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2025年6月28日(日本時間29日朝8時~)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて『UFC 317: Topuria vs. Oliveira 速報』(U-NEXT配信)が開催される。
コメインは「UFC世界フライ級タイトルマッチ」(5分5R)。王者アレッシャンドレ・パントージャ(ブラジル)が4度目の王座防衛戦で、同級4位のカイ・カラ・フランス(ニュージーランド)と対戦する。
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
アレッシャンドレ・パントージャ(ブラジル)王者 29勝5敗(UFC13勝3敗)
カイ・カラ・フランス(ニュージーランド)挑戦者・4位 25勝11敗(UFC8勝4敗)
パントージャは23年7月にブランドン・モレノと再戦。1Rに左フックでダウンを奪い、5Rスプリット判定で勝利し、王座獲得。2023年12月にブランドン・ロイバルを判定で下し、初防衛に成功すると、24年5月にスティーブ・エルセグにも判定勝ちで2度目の防衛。24年12月、朝倉海を2R リアネイキドチョークで極めて、3度目の王座防衛を果たした。今回は半年ぶりの防衛戦。35歳。
挑戦者カラフランスは、5連勝後の16年12月に兄が暮らす日本のRIZINに参戦。和田竜光に判定負けも、その後は怒涛の8連勝。UFCには18年から参戦し、22年にブランドン・モレノと暫定フライ級王座を争うも3R TKO負け。23年6月にはアミル・アルバジとの物議を醸すスプリット判定で敗れ2連敗も、24年8月にスティーブ・エルセグを右の強打で1R TKO。再起を果たしている。24年12月の朝倉海の王座戦前には「タイトルショットを与えるカイを間違ってる」と王座挑戦をアピールしていた。32歳。
両者は、2016年の『TUF24』の16人トーナメントの2回戦で対戦し、パントージャがスタンドでは左の蹴りを駆使して、カラフランスの右のパンチを封じ込め、テイクダウンから組み技にも持ち込み、判定勝ちしている。果たして9年ごしの再戦で勝利するのは? U-NEXTから届いた試合前会見の両者の言葉を紹介したい。
パントージャ「家族のために戦うことがカラフランスをさらに危険にしてる。それは自分も同じ」
──昨年末の『UFC 296』でペイパービューのメインイベントを務め、リオではヘッドライナー、そして今回はインターナショナル・ファイトウィークのコーメインに抜擢されています。UFCの後押しをこれまで以上に感じているのでは?
「UFCが俺や家族のためにしてくれてることには、本当に感謝してる。オクタゴンで戦うのが大好きなんだ。世界最高の舞台で戦えてると感じてるし、何千人もの観客、何百万人もの視聴者が俺の戦いを見てくれてる。たまらなく嬉しいよ。俺は17歳で初めて戦って、今は35歳。それでもハイレベルで戦えてる。自分のスキルを世界に見せるっていうのが、俺がファイトを始めた理由だからね。俺にとってこれは“アート”なんだ。
SNSはそんなに好きじゃないけど、戦ってる姿を見てもらうのは大好きなんだよ。オクタゴンに入った瞬間が、真の“ザ・カニバル(=人喰い。パントージャの愛称)”、つまりパントージャが現れる時なんだ。でもオクタゴンの外では、俺はただの普通の男だ。だけどオクタゴンの中に入ったら、自由になれる。相手を倒すためなら何をやってもいい、その自由が好きなんだ。それがUFCに出る理由だし、ファンが金を払って俺を見る理由でもある」
──メディアやファンはどうしても過去のストーリーを結びつけたがります。特に『ジ・アルティメット・ファイター』(2016年のTUF24)でのカイ・カラ・フランスとの試合はよく話題になります。カイは「9年前の話だし、当時は減量もまともにできなかった。でもあなたが第1シードだったのはよく覚えている」と言っていました。当時から彼がここまで来るとは思っていましたか?
「彼はすごくいいファイターだよ。あの拳にはとんでもないパワーがある。全人類、いや宇宙中の人間をノックアウトできるんじゃないかってくらい(笑)。それがあいつに神様が与えた特別なギフトなんだ。テイクダウンディフェンスもかなり高いレベルにあるし、トップファイターのひとりだって言えると思う。俺はこれまで、世界中の強豪たちと戦ってきた。メキシコのリアルファイターたち――ブランドン・モレノ(フライ級2位)やブランドン・ロイバル(フライ級1位)とも戦ったし、オーストラリアの選手(スティーブ・エルセグ)、日本のサムライ(朝倉海)ともやった。そして今回はマオリの戦士と戦う。
ブラジルから遠く離れた国のファイターと戦えるってのは、すごくクールだよ。フライ級はほんとに“ワールドチャンピオンシップ”なんだ。ランキングのトップ10を見れば分かる。同じ国や文化の選手が2人、3人いるわけじゃなくて、アフリカ、アジア、ブラジル、アメリカ、いろんな国の選手が集まってる。そんな中で戦えることに、心から感謝してるよ」
──カイ・カラ・フランスとはSNSで連絡を取っていたと聞きました。
「朝倉海と戦ったあと、カイからInstagramにメッセージが来たんだ。“次は俺だ”ってね。カイ・カラ・フランスはほんとにいいヤツだよ。すごく謙虚な人間だ。俺は彼に言ったんだ。“今のお前はもっと危険だ”って。初めて戦ったとき、彼には家族がいなかった。でも今は子どもがいて、家族がいる。それがファイターを強くする。俺もそうだからよく分かる。家族のために戦うっていうのは、ものすごい力になるんだ。今のカイは、自分のためだけじゃなく家族のために戦ってる。それが彼をさらに危険にしてるんだよ」
──フライ級は今とても活気があります。堀口恭司が戻ってきて、ブランドン・ロイバル(フライ級1位)も勝って、ジョシュア・ヴァン(フライ級12位)は連続でペイパービューに出場します。今後の展望についてどう感じていますか?
