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【UFC】RIZIN王者プロハースカが衝撃KOデビュー「タイトルを獲るのが僕のミッション」、3大王座戦も=「UFC 251」写真追加

2020/07/11 13:07
 UFCのファイトアイランドデビュー大会となる「UFC 251」が2020年7月11日、アブダビのヤス島にて行われた。事前に公開されていたビーチ沿いのオクタゴンはモデル用で、実際は特設会場内で試合は行われた。  メインイベントでは「UFC世界ウェルター級選手権試合」として、王者カマル・ウスマン(ナイジェリア)にホルヘ・マスヴィダル(米国)が挑戦。  新型コロナウイルスに感染したギルバート・バーンズ(ブラジル)の代わりに6日前のオファーでタイトルマッチに挑んだマスヴィダルは5R戦い抜くも勝利には届かず。手堅くケージレスリングでドミネートしたウスマンがユナニマス判定勝利。GSPに並ぶUFC12連勝で2度目の防衛に成功している  セミメインイベントでは、「UFC世界フェザー級選手権試合」として、アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)とマックス・ホロウェイ(米国)が7カ月ぶりの再戦。  リベンジを狙うホロウェイが5Rの長期戦を巧みに戦ったが、中盤以降をパワフルな打撃とテイクダウンも混ぜて対抗したヴォルカノフスキーがスプリット判定で勝利。王座防衛を果たすと同時にホロウェイに2連勝した。  バンタム級では、ヘンリー・セフードの引退・王座返上により、同級3位のピョートル・ヤン(ロシア)と6位のジョゼ・アルド(ブラジル)が「王座決定戦」。ローキックを効かせるなどアルドがスタンドの巧さを見せたが、パウンドをボディに効かせたヤンが5R左ストレートを当ててボディ連打でダウンを奪いパウンドアウト。TKO勝ちで新王者に。今後、ランキング1位のマルロン・モラエス、2位のアルジァメイン・ステーリング、4位にコディ・ガーブラントらとの対戦も楽しみな群雄割拠のバンタム級戦線となっている。  また、プレリムのトリでは、元RIZIライトヘビー級王者イリー・プロハースカ(チェコ)がオクタゴンデビュー戦で、UFC同級7位でタイトル挑戦経験もあるヴォルカン・オーズデミア(スイス)と対戦。プロハースカが2R、右ストレートで衝撃の失神KO勝ちを決めている。 UFC 251:ウスマン vs. マスヴィダル 現地時間2020年7月11日(土)、日本時間12日(日)UFCファイトアイランド(アラブ首長国連邦・アブダビ) 【メインイベント】 ▼UFC世界ウェルター級選手権試合 5分5R○カマル・ウスマン(170lbs/77.11kg)[判定3-0] ※50-45×2, 49-46×ホルヘ・マスヴィダル(170lbs/77.11kg)※ウスマンが2度目の王座防衛に成功  メインイベントの『UFC世界ウェルター級選手権試合』の前日計量では、王者カマル・ウスマン(ナイジェリア)が170lbs(77.11kg)でパス。当初、ウスマンはサンフォードMMAの同門ギルバート・バーンズ(ブラジル/同級1位)と対戦予定だったが、バーンズが新型コロナウイルス感染により欠場。試合まで6日間という短期間ながらもバーンズの代役として、ホルヘ・マスヴィダル(米国)の出場が決定していた。スクランブル参戦となるマスヴィダルも王者と同じ170lbs(77.11kg)で無事パス。  本計量では、白マスクを着けたまま秤に乗ったウスマンに対し、マスヴィダルはマスクは着けず、長髪に髭をたくわえたまま、ショーツを脱いで計量をパス。笑顔でいつもの後ろ手のポーズを見せている。  レスリングでNCAAディビジョン2優勝、オールアメリカンに3度選出されている王者ウスマンは、2012年にプロMMAプロデビュー。2015年の「The Ultimate Fighter 21」ウェルター級トーナメントで優勝後、UFCで10勝全勝と無敗を誇る。2019年3月に4度の防衛を果たしているタイロン・ウッドリー(米国)を判定で下し王座を奪取。アフリカ初のUFC王者となり、12月にコルビー・コヴィントン(米国)を相手に5R、右ストレートでTKO勝ちし初防衛に成功。今回が2度目の防衛戦となる。  対するマスヴィダルは、ウェルター級3位。2003年の「HOOKnSHOOT」でのデビューから17年のキャリアを誇り、日本の戦極では北岡悟をパウンドアウトした戦績も持つ。Strikeforceを経て、2013年からUFCに参戦し、12勝6敗。2015年4月までライト級戦線でマイケル・キエーザやダロン・クルックシャンクらに勝利するも、2015年7月にウェルター級復帰。セザール・フェレイラを 1R KOに下すと4勝4敗。2017年3月から約1年半戦線から離れていたが、2019年3月のドナルド・セラーニ戦以降、ダレン・ティル、ベン・アスクレン、ネイト・ディアスといった実力者たちを相手に“マネーファイト”を繰り広げ、3連勝を飾っている。  特に、2019年7月のアスクレン戦での右跳びヒザ蹴りでの1R、わずか5秒でのKO勝ちは、UFC史上最速KOタイムとなっている。今回の緊急参戦で無事計量をクリアしたマスヴィダルは、どんなコンディションで臨むか。  口に手を当て画面に向かいキスを左右から連続で投げるマスヴィダル。ブルース・バッファーから「BMF王者」とコールされる。  1R、オーソドックス構えのウスマンに、サウスポー構えのマスヴィダルは間合いを詰めて打ち合いに、そこにダブルレッグを合わせたウスマンがテイクダウン! クローズドガードを取るマスヴィダルは下から頭を押さえる。足を開き、蹴り上げからシングルレッグで立ち上がるマスヴィダル。がぶるウスマンから立ち上がる。  さらに組みに行くウスマンを首相撲ヒザはマスヴィダル。しかしその後のマスヴィダルの左ローを掴んだウスマンはダブルレッグから金網際でバックテイク狙い。右で小手に巻くマスヴィダルによるに持ち込むウスマン。マスヴィダルは離れ際にヒジを打ち距離を取る。ウスマンの打撃に左目下をカットしたマスヴィダル。