豪快な後ろ廻し蹴りを放つベイノア。空手技を随所で繰り出していった
「RISE 137」
2020年2月23日(日)東京・後楽園ホール
▼メインイベント RISEウェルター級(-67.5kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R
〇“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/王者)
判定3-0 ※49-47、50-47、50-47
×Hideki(RISE/team gloria/挑戦者・同級1位)
RISEウェルター級王者ベイノアが、同級1位Hidekiの挑戦を受け、初防衛戦に臨んだ。
ベイノアは極真会館の2018年全日本ウェイト制空手道選手権大会・軽量級で優勝した実績を持ち、キックボクシングには2016年5月から出場し、デビューから7戦全勝でJ-NETWORKウェルター級王座を獲得。その後はRISEに主戦場を移し、2018年11月にRISEウェルター級王座を獲得した。今年3月の12戦目でタップロンにKO負けを喫して無敗記録は途切れたが、9月にはリベンジに成功。12月はシュートボクシングのリングへ乗り込み、判定負けするも海人を苦しめた。戦績は14勝(8KO)2敗。
Hidekiは“破壊の拳”と呼ばれる強打で連勝していたが、2017年1月、RISEスーパーライト級タイトルマッチの前日計量・タイトルマッチ調印式を終えた後、まさかのインフルエンザ発症で当日にドクターストップがかかり、試合を欠場する悪夢に見舞われた。その後、無期限出場停止処分となり、処分が解けた後も自らに罰を与え、リングから長く離れていた。2017年12月に兵庫のABWで復帰戦を行うと、今年7月にはRIZINに参戦。ベイノアと王座決定戦を争った渡部太基からパンチでダウンを奪い勝利。9月にはRISE復帰戦を行い、ウェルター級次期挑戦者決定戦で中島将志を破って挑戦権を手にした。
1R、ベイノアは蹴りのフェイントや回転蹴りで距離を取り、ローを蹴る。Hidekiは序盤は入りにくそうだったが、大きくステップインしての右フックを当てに行く。両者とも様子見か。
2R、Hidekiの右フックを何度ももらって劣勢となったベイノアだが、ローをしっかり蹴ってワンツーで反撃。後ろ廻し蹴りも浅くだがヒットさせ、下段カカト蹴りも来り出す。
3R、ベイノアの左右ローが効果を発揮し始め、足が揃う場面があるHideki。ベイノアのパンチも当たり始める。それでもHidekiの強打は死んではおらず、強烈な右フックを放ってベイノアを下がらせる。組み際にベイノアは的確にヒザを入れていく。
4R、Hidekiのパンチにベイノアは徹底してローを返していく。ローを蹴られるたびに足が揃うHideki。それでもワンツー、右フックと強打を叩きつけていく。ベイノアのパンチも当たり始め、後ろ蹴り、後ろ廻し蹴りも。
5R、ベイノアはローだけでなくジャブ、右ストレート、左フックも放っていく。Hidekiは打ち合うが、もはや力が感じられないパンチに。ベイノアはよく動き、Hidekiがパンチを出してくるとロー、さらにジャブを突く。ローで立っているのがやっとに見えるHidekiだが、最後はベイノアと打ち合って試合を終えた。
判定は最大3ポイントを付けてのベイノアの判定勝ち。Hidekiの挑戦を退けて初防衛に成功した。
ベイノアはマイクを持つと「大きいことは言えないですが、僕の中ではHideki選手ということで僕の小学4年生からお世話になっているあいみ先生の名前がひできということで、ひできの上にひできなしということで証明したかったです。こんな試合でしたが今年は全勝で行って、ひとつ野望があります。まだ言えませんが、2020年の最後の日にやりたいことがあるので、そこへ向けていきます。次は大阪? 厳しい? とにかく今年は全勝で行きます」と、大晦日が目標だと話した。
試合後のインタビューでは「長引いてグダグダな試合になってしまった。次につなげたいと思います。前外(前足へのロー)にパンチを狙っているのが分かりました。最後まで向かってきたので気持ちが切れなかったですね」とHidekiを称え、「ローは感触がありましたが、その時の僕に何をやっているんだと言いたい。もっと蹴っていればよかった。倒すべきところで倒すべき。反省がおおい試合でした。反省点は相当あります」と自分へは反省しきり。
途中、通りかかった那須川天心が「メインにふさわしい試合でした。お疲れさまでした」と素っ気なく言って帰っていくと、「あれが神童の感想です…神童にインスタのダイレクトメールで何がダメだったかを聞いて次の試合に活かしたいです」とガックリ肩を落としたベイノア。
しかし、大晦日に何を狙っているのかと聞かれると「緑のオープンフィンガーグローブを付けるためですよ。本当はいい勝ち方をしてリング上で言いたかったのに」と、RIZINでMMAに挑むつもりがあることを示唆した。