「めちゃくちゃ楽しみだよ。“バンタム級に行けよ”なんて言われるけど、行くわけない。こっちには面白い試合が山ほどあるんだ。ジョシュア・ヴァンはヤバいね。あいつは“ウィリー・ウォンカの工場からゴールデンチケットを引き当てた”みたいな存在だよ(笑)。もし今回ロイバルに勝ったら、次の挑戦者かもしれない。それに堀口恭司もいるし、マネル・ケイプ(フライ級6位)もいる。ケイプはちょっと気の毒なくらいだ。何度もチャンスを逃してるけど、すごくいいファイターだ。いつかまた戦いたいね。
2024年はフライ級にとって最高の年だったと思う。みんなこの階級の価値を再認識してくれた。フライ級の中から10人、いや15人はすぐ名前が出てくる。それって素晴らしいことだろ? 俺はこの階級の王者として、その全部を誇りに思ってる。みんなが俺の名前を呼ぶのは、俺がチャンスを与えられる側じゃなく、“与える側”になった証拠だ。今まで全部と戦ってきてベルトを獲った。だからみんな“次は自分かも”って希望を持てるんだ。最近だと、朝倉が来て、次はカイ・カラ・フランス。ジョシュア・ヴァンも来るし、堀口恭司も控えてる。素晴らしい時代だよ」
──ファンの中には、いつかメラブ・ドバリシビリ(バンタム級王者)との対戦を見たいという声もあります。その声についてどう思いますか? またBMFのような“軽量級スーパーファイト”的な試合については?
「メラブのことはすごくリスペクトしてるよ。ショーン・オマリー(バンタム級1位)が“大麻をやめた”とか“いろいろ我慢した”って言ってたけど、関係ないね。メラブは本物の戦士だ。苦労も乗り越えてきたし、俺自身も同じ道を通ってきたから分かる。リスペクトしてるよ。オマリーにはメラブを倒せないと思ってる。メラブは違うレベルだよ。オマリーが勝てるなんて思ってるなら、それは勘違いだな。もちろん、もしメラブとの試合のチャンスがあるなら喜んで受けるよ。でも正直、今はそこまで求めてない。俺にはこのフライ級があるし、まだまだ新しい名前も出てくる。ジョシュア・ヴァンがブルーノ・シウバ(フライ級15位)と素晴らしい試合をしたばかりだし、次の挑戦者になるかもしれない。だから今はこの階級をしっかり楽しみたい。やりがいがあるし、誰が来ても受けて立つよ」
──メラブとの試合が将来的に組まれるかもしれませんが、彼とのスタイルマッチアップについてはどう考えていますか? あなたは5ラウンドの経験も豊富ですし、かなり面白い試合になるのでは?
「負けから多くを学んできたし、それで今の俺は以前より強くなってる。メラブがテイクダウンを狙ってきたら、それを逆に利用できる。俺は柔術も得意だし、アメリカン・トップチームには強いバンタム級の選手がたくさんいるから、いいキャンプも組める。ただ、135ポンドで戦うには体重も増やさなきゃいけないし、今はそのことを考えてない。俺には守るべき階級がある。フライ級は今めちゃくちゃ面白い階級だし、UFCの中でも一番スタミナが試される階級だ。ストライキングもグラップリングもできなきゃ勝てない。だから俺はこの階級が好きなんだ」
──ロイバル(フライ級1位)とジョシュア・ヴァン(フライ級12位)の試合はどうなると思いますか? あなたはロイバルとも戦ってますし、ヴァンのことも高く評価していますよね。
「面白い試合になるよ。あまり知られてないかもしれないけど、ロイバルは打撃のスキルもすごいんだ。ジョシュアがあのプレッシャーに耐えられるかは分からないけど、ナンバー1コンテンダーとの試合のチャンスを掴んだのはすごいと思う。俺も試合前のウォームアップ中だからリアルタイムでは見られないかもしれないけど、どっちにも勝つチャンスはある。ジョシュアはすごいテイクダウンディフェンスを見せてるし、もしかしたらロイバルも今回は打撃で勝負しなきゃいけなくなるかもな。どっちが勝つかは予想できない。ただ、こういう試合を観られるのは本当に嬉しいよ」
──長年のチームメイト、ダスティン・ポイエー(ライト級5位)が次で引退します。あなたにとって一番の思い出は何ですか?