ウスマンの右のダブルに緊急出場のマスヴィダルは肩で息をしてサークリング。押し込むウスマンはクリンチボクシングで押し込む。  2R、シングルレッグを肩口に持ち上げるウスマンだが足を抜くマスヴィダル。さらにダブルレッグに入ると小手に巻いて投げを凌ぐマスヴィダルは倒れず。金網背に四つで相手の対角の手を取るマスヴィダル。押し込むウスマンはヒザ蹴り。体を入れ替えるマスヴィダルを再び入れ替えて肩パンチを放ち、離れ際に右を狙う。  マスヴィダルの大きな左をかわすウスマンはそのまま組みに。金網背にするマスヴィダルに細かくボディ打ち。さらに足の甲を踏みつけ、左太腿に鉄槌を打ち付ける。肩パンチも打ち、マスヴィダルを削るウスマン。しかし離れるとウスマンの右がヒット! さらに右のカーフキック。ブザーに両者目線を合わせる。  3R、左インローを打つマスヴィダル。さらに左ミドル。詰めるウスマンの組みに笑顔を見せるマスヴィダルは四つに。首相撲ヒザに持ち込みウスマンを離すと、打ち合いはウスマンは避けて組みに。頭をアゴ下につけて押し込むと左ボディを打つが、それがローブローと認められ中断。再開。  右前蹴りから入るマスヴィダル。さらに右ロー。ウスマンは左ジャブもかわすマスヴィダル。ダブルルレッグからドライブしてテイクダウンするウスマン。金網背にすぐに立つマスヴィダルだが、ウスアンはボディロックから後方にテイクダウン。バックに回りかけるが、ここはマウヴィダルが正対してガードに。中腰から上腕チョークを狙うウスマン。  4R、マスヴィダルの左ミドルを受けた後、シングルレッグを持ち上げてドライブするウスマン。金網に詰めるが四つに自ら離れて、ダブルレッグに入り直してテイクダウン。立つマスヴィダルに再び肩パンチ&踏みつけを繰り出す。離れては左右を振ってすぐに組み付くウスマン。突き放すマスヴィダルだがスタミナを削られて手が出ない。左フックを振って押し込むウスマン。マスヴィダルは金網背に頭を顎下につけられ釘付けにされる。  5R、じりじりと詰めるウスマン。左ジャブで顔を上げさせると、ダブルレッグ。そして右で差してマット側に回してテイクダウン。マスヴィダルは金網側に頭を動かし、立ち上がりを狙う。ヒザをスペースに入れて足関節を狙うマスヴィダル。シングルレッグもがぶり頭を押さえるウスマン。マスヴィダルは頭を抜いて金網背に立ち上がる。  最後に打撃戦を挑むマスヴィダルだが、ウスマンはさばきブザー。5Rの判定は、3-0(50-45×2, 49-46)で、今回のベルト挑戦に執着を見せなかったマスヴィダルに、盤石の戦いをしたウスマンが勝利。  GSPに並ぶUFC12連勝で2度目の防衛に成功したウスマンは、「彼は6日前のオファーにも関わらず受けてくれてしっかり準備もできていると感じた。僕もジョルジ・サンティアゴら、ブラックジリアンズの尽力でしっかり準備できた。マスヴィダルがタフなのは分かっていたからサプライズは無い。より強い者として自分が残った」と試合を振り返ると、「僕が山の頂点にいてチャンピオンだ。誰もが僕を見ている。だからコンテンダーが途切れるなんてことは絶対にない。何よりもまず、ずっとトレーニングしてきたし、2月から練習しているんだ。予定では今回の試合が4月のはずだったからね。でも、その後、5月になって6月になっても試合が実現せず。娘からずっと休暇に連れて行ってくれって言われているんだ。また旅行ができるように世界が元に戻ってくれることを願っている」と落ち着いた口調で語った。 [nextpage] 【セミメインイベント】 ▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5R○アレックス・ヴォルカノフスキー(145lbs/65.77kg)[判定2-1] ※48-45×2, 45-48×マックス・ホロウェイ(145lbs/65.77kg)※ヴォルカノフスキーが王座防衛  2019年12月にホロウェイのタイトルにヴォルカノフスキーが挑戦した試合のダイレクトリマッチ。  ヴォルカノフスキーは元豪州AFCフェザー級&グアムPXCフェザー級王者。PXC時代に矢地祐介に4R一本勝ち。UFCデビュー戦で粕谷優介に2RTKO勝ち、2戦目で廣田瑞人に判定勝ちと日本人キラーでもある。  2019年5月の『UFC 237』でジョゼ・アルドに判定勝ち。2019年12月のホロウェイ戦での判定勝ちでUFC戦績を8戦全勝としている。  対するホロウェイは、2019年12月に4度目のフェザー級王座防衛の相手としてヴォルカノフスキーと対戦し、判定負けで王座陥落。今回のコロナ禍に自宅待機令が施行されていたハワイで、コーチとZOOMを通してトレーニングし、スパーリングをしなかったため無傷でタイトルマッチに臨めるという。  1R、ともにオーソドックス構え。両手を上に上げて圧力をかけるホロウェイ。遠い距離のヴォルカノフスキーは入りのタイミングをはかる。右の前蹴りはホロウェイ。ヴォルカノフスキーの入りに右ボディを突く。  右ローのダブルから右ミドルはホロウェイ。詰めるヴォルカノフスキーも慎重。スイッチしての左インローを当てると頭を下げての左フックを当てる。跳びヒザで牽制のホロウェイは後ろ蹴りも。ホロウェイの詰めての右ハイを浴びたヴォルカノフスキーが片ヒザをマットに着いて崩れるもすぐに立て直す。  2R、プレスをかけるホロウェイ。右に回るヴォルカノフスキーは左インロー。ホロウェイも右ローを返すと左フックを当てる。サークリングするヴォルカノフスキーを追うホロウェイ。関節蹴りも見せるとヴォルカノフスキーは左フックも単発。その入りにホロウェイは右ヒザを合わせる。  前足に右のカーフキックを当てるヴォルカノフスキー。ローに右ストレートを狙うホロウェイ。右ストレートも。ヴォルカノフスキーは右を振って連打で詰めるが、その入りにホロウェイは左をヒット! ヴォルカノフスキーはまたも片ヒザを落として崩れる。  3R、右の跳びヒザで詰めるホロウェイ。ヴォルカノフスキーも左ボディから右フックで詰めるがさばくホロウェイ。中間距離でこの試合初めてのダブルレッグに入るヴォルカノフスキー。腕を差し上げるホロウェイに金網まで押し込むが、両脇を差し返したホロウェイは押し込んで離れる。  