▼第8試合 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)
○黒部三奈(49.9kg/日本/マスタージャパン)
[1R 4分52秒 TKO]
×ターニャ・アンゲラー(49.1kg/ドイツ/GERMAN TOP TEAM)
今大会から、修斗初の女子世界王者を決める『SHOOTO Women’s Super Atom weight WORLD Championship(修斗女子初代スーパーアトム級(50kg以下)王座決定トーナメント)』が開幕。
エントリー選手は7名で、元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈(マスタージャパン)を筆頭に、ドイツRespect FCストロー級王者、AFSOドイツMMA王者のターニャ・アンゲラー(ジャーマン・トップチーム)、しなしさとこと1勝1敗の韓国のイ ・イェジ(TEAM J)、格闘代理戦争で活躍した梅原拓未(GRABAKA)、チーム・ラカイのゼファーニャ・ンガヤ(フィリピン)、東海大柔道部出身の大島沙緒里(AACC)、そして、今大会でも開催中の「インフィニティリーグ2019」優勝者が名を連ねる。
そのなかから今大会では、一回戦として黒部三奈vsターニャ・アングラー、梅原拓未vsイ・イェジが行われ、優勝者に参加資格が与えられるインフィニティリーグとして、杉本 恵(勝ち点5/AACC)vs廣瀬里美(勝ち点0/パラエストラ松戸)、北野きゅう(勝ち点2/高田馬場道場・とらの子レスリングクラブ)vs原田よき(勝ち点2/赤崎道場A-spirit)の4試合が組まれている(※2020年1月26日に残り1回戦・ンガヤvs大島、3月29日に準決勝、5月31日に決勝)。
黒部は2017年にDEEP JEWELSアトム級王座を獲得している実力者。2019年7月の後楽園ホール大会で修斗に初参戦し、イ・イェジを2R リアネイキドチョークで失神させる一本勝ちを決めた。
一回戦の対戦相手のターニャ・アングラーは難敵だ。2015年にドイツのRespect FCでストロー級王座を獲得、AFSO(World All Fight System Organization)ドイツMMAも保持するなど、その実力は折り紙付き。修斗王座獲得を目指しストロー級から1階級下げて修斗に乗り込んできた。空手ベースながら、組み技にも長けており、これまで日本人相手には、2016年6月にドイツで開催された「Shooto Kings 4」で山口さゆりに判定勝ち、同年8月の「DEEP 77 Impact x DEEP JEWELS 13」では「ターニャ・ホフマン」名義で第一DATEに判定勝利。2018年12月の「DEEP JEWELS 22」では長野美香と激闘の末、判定1-0のドローとなっている(※1者ターニャ支持)。
グラップリング巧者の長野に対し、クローズドガードに入れてのギロチンチョーク、コムロック、腕十字、三角に固めてのパウンドなど力強い寝技を誇るターニャは言い方を変えればテイクダウンに対しスクランブルだはなくボトムを選択する動きを見せている。黒部としては、ギロチンに注意しながらもトップから得意の柔術で抑え込み削ることができるか。
前日計量で黒部は「いきなり強敵を当てられちゃったんですけど、トーナメントなので、トーナメントに出ているなかで一番強くならないとベルトは巻けないので、誰が相手でも勝利を勝ち取っていきます」所属するマスタージャパンの先輩・弘中邦佳、松本光史に続く「修斗の世界王者」獲得の決意を表明している。
1R、シングルレッグテイクダウンは黒部。アンゲラーの下からの腕十字を防ぎ、かついでサイドからパウンドで削る。
2R、アンゲラーの右に腰が落ちる黒部だが、ダブルレッグテイクダウン! クローズドに入れるアンゲラーに鉄槌。下からアンゲラーは草刈を狙うが、足をさばいた黒部はサイドを奪取。ケージウォークするアンゲラーからマウントを奪い、怒涛のパウンド。きっちりフィニッシュしてみせた。
試合後、黒部は「昨日、計量で相手が筋肉バキバキでちょっとビビってました(笑)。勝ってよかったです。もう若くなく、ここで負けたら後がないので、あと2戦、試合で頑張ります」と笑顔で語った。
【写真】キレッキレの身体を披露したターニャ。一回戦でいきなり優勝候補同士が激突。
▼第7試合 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)
×梅原拓未(48.9kg/日本/GRABAKA)
[2R 3分21秒 TKO]
○イ・イェジ(49.8kg/韓国/TEAM J)
修斗初の女子世界王者を決める『SHOOTO Women’s Super Atom weight WORLD Championship(修斗女子初代スーパーアトム級(50kg以下)王座決定トーナメント)』1回戦で、2018年に行われたAbemaTVの「格闘代理戦争3rdシーズン ジョシカク編」に参加した梅原拓未と、“韓国アイドルファイター”として注目を集めながら、着実に実力をつけてきたイ・イェジが対戦。
梅原は「格闘代理戦争」では、ADCCで日本人として唯一優勝経験を持つ師匠・菊田早苗とチームを組み、優勝候補筆頭と目されたMIOをグラップリングで攻め立て、あと一歩の所まで追い込んだ。MIOには2R TKO負けを喫するも、2018年12月には同ワンマッチでいちごみるくを相手に勝利を収めている。
3歳から柔道を始めた梅原は、禅道会心技道場、ムエタイと格闘技経験を積み、「格闘代理戦争」放送時は元修斗ストロー級世界王者のランバーソムデートM16のジムで指導を行うなど、修斗との接点も見られる女子ファイターだ。ランバーのMMAでも勝てるムエタイと菊田直伝のグラウンドテクニックの融合──独特のMMAエッセンスを併せ持つ梅原は、修斗でどんなスタイルを披露するか。計量後、梅原は「相手のイェジ選手は心身共に強い選手ですが、動画を見てたくさん作戦を練ったので、勝てるように頑張ります」と、落ち着いた表情で語った。
対するイェジは柔道、キックボクシング、韓国の打撃あり柔術ゴンコンユスルをバックボーンに持つ。ROAD FCでは階級は異なるもののしなしさとこと1勝1敗。2019年7月の黒部三奈戦では敗れはしたものの、ギロチンチョークであの黒部をあわやという所まで追い込むなどアグレッシブなファイトスタイルが評価され、今回のエントリーとなった。イェジは計量後、「これ以上私は負けません」と、梅原を倒し、黒部へのリベンジと初代女王の座を狙うことを宣言している。
1R、オーソドックス構えから右ストレートを効かせたイェジ。立つ梅原に右ローをカーフで効かせ、右ミドルも! さらにシングルレッグテイクダウン。
2R、右ローを効かせるイェジに下がる梅原は胸を合わせて背負い投げへ。しかし、これを潰したイェジがバックマウントからパウンド。亀で動けない梅原を見てレフェリーが止めた。
MMAでしっかりと成長を遂げたイェジは、「アリガトウゴザイマス!」と日本語で挨拶。「ここで勝ててほんとうに嬉しいです」と笑顔を見せた。