「ジムでのダスティンの姿だな。今回の試合に向けて、めちゃくちゃハードに練習してた。『ラストダンス』なんて言葉はあまり好きじゃないけど、たぶん本人もそう思ってるはず。俺のキャンプの前から、2、3カ月ずっとジムに通ってた。あんなに一生懸命練習してるダスティンを見たのは初めてだったよ。100%ベストな状態のポイエーが見られるはずだ。もしかしたら、試合が終わったあとも『まだやれる』って思うかもしれないな。俺の家はフロリダのココナッツクリークにあるんだけど、車で帰ってるときに、ダスティンが道端を狂ったように走ってるのを見かけたんだ。本当に最高のチームメイトだよ。あれはレジェンドだ」
──もう1人のレジェンド、ジョゼ・アルドとも『UFC 301』で一緒に勝利しました。彼の引退についてはどう思いましたか?
「アルドがインスタに引退後の写真を上げてて、サッカーやったり好きなことしてるのを見たんだ。それを見て思ったよ――“めちゃくちゃいい人生だな”って。マナウスの貧しい地区出身で、世界のトップまで登りつめて、大金も手に入れて、今は引退して自由に生きてる。俺たちはオクタゴンに上がったとき、自分のために戦ってるけど、その裏には大きな責任がある。家族、チームメイト、コーチ……みんなの期待を背負ってる。でも引退したら、自分のために自由に生きられる。アルドが今まさにそれを楽しんでるのを見ると、すごく嬉しくなるよ」
──イリア・トプリアとチャールズ・オリベイラの試合について、どう予想しますか?
「トプリアは俺のお気に入りのファイターの一人だよ。そんなに多くの選手にそういうこと言わないけど、2年前に初めて見た時に『マジでヤバいな』って思った。で、今度はチャールズと戦うんだろ? チャールズはブラジルの象徴さ。彼はファベーラ(ブラジルのスラム街)からのし上がって、自分の人生だけじゃなくて、周りの人間の人生も変えたんだ。みんなにチャンスを与えてきた。チャールズがトプリアをフィニッシュすると思う」
──試合翌日、あなたの応援しているフラメンゴが、クラブW杯でバイエルン・ミュンヘンとマイアミで対戦しますが、観戦は間に合いますか? 予想もお願いします。
「それ最高だね! 俺はサッカーが大好きで、フラメンゴの試合は全部見てるんだ。今回は父と義母にチケットをプレゼントしたよ。誕生日プレゼントとしてね。俺たちは行けないから、代わりに行ってもらうんだ。フラメンゴが決勝に行くなら、俺も一緒に行くよ。彼らは本当に強いから。試合も勝てると思う。2-1とか、2-0とか。あの大会は、ヨーロッパの超金持ちクラブと、ブラジルの小さなクラブが戦う大会なんだよ。でもブラジルのクラブは全部勝ってきてる。フラメンゴ、行こうぜ!」
──堀口恭司のことについて聞かせて下さい。彼も同じフライ級で同じATT所属ですが、ジム内での関係性は気まずくありませんか?
「いや、堀口恭司は俺がこのベルトを取るのを助けてくれた存在なんだ。彼がいなかったら、ここまで高いレベルに到達できなかったかもしれない。もし俺が悪い日だったら、恭司にジムでやられる。だから彼には本当に感謝してる。でも、もし本当にオクタゴンで戦うことになったら、話は別。ジムでは彼を傷つけないようにしているけど、オクタゴンでは容赦しないよ。思いっきり痛めつけてやる(微笑)」
──現在、アメリカン・トップチームの雰囲気はどうですか? ケイラ・ハリソン(女子バンタム級王者)もベルトを獲得して、ジムには2人の王者がいます。
「ATTに足を踏み入れたら、勝利の匂いがするよ。犠牲の匂いもする。毎日100人くらいのプロがスパーしてる。ケイラがベルトを取ったのも最高だった。彼女は本当に努力家で、みんなのインスピレーションだ。このジムは世界一だと思ってる。全員が成功に取り憑かれてる。みんな1日3、4回トレーニングしてる。たとえば俺の仲間のビクトル・ディアス(Combat FCバンタム級王者)なんて、練習して、柔術を教えて、他の仕事もして、それでもジムに戻ってまた練習してる。そんな姿を見ると、“自分ももっと頑張ろう”って思える。デイナ・ホワイトもそうだけど、ATTの創設者ダン・ランバートには、MMA界全体が感謝すべき存在だよ。彼がいたから、今のこの場所があるんだ」