オーソから左フックの飛び込みはヴォルカノフスキー。ブロックするホロウェイはパンチのフェイントから左ハイをブロック上に打つ。インローを突くヴォルカノフスキー。詰めると右でホロウェイの顔をかすめる。  4R、詰めて行くホロウェイ。打ち合いのなかで被弾するが圧力を強めて行く。左ストレート、さらにインローにホロウェイはバランスを崩す。鼻柱から出血するホロウェイ。ヴォルカノフスキーも左目下を腫らす。左ボディストレートはヴォルカノフスキー。長いジャブはホロウェイも。一気に詰めたヴォルカノフスキーはボディロック&大内刈でテイクダウンもすぐに金網使い立ち上がる。  ダブルレッグからシングルレッグに切り替えるヴォルカノフスキー。そこにクリンチアッパーを入れるホロウェイ。ヴォルカノフスキーの強打に跳びヒザ蹴りで応戦する。手数多くしたヴォルカノフスキーのラウンドに。  最終5R、ハイキックから詰めるホロウェイ。ヴォルカノフスキーも押し返し左右。ホロウェイはハイキックを狙う。ダブルレッグに入るヴォルカノフスキーに差し上げるホロウェイが右アッパーで飛び込むが、ステップバックでかわすヴォルカノフスキーはついにボディロックからテイクダウン! しかし金網使い立つホロウェイ。互いに厳しいタフな試合のなか、四つに組むヴォルカノフスキーも離れる両者。終了間際、左で差して四つから右に崩してテイクダウンを奪ったヴォルカノフスキーがホロウェイに背中をつかせてパウンドを振ってブサー。  判定は2-1のスプリットで、長期戦で王者攻略をしかけたホロウェイに、パワフルな打撃とテイクダウンも混ぜて対抗したヴォルカノフスキーが勝利。フェザー級王座防衛に成功した。  王者として再びベルトを巻いたヴォルカノフスキーは試合後、公式のインタビューで「タフな試合だった。マックスは立ったまま後ろになんて下がりゃしない。序盤のラウンドは手こずらされたよ。思ったほどキックを生かせなかったけど、仕事は果たした。俺はわりとオールラウンダーなファイターだけど、前回の試合からまだ足が完全ではなくて右の蹴りはほとんど使っていない。やってみたけど、これは使えないなと思った。そうしたら、左足もヤバくなったけど、使い続けている限り痛みは感じないとも思っていた」と試合を振り返ると、判定勝利について、「2ラウンドずつ取って最終ラウンドに突入するだろうなと思っていたし、最後のラウンドは俺が取るつもりでいた。フィニッシュしたかったけどね。判定でも俺が勝った、それが大事だ」と語った。  また、試合前の舌戦について、「マックスはタフだ。ゲームもうまい。俺たち2人ともハードワーカーだけど、俺は仕事を果たした。マックスには尊敬しかない。いろいろ言い合ったけど、きっと俺と同じようなことをやろうとしていただけだろう。これはファイトゲームだ。お互いに短いキャンプだったけど言い訳は無しだ」と遺恨は無いとした。  さらに今後について、「もちろん、年内にもう一度試合がしたい。アクティブでいたいんだ。コンテンダーを追い求めるようなチャンピオンでいたい。この階級は試合を控えているやつが多いから、一人ひとりに注目している。一番のコンテンダーとやりたいからね。俺はそれを希望している」と、コロナ禍のなかでアグレッシブに活動していくことを語っている。 [nextpage] 【メインカード】 ▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5R○ピョートル・ヤン(135lbs/61.24kg)[5R 3分24秒 TKO] ※パウンド×ジョゼ・アルド(135lbs/61.24kg)※ヤンが新王者に  王者ヘンリー・セフードの引退・王座返上により、バンタム級3位のヤン(ロシア)と6位のアルド(ブラジル)が「王座決定戦」に臨む。  アルドは王者セフードと2019年5月にブラジルで対戦予定だったが、新型コロナウイルスの影響でブラジル大会が開催不可に。ブラジルから出国できないアルドに代わり、ドミニク・クルーズがセフードと対戦したが、セフードがKO勝ちし王者のまま引退している。  バンタム級戦線では、ランキング1位のマルロン・モラエスがアルドに勝利。2位にアルジァメイン・ステーリング、3位にヤン、4位にコディ・ガーブラントがつけるなど、群雄割拠となっている。  UFC6戦全勝のヤンはボクシング&レスリングが武器。“レジェンド”アルドは、2019年12月にバンタム級に転向し、モラエスに3R戦でスプリット判定で敗れている。今回が再起戦にして2階級制覇のベルトに挑むことになった。  1R、ともにオーソドックス構えからの入り。右をボディストレートで突くアルド。ヤンも左を突いて大きな右を振る。さらに左ジャブから右ストレートをヒット! アルドは顔を振られるが持ち直す。アルドは右ローでヤンをこかす。  前手を伸ばしジャブを突くアルド。右ローは空振り。ヤンは右ハイを見せる。かわすアルドはワンツーで牽制。ワンツーから下にも突くヤン。さらに右もアルドはアゴを引いて受ける。またも長い右に今度はスリッピングアウェイでアゴを逃がすアルド。  ダブルレッグに入るアルド。切るヤンはインサイドから中腰になり右の強いパウンド! 蹴り上げから突き放すアルドだが立てず。レバーへのパウンドにアルドはいったん丸まって頭を抱えてガード一辺倒になり止められる寸前になるが、あらためてガードを作り直す。ヤンのラウンド。  2R、ヤンは強いワンツー。かわすアルドは近い距離に入り右から左ボディ。サウスポー構えのヤンの強振をしっかりステップバックし体勢を立て直す。ヤンのワンツーを顔先で避けるアルド。サウスポー構えから左ローを蹴るヤン。アルドも右インローを当て、右ハイ! ガードするヤンだが大きな音が響く。左ジャブのヤン。  3R、右の蹴りをヒザに繋げるアルド。サウスポー構えのヤンも左ミドル。ブロックするアルド。ヤンは大きな左を振る。右ジャブのヤンも右ボディストレートを当てるアルド! 動きが鈍くなるヤンにアルドはさらに右ミドル、ボディ打ち! 詰めるアルドにヤンは回る。さらにアルドは右ロー! 近い距離で左でレバーを打つ。ヤンは左右を振って前に出るが上半身のみで避け、脇を潜るアルド。