームメイト、それにラテンアメリカやコロンビアといった大きなグループがサポートしてくれて素晴らしい気分だ」と、コミュニティのバックアップに感謝の言葉を述べると、「俺と俺のチームは試合のためにいつも良いゲームプランを思いつくんだ。そのプランとはアウトボクシングとキックで相手の利き足を奪って止めることだ。3Rで向こうの経験が助けになったと思う。俺は3Rちょうど中盤でフェードアウトし始めていたんだけど、それから試合にのめり込んでいって、乗り越えられるようになった」と、ピンチを越えて、相手の利き足を攻めることが効果的だったと語った。 「年が明ける前にもう一度戦いたい。それは確定だと思うけど、そんなに長く休むつもりはないよ」と試合を欲したチャベス。コロンビア戦士のUFC2戦目はいつになるか。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R○リヴィナ・ヘナタ・ソウザ(ブラジル)115.5lbs/52.39kg[判定3-0] ※29-28×2、30-27×アシュリー・ヨーダ(米国)115.5lbs/52.39kg  接戦をモノにしたソウザは試合後、「去年の7月に戦って、この勝利を目指してやってきたからいいペースだと感じている。私としては最高の気分よ。パンデミックの時期にはいろいろ不安があった。この勝利はチーム、コーチ、家族にとって大きな意味がある。祖国ブラジルにも、ダナ(ホワイトUFC代表)にも、ショーン・シェルビー(UFCマッチメーカー)にも、UFCのみんなには感謝しかない。UFCでもっと戦わないといけないわね。誰とでも、どこでも戦う準備はできているけど、私の夢は、もしダナがチャンスをくれたらファイトアイランドで試合をすること、その準備はしておくわ」と、早くも次戦に向けて準備万端であることを語っている。 ▼ヘビー級 5分3R○クリストファー・ドーカス(米国)241lbs/109.32kg[1R 4分28秒 TKO]×パーカー・ポーター(米国)264.5lbs/119.98kg※左フックでダウン奪い、左右6連打から金網詰め右ヒザ ドーカス「中央にワンツーを確実にヒットさせることができる」(※試合後公式コメント)「10年近くかけて取り組んできたものを手に入れることができて気分は最高さ。結果にはこの上なく満足している。すべての対戦相手に対してゲームプランを立てる、それが俺たちが取り組んできたこと。相手は少しワイルドなパンチや左の強打に続いて、ドギツいオーバーハンドを打ってきたから、タイトに行こうと思って真ん中での戦いに集中した。向こうのスピードが速いと知っていたから、この試合のために体重をかなり落としたよ。食事を変えてすべてを変えた。だから相手より自分の方が速いと思っていたし、相手の中央にワンツーを確実にヒットさせることができると思っていた。できる限り早く戻ってくるよ。メディカルチェックをパスして、仕事をクリアにして、UFCから許可をもらって、ケージで戦いを挑みたいヤツがいれば俺は乗り気だよ」 ▼フェザー級 5分3R○カイ・カマカ(米国)145.5lbs/66.00kg[判定3-0] ※29-28×3×トニー・ケリー(米国)145.5lbs/66.00kg カマカ「俺が下がらなければ、ジャブもタイミングも分かりにくいはず」(※試合後公式コメント) 「ここに来られてほっとしている。俺がいるべき場所だからな。完璧だったけど、俺がここに相応しいというのをみんなに知ってもらえたから、試合も何もかも、さらにステップアップしていかないといけない。この場に来られて良かったし、やっとここに来ることができて嬉しくて、ホッとしている。ここに辿り着くのを目標に努力してきたわけでも、キャリアアップのために取り組んできたわけでもない。3Rで逆転されないようにする必要があった。ただそれだけだ。自分の足に拘れば、向こうはタイミングを掴めないだろうと思ったしね。後ろに下がれば相手がスピードを出してくる。でも、俺が下がらなければ、俺のジャブもタイミングも向こうは分かりにくくなる。祖母の家に行ってリラックスするよ。子供たちのいる家に帰るのが待ち遠しい。でも俺が祝いたいのは、妻がもうすぐ出産予定で長男が生まれるから、それはそれで安心だしホッとするね」
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