ヤンのバックフィストもブロック。しかしヤンの連打から左を当てる。クリンチからアルドはバックヒジを見せてブザー。  4R、ヤンにとっては初のラウンド。ヤンの入りの頭の下がりに右ミドルを当てるアルド。ヤンも左ミドルで前進。アルドは右ミドルを返す。左ボディを当てるアルドにそこからの打ち返しで前に出るヤンもアルドの顔を振らせる。頭をズラしてデフェンスするアルド。スタンドの攻防はアルドにとって庭。肩の動きで決定打は許さない。  しかし、右ジャブ、左ミドルで押していくヤン。フィジカルで押していくアルドは下がりながら鼻血。金網に詰まると左を浴びる。ヤンの崩しに下になりガードを取るアルドだが左脇腹を隠す。クローズドに引き入れるアルドはヤンのパウンドを凌ぐ。立ち上がり際も半身になるが腹に手は添えない。  5R、ハグから最終Rに向かう両者。ヤンの右から左ストレートのワンツーに一気に金網まで下がるアルド! ヤンの連打はボディ打ち。身体を丸めて下になるアルドはハーフガード。しかし右腕をはり付けられパウンドを浴びるアルド。ヤンはバックマウントから強烈な鉄槌連打。止められてもおかしくないが、身体を動かすアルド。亀になったアルドに右の拳を連打するヤン。亀のまま頭をガードするアルドは立てない。動きが止まり、ようやくレフェリーが間に入った。  バック宙で勝利を喜んだヤンはUFC7連勝、MMA10連勝で王座獲得。ロシア国旗を肩にベルトを腰に巻いた。  試合後、ヤンは「ハードヒットの試合だった。(アルドのローキックで)足をやられてスイッチしなければならなかった。序盤はプレッシャーをかけて、相手を疲れさせてから、3R以降に攻撃し始めようと思っていた。まさにその通りに出来たと思う。1Rと2Rは向こうがハードなパンチやローキックを入れてきた。俺は待ってプレッシャーをかけにいったんだ。中盤以降はこっちの番。いいノックアウトだったね。気に入ったよ」と試合を振り返ると、「世界がすごい状況の中で今回の試合の準備をしてきたんだ。世界が閉鎖されているのに、俺たちは必死に準備している。アルドはレジェンドだ。彼に対しては尊敬しかない」とあらためて33歳で28勝7敗の戦績を持つアルドに敬意を示した。 “黄金のバンタム”にはベルトを狙う選手が多い。ヤンは、「この階級のトップ5はものすごくタフなファイターばかりだ。ナンバー1のコンテンダーはアルジャメイン・スターリング。俺は誰とでも戦う。好きだからね、これが俺の仕事だ。子供が生まれて大きなモチベーションになったんだ」とベルトを肩にかけたままインタビューに臨んだ。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R○ローズ・ナマユナス(116lbs/52.62kg)[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ジェシカ・アンドラージ(115lbs/52.16kg)  女子ストロー級1位のアンドラージと、2位のナマユナスによる1年2カ月ぶりの再戦。前戦は2Rにアンドラージのスラムでナマユナスが失神KO負け。王座から陥落している。その後、アンドラージは2019年8月の中国大会でジャン・ウェイリーに1R TKO負けを喫し、王座陥落。今回が再起戦となる。  1R、ともにオーソドックス構え。長身でアップライトのナマユナスに対し、前傾のアンドラージ。両者ともに小刻みに動くと、ナマユナスはジャブ&ロー。アンドラージは踏み込んで右。しかしその入りにナマユナスはカウンターの右を当てる。  左のダブル、あるいはボディ打ちから入るアンドラージ。しかし距離を外すナマユナスは前蹴り。前に出て組むアンドラージだが、ナマユナスは頭を下げさせてのヒザ蹴り。突き放すナマユナス。右ローを当てるアンドラージ。左フックの飛び込みはナマユナスが左にステップしてかわす。  2R、ジャブ・長い蹴りはナマユナス。踏み込んでの右ローはアンドラージ。右ストレートをジャブのように当てるナマユナス。左ジャブには右クロスを狙うアンドラージ。しかしナマユナスは右を当てる。アンドラージは疲労か頭の振りが少なくなる。アンドラージの大きな右をかわすナマユナスに詰めて右アッパー、ボディを突くアンドラージは終了間際には詰めて左フックを当てるも連打には繋げられず。  3R、ジャブを突くナマユナス。アンドラージも右を振って入って行く。ジャブを突いて、アンドラージの打ち返しにはサイドに回るナマユナスは右のオーバーハンド! アンドラージの左右の振りにジャブをこつこつと合わせる。ナマユナスも鼻血を流すなか、右を振って右で差したアンドラージが払い腰テイクダウン! 下から三角絞め狙うナマユナスは蹴り上げから立ち上がる。  後ろ蹴りを当てるナマユナス。アンドラージは相打ちをパワフルに打つ。左ボディを振りながら前に出るアンドラージにダブルレッグに入るナマユナスだが捨て身気味に。切るアンドラージは右アッパー! 最終ラウンドを取り返したか。  手数はアンドラージも的確な打撃はナマユナス。判定は2-1(29-28×2, 28-29)で左目下を腫らしたナマユナスが接戦を制した。  試合後、ナマユナスは「序盤は最高でした。向こうが後半巻き返してきました。自分が大好きなことをやっているということを思い返しながら、テクニック、すべての練習に取り組んできました。またすぐに試合がしたい。できれば年末までにジャン・ウェイリーと対戦したいです。でも、まずは鼻の状態を確認してからね」と元王者らしく、タイトルマッチの展望を語った。 [nextpage] ▼女子フライ級 5分3R○アマンダ・ヒバス(126lbs/57.15kg)[1R 2分21秒 腕十字]×ペイジ・ヴァンザント(126lbs/57.15kg)  柔道&柔術黒帯のヒバスはストロー級14位。今回はヴァンザントに合わせてフライ級戦に臨む。UFCデビュー戦でエミリー・ウィットマイアをリアネイキドチョークで極めると、2戦目で当時無敗だった柔術世界王者・マッケンジー・ダーンにも判定勝ち。2020年3月の前戦ではランダ・マルコスに判定勝ちと3連勝中。  対するヴァンザントは、20歳でUFCデビュー後3連勝。米国版『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』で2位になるなど知名度が高い。ストロー級でベック・ローリングにTKO勝利も、ローズ・ナマユナス、ミッシェル・ウォーターソンには一本負け。階級を上げたジェシカ・ローズクラーク戦でも判定負けと苦しみながらも、2019年1月にはラケル・オストヴィッチに逆転の腕十字で一本勝ちしている。  1R、ともにオーソドックス構え。ヒバスは左ミドルから組むと首相撲から首投げ! 袈裟固めに対し後ろからヒバスの右腕越しにロックするヴァンザントはバックに回りかけるが、そこに首を絞め直して引いてカウンターでまたいだヒバスは、ヴァンザントが残した右腕を掴み、腕十字へ! 最後はうつ伏せになって極めた。  UFC4連勝を決めたヒバスは「ほんとうに最高。自分自身を証明できたと思います。いかに自分が納得できるか。誰が相手だろうと関係ない。大事なのは人生で自分が何をするか」とモチベーションを語ると、「私は小さな街でトレーニングしているし、大きなジムで練習に励む彼女のような相手に勝つなんて誰も思ってなかったと思うけど、私には強い気持ちがある。この試合のためにすべてのエネルギーを出してベストを尽くして勝利した。本当に嬉しい」と勝因を語った。  また、今回はフライ級で戦ったことについて、「ストロー級と二階級で戦えればいいけど。もし次に女子ストロー級で戦うなら、(7月26日UFCで対戦する)マリナ・ロドリゲス(9位)とカーラ・エスパルザ(7位)の勝った方と戦ってランキングを上げていきたい。UFCがまた女子フライ級でってことなら、トップ10かトップ15の誰かとやりたい。UFC、チャンスをください!」と2階級での希望をアピール。  そして「オクタゴンに父と兄弟がいてくれたから、泣きそうになった。心の中ではいろんな感情があって。自分の柔術を見せられて良かった。みんなありがとう。さあ、チョコレートを食べる時間よ」と大きな笑顔を見せると、最後に「UFCのメイクアップのスージー・フリントンがいま乳がんで戦っています。支援をお願い」と呼びかけた。 [nextpage] RIZIN王者プロハースカがオーズデミアを失神KO! 【プレリム】 ▼ライトヘビー級 5分3R○イリー・プロハースカ(205lbs/92.99kg)[2R 0分49秒 KO] ※右ストレート×ヴォルカン・オーズデミア(205.5lbs/93.21kg)  プレリミナリーファイトで、ライトヘビー級7位のヴォルカン・オーズデミア(スイス)と、前RIZINライトヘビー級王者イリー・プロハースカ(チェコ)が対戦する。  前日計量では、白マスクのままスケールに乗った“ノータイム”オーズデミアは、ライトヘビー級の205ポンドリミット(王座戦以外は1ポンド・オーバーまで許容)から0.5ポンド重い205.5ポンドでパスしガッツポーズ。対する“チェコの怪鳥”プロハースカは、モヒカン頭に青マスク姿でリミットちょうどの205lbs(92.99kg)でパス。こちらも力強くガッポーズを見せている。  このコロナ禍のなかで、RIZINからは、前バンタム級王者のマネル・ケイプ(アンゴラ・8月15日 vsホジェリオ・ボントリン)、村田夏南子(日本)らがUFC参戦を決めており、そのオクタゴン初陣をプロハースカは勝利で飾れるか。  対するオーズデミアは、UFCでダニエル・コーミエー、アンソニー・スミス、ドミニク・レイエスといった超強豪にしか敗れておらず、現在2連勝中の上位ランカー。しかも15勝のうち12勝がKO勝利という強力ストライカーだ。プロハースカにとっては、勝てば一気に上位ランキング入りが期待される注目の試合となる。  1R、ともにオーソドックス構え。スイッチも見せるプロハースカ。右を振るが大き目。ガードが低い。しかしオーズデミアの左ジャブが長い。ノーガードのプロハースカも右を返すと左ボディストレートを突くが、そこにオーズデミアは右! さらにオーズデミアは左ジャブを突く。  トリッキーなプロハースカにガードを固め右ストレートはオーズデミア。下がるプロハースカは左から右もオーズデミアはブロッキング。気合が入り過ぎているようなプロハースカだが、右アッパーもオーズデミアは崩れず。さらに右の前蹴りで入るがオーズデミアはがっちり構える。さらに左から右ストレートを前腕とともに当てるオーズデミア。プロハースカの左を避けて下がりながら左フック! 打たれ強いプロハースカは前に出るが被弾する。  打ち合いからダブルレッグに入るオーズデミアだがすぐに立つプロハースカが切ったところでブザー。  2R、スイッチするプロハースカ。飛び込んでの右は軽くヒット。サウスポー構えになり左インローを蹴ったプロハースカは、さらに左ハイ! 動きが一瞬止まったオーズデミアは効いているのか、それでも前に出るオーズデミアに対し両手で押し返してのプロハースカは詰めると左ジャブから右ストレート! 金網背に顎を打ち抜かれたオーズデミアは失神。UFCデビュー戦で失神KOを決めたプロハースカは、オクタゴンの中央で右手を天に突き上げた。  UFC同級7位でタイトル挑戦経験もあるオーズデミアを下したプロハースカは試合後、「アメージング。オーズデミアはもっとレスリングで攻めて来るかと思っていたけど、いい試合だった。UFCの初戦で勝利だ。特にサプライズはなかったけれど、自分はかなりミスをした。パンチやノックアウトすることにこだわりすぎて、相手のパンチや攻撃に気が向いていなかった。ローキックを打ってから同じ足でハイキックを打つのが大事だった。向こうがグラついたのが分かったからKOしたのさ」と試合を振り返ると、今後について「すぐに戦いたい。タイトルが欲しいからね。それが俺のミッションだ。でも、自分のパフォーマンスを上げていかなければならないことも分かっている。さあいこうぜ。俺はみんなを尊敬している。用意してもらえればいく。誰とでも戦う。自分のアートを見せたいだけなんだ」と語った。 ◆プロハースカインタビューはこちら [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R○ムスリム・サリコフ(171lbs/77.56kg)[判定2-1] ※30-27, 28-29, 29-28×エリゼウ・“カポエイラ”ドス・サントス(171lbs/77.56kg)  Jungle Fight出身、ブラジルのエリゼウ“カポエイラ”ことザレスキは、2015年のUFCデビュー戦こそニコラス・ダルビーにスプリット判定負けを喫するも、以降7連勝。2016年10月には中村K太郎に判定勝ち、2018年から2019年にかけては3連続フィニッシュ勝利もマークしている。2019年8月の上海大会でリー・ジンリャンにKO負けしたが、2020年3月にアレクセイ・クンチェンコに判定勝ち。  対するサリコフは元散打世界王者。Kunlun Fight等で活躍し、2017年11月にUFCデビューもアレックス・ガルシアにリアネイキドチョークで一本負け。しかし、以降UFCで2連続KO勝利を含む3連勝中だ。  1R、ともにオーソドックス構え。右ミドルを狙うサリコフ。サントスは左ハイも空を斬る。後ろ廻し蹴りで牽制するサリコフは得意のバックスピンキックを腹に突く。サントスも右の後ろ廻し蹴りで牽制。サントスはオーソから左フックで飛び込む。  サントスの大きな左から右はかわしたサリコフ。サントスはダブルレッグに入るもすぐに差し上げるサリコフ。右を当てて前に出るサントス! 下がるサリコフはダブルレッグダイブに入るも切るサントスは鉄槌を落としてブザー。  2R、右前蹴りで牽制するサントス。さらにワンツーはサリコフがブロック。後ろ蹴りを腹に突くサリコフ。さらに左インロー。サントスの後ろ廻し蹴りを察知し、受けて投げ飛ばすサリコフ。しかしサントスは右ストレート! 前に出るサントスを掻い潜りダブルレッグに入るサリコフ。しかし切るサントスはボディロックから強引に投げへ。ここは崩れず、サントスを突き放すサリコフ。  後ろ廻し蹴りも今度は顔を狙ったサリコフ。頭を下げてダックでかわすサントス。さらにサリコフは右の後ろ廻し蹴りからハイキックに繋ぐがかわすサントス。サリコフの右の後ろ蹴りは距離を詰めて防ぐ。  3R、左ミドルはサントス。そこに右ストレートを合わせるサリコフは右の後ろ蹴り! サントスは右の大振り。ここはかわすサリコフ。しかしまっ直ぐは顔をかすめる。左ローを突き前に出るサリコフ。下がるサントスは後ろ廻し蹴りを警戒。大きなワンツーはサントス。距離で外すサリコフは、後ろ廻し蹴りを顔に狙うがかわすサントス。追うサリコフだが残り10秒。残り1秒でサントスはカポエイラ蹴りを披露し、ブザーを聞いた。  判定はダウン気味の右をもらったサリコフだが、手数で上回りスプリットの際どい判定勝利。4連勝を決めた。 “キング・オブ・カンフー”のニックネーム通りの回転系の蹴りを見せたサリコフは、試合後、「いつも通り自分の仕事をしているって感じだ」と語りながらも、カポイエラの動きについて「とてもタフだった。彼はトップのファイターだよ。1Rに右を食らってしまったのはびっくりした」と評価。  また、初めてのUFCファイトアイランドでの試合について、「ファイターのための島だ。ここにはすべてが揃っていて俺たちの面倒を見てくれる。俺たちはとにかく自分の仕事に集中して戦うのみだからいいだろ?」と絶賛。「できるだけ早く戦いたい。怪我は一切ないから」と、早くも次戦を希望した。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R○マクワン・アミルカーニ(146lbs/66.22kg)[1R 3分15秒 アナコンダチョーク]×ダニー・ヘンリー(146lbs/66.22kg)  フィンランドのアミルカーニはUFC5勝2敗。2019年11月の前戦はシェーン・バルゴスに3R TKO負け。対するスコットランドのヘンリーはUFCデビュー2連勝から2019年3月にダン・イゲにリアネイキドチョークで一本負けを喫している。  1R、サウスポー構えのアミルカーニにオーソドックス構えのヘンリーはスイッチを交えながら右インロー。  右の跳びヒザを当て、右のダブルで前に出るアミルカーニは金網に詰めて右で差してボディロック、後方に回してテイクダウン。ヘンリーの起き上がり際にアナコンダチョークへ。二の腕で組むと組み入れたヘンリーの左腕を足でひっかけて畳む。それを嫌って足は外したヘンリーだが、後方に腰をずらしてエスケープを試みるも、足で追うアミルカーニに、ヘンリーは金網に足が詰まり動けず。最後は失神した。  試合後、アミルカーニは「前回の試合はとてもひどかった。自分にはここにいるだけの価値があり、何者かを示す新しい機会をもらえて、生まれ変わった子供のようにアメージングな気分だよ。勝利を手にすることはいつだって最高だ。特に最初のラウンドで勝つときはね」と前回のバルゴス戦の3R TKO負けを払拭する勝利を喜んだ。  アナコンダチョークでのフィニッシュについては、「上から押さえつけようとするヤツがいるのはいいもんじゃない。疲れるしスローになるから。それが俺の計画だった。でもまだ試合が始まって早い時間だったし、お互いに乾燥肌だから、早く試合を終わらせようと言ったんだ。チャンスがきた時にアナコンダチョークを極めたよ」と語り、今後については「誰とやりたいか? 特に浮かばないな。UFCがオファーするなら誰でも、俺の返事はいつもイエスだ。帰ってまたトレーニングを始めたい。ベルト獲得を狙っている。それが俺の向かう道で、勝利を祝っている時間はない」と気を引き締めた。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R○レオ・サントス(156lbs/70.76kg)[判定3-0] ※29-26×3×ロマン・ボガトフ(155.5lbs/70.53kg)  日本の戦極でも活躍したノヴァウニオンの柔術家レオ・サントスはUFC6勝1分と負け無し。対するボガトフはM-1 Challengeなどで10連勝をマークしUFCデビュー。組みを得意とするが、サントス相手に組みに行けるか。  1R、ともにオーソドックス構え。足を滑らせたボガトフにサントスはパンチで追うも深追いせず。ボガトフは左ミドル。しかし左ジャブは手を開いて指を向けたため、サントスの目に入り中断。  再開。右ミドルはサントス。後ろ蹴りを見せたボガトフのバックを奪うが足はかけず、立ち上がるサントスを追わずリリースする。ボガトフの打撃の打ち終わりに右ローを当てるサントス。ボガトフはローシングルに入るが、切るサントスがボガトフのバックを奪いブザー。  2R、ワンツーで圧力をかけていくブガトフはダブルレッグへ。しかし切られるとシングルレッグに移行も頭が下がるとサントスはヒジを落とす。離れるブガトフに首相撲からヒザ蹴りはサントス! さらに右ストレート! 下がるブガトフは背中を見せて逃げるが右ハイも当てるサントスは追う。向き直りシングルレッグに入るブガトフだが、切るサントスはバックからパウンド連打! しかし疲労したか、ブガトフのシングルレッグにあっさり下になり苦し気な表情。背中をついてガードを取る。インサイドガードから出たブガトフが逆襲し足を効かせるサントスに中腰で殴り掛かる。  3R、スタミナ切れたサントスの動きは? ブガトフの左右の圧力に下がるとブガトフは組んでヒザ蹴り。しかしこれがローブローとなりサントスは無観客のなか寝て、じっくり時間を使って回復を待つ。再開。腹を突いてシングルレッグはブガトフ。しかし片足立ちになりながら引き込まずテイクダウンデフェンスするサントスは金網背に立つ。さらに押し込むとブガトフはダブルレッグから尻下でクラッチし持ち上げテイクダウンへ。ここもサントスは倒れず。またもブガトフのヒザが下腹部に入る。  再開。バックフィストで近づきシングルレッグはブガトフ。サントスの左足を両足で挟み、バックテイクを狙うが、左で小手に巻くサントスはバックに回させず。ブガトフは片ヒザを着いた状態のサントスに反則のヒザ蹴り!「2点減点」。一気に前へ出て右を当てるブガトフ。下がるサントスはクリンチ。突き放し右を当てるブガトフにサントスは脇潜りバックを狙ったところでブザー。  判定は3-0(29-26×3)でサントスが勝利。ブガトフはスタミナが切れかかったサントスを詰めたかったが、反則のヒザ蹴りによる「減点2」が響いたオクタゴンデビュー戦となった。  UFC7勝1分としたレオ・サントスは、コロナ禍での試合に「相手はウォリアーだし、ハードな試合になるだろうと思っていたんだ。完璧なキャンプを過ごすには時間が足りなかった。だから、気持ちと勇気、経験を持ってここに乗り込んできた」と語ると、今後について「前回の試合後、トップ10かトップ5の誰かとやりたいと言ったけど、誰も答えてくれなかった。だから、誰でもいい。俺は健康だし、幸せだ。いつでもいい」とトップランカーとの試合を希望した。 [nextpage] 【アーリープレリム】 ▼ヘビー級 5分3R○マルチン・ティブラ(252lbs/114.31kg)[判定3-0] ※30-27×2、30-26×マキシム・グリシン(223lbs/101.15kg)※アレクサンドル・ロマノフは新型コロナウイルス検査で陽性となり欠場  M-1 Challengeで7勝1敗でUFC入りしているポーランドのティブラはオクタゴンで5勝5敗。新型コロナウイルス検査陽性で欠場となったアレクサンドル・ロマノフの代わりに緊急出場のロシアのグリシンはPFLライトヘビー級戦線で活躍。PFL4勝2分で今回、ヘビー級でのUFC緊急デビューとなった。  1R、グリシンは左ロー。右で差していくティブラを突き放すグリシン。なおも左で差して押し込むティブラは小外がけ狙い。金網背に崩れないグリシンだが、右で差して崩すティブラはグリシンの左足を両足で挟みながら、左手で細かいパンチ。  2R、ティブラの前蹴りがローブローに。再開。左を振って左で差して押し込み右も差すティブラ。しかしローブローかいったん体を離すティブラ。再び同じ体勢からリスタート。ひたすら押し込むティブラ。シングルレッグでグリシンの片足を上げるが、金網に腰をつけてバランスを保つグリシン。反撃に出たいが、またもティブラのフックからの押し込みに金網背に。ついにティブラがダブルレッグでテイクダウン奪いブザー。  3R、ダブルレッグテイクダウンはティブラ。バックマウントを奪い4の字ロックからパウンドでグリシンの鼻血を誘い削ると、リアネイキドチョークも狙う。判定は3-0(30-27×2、30-26)でティブラが勝利。UFC2連敗から2連勝と盛り返した。  試合後、ティブラは「最高の気分だよ。パンデミックの状況を考えると、このファイトアイランドで試合をして勝利できたなんて素晴らしいことだ。この試合のためにレスリングのトレーニングをたくさんした。もともとの対戦相手がレスラー寄りだったからね。対戦相手の変更があったけど、レスリングで勝負することにしたんだ。はじめは成功しないかもしれないと思ったけれど、最終的にテイクダウンできると思っていた」と勝因を語ると、今後について、「ここ2試合はトップ15外が相手だった。ランキングを少しずつ上げていきたい。今はアレクセイ・オレイニクがいいマッチアップになると思っている」と、前戦でヴェドゥムを下している11位のオレイニクを指名した。 [nextpage] ▼フライ級→129ポンド契約 5分3R○ハウリアン・パイバ(129lbs/58.51kg)*[判定3-0] ※29-28×3×ジャルガス・ジュマグロフ(126lbs/57.15kg) ※パイバ(写真上)は規定体重を3ポンド(1.4kg)オーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のジュマグロフに報奨金の20%を支払う。  UFCデビュー戦のジュマグロフ。7KOを誇る。サウスポー構えのジュマグロフは早い出入り。オーソドックス構えのパイバは長い足で左ハイ、右前蹴りを打つ。そこに左の大きなフックを狙うジュマグロフ。  かわすパイバは右ハイ。ブロックされるもさらに右ミドルはクリーンヒット! ジュマグロフは左ボディ、サウスポー構えから右オーバーハンドを狙う。右ミドルで前に出るパイバ。そこに右を振るが届かない。圧力をかけられ金網を背にするジュマグロフはニータップ。尻餅をつくパイバだがすぐに立ち上がる。ニータップからボディロックし崩すジュマグロフだが立つパイバ。ブザー。  2R、パイバの右ハイを掴んで軸足を刈ろうとするジュマグロフ。組みをまぜてきたジュマグロフにパイバは若干慎重に。ニータップから離れ際に左ヒザを突くジュマグロフ。組みに行くが切るパイバが圧力をかけ直す。ジュマグロフも左ミドルを入れる。詰めに来たパイバは左右で前に金網際で左を差すが、逆にジュマグロフが小外がけからテイクダウンを奪う。ジュマグロフが反撃のラウンドに。  3R、左インローを前足に当てるジュマグロフ。パイバも右ローを返す。右オーバーハンドはジュマグロフ。ブロックするパイバは右ミドルを打つ。右インローを当てるパイバ。入りに右フックを合わせに行くジュマグロフ。しかしパイバの右ハイがあご先をかすめる。ニータップから小外を合わせてテイクダウンはジュマグロフもがぶりで抑え込めず。立つパイバは右ミドル・インローをヒットさせる。ジュマグロフはダブルレッグに入るも切るパイバ。圧力をかけるパイバにジュマグロフは左フックもそこにパイバは右前蹴りがローブローに。中断後再開。  パイバの右にカウンターのダブルレッグテイクダウンはジュマグロフもすぐに立つパイバのバックからコントロールは出来ず。さらにダブルレッグを繰り返すジュマグロフ。最後にパイバが右ヒザを突き刺しブザー。  判定は3-0でジュマグロフの組みを切り蹴りを当てたパイバが体重超過ながら勝利。「Dana White's Tuesday Night Contender Series Brazil - Season 1」出身のパイバはホジョリオ・ボントリン、カイカラフランスに敗れるも、マーク・デラロサ戦に続く勝利でUFC2勝2敗に。Fight Nights Global 4連勝からUFC入りを決めたジュマグロフはオクタゴンデビューで苦い敗戦となった。  試合後、パイバは、「成長したところを試合中に見せられてハッピーだ。キックをたくさん打っていけた。普段はあまり使わないけど、特に今回の相手にはかなり効いたみたいだ。グラウンドでの勝負になっていれば、俺の柔術の腕がヤツより優れていると分かっていたしね。全体として、ヤツとの打ち合いは良い選択だった」と多用したキックが効果的だったことを語ると、「この試合前の時点でランキング14位だ。この勝利で少し俺の順位が上がると思う。トップ10の誰かと対戦できるといいね」と、体重超過を悪びれずトップ10ランカーとの試合を希望した。 ▼女子バンタム級→141ポンド契約 5分3R○カロル・ロサ(136lbs/61.69kg)[判定3-0] ※30-26×2、30-27×バネッサ・メロ(141lbs/63.96kg)* ※メロは規定体重を5ポンドオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のロサに報奨金の30%を支払う  1R、ともにオーソドックス構え。上体を立てたロサにクラウチングで圧力をかけるメロ。ロサは右ハイを見せながらダブルレッグテイクダウン。背中をつけてクローズドガードを取るメロ。ロサはインサイドから細かくパウンドを狙う。  2R、メロは足を触りに行くと体を入れ替えにきたメロの右脇を差し金網に押し込み、小外がけでテイクダウン。ハーフからヒジを落としていく。立ちに行けないメロは下のままブザーを聞く。  3R、左の二段蹴りで飛び込むロサ。じりじりと詰めるメロに左ジャブで跳ね返す。互いに手数が少なくなるなかダブルレッグはロサもスプロールするメロ。がぶられるも起き上がるロサ。メロは手数を増やして前に。組みに行くが金網際で体入れ替えるロサが押し込むもメロが両脇を差す。しかしロサも左で差し返して右も差すとボディロックからテイクダウン狙い。メロが踏みとどまったところでブザー。  判定は3-0(30-26×2、30-27)でロサが勝利しUFC2連勝。体重超過のメロはオクタゴン3連敗で厳しい状況となった。  試合後、ロサは「戦争みたいだった。バネッサはタフな選手だから激闘になると想像していた。戦略はムエタイを取り入れることだったけど、グラウンドで戦う覚悟はあったし、柔術の腕を見せる準備だってできていた。2Rで試合を止められるかなと思ったけど、止めてこなかった。私が3ラウンドをすべて戦えることは示せた」と自信を見せた。 ▼バンタム級 5分3R○デイビー・グラント(136lbs/61.69kg)[3R 2分38秒 KO]×マーティン・デイ(136lbs/61.69kg)  1R、ともにオーソドックス構え。前足の左足での蹴りを繰り出すテコンドーベースのデイ。グラントの右ローに右フックを合わせてダウンを奪う。ガードを取るグラントは足を手繰る動きから立ち上がると、ダブルレッグテイクダウン! デイはシングルレッグから立ち上がるも切り崩される。  2R、デイの打撃に手の位置は低いグラントだがワンツーでダウンを奪うと、デイはガードから立ち上がり。右のオーバーハンドを当てるグラント。デイは後ろ蹴りでグラントに尻餅をつかせる。  3R、ワンツー、右のスーパーマンパンチで前に出るデイ。ダブルからヒザをついてシングルレッグはグラントも切るデイ。左ボディを返す。デイのボクシングが若干優勢で前に出るが、グラントは右フック。ブロッキングして右を打ちに行くが、そこにグラントは返しの左フック! カウンターでもらったデイは後方に崩れ落ちた。グラントが衝撃KOでUFC2連勝。デイは2連敗となった。  オープニングファイトをKO勝利で飾ったグラントは、「UFCファイトアイランドの最初の試合をいいバトルにしたかったんだ。実現できたと思うよ。インサイドを取れれば(ノックアウトできる)って思っていたんだけどね。マーティンがすごく良いキックとパンチを持っているのは分かっていた。1R目にそれを食らって、自分がどこにいるのか分からなくなってしまった。それでも、まだスタンディングでヤツと勝負するつもりだった。UFCでこんな試合をしたかったんだ。少し慎重になっていたかもしれないけど、至近距離の打ち合いがしたかった。それがノックアウトを決める方法だから。早くメインカードに出るファイターになりたい」と抱負を語った。
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