ハイキックを見舞う棚澤(C)DEEP☆KICK
DEEP☆KICK ZERO 18
2025年2月9日(日)大阪・176BOX
▼メインイベント DEEP☆KICK-53kg王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R
×中田史斗(究道会館)
判定0-3 ※28-30×2、27-30
◯棚澤大空(TEAM TEPPEN)
※棚澤大空がトーナメント決勝に進出。

今大会のベストバウトを挙げるとするならば、文句なしにメインで行われた中田と棚澤だろう。何が凄かったかといえば、テクニック云々ではなく、最初から最後までともに「チャンスがあれば、絶対ぶっ倒す」という殺気を漂わせていたことだ。

その殺気は90年代の殺気を漂わせていたキックボクサーに相通じるものがあった。説得力のない言葉より万人を納得させる殺気。そんな試合を18歳の中田と17歳の棚澤が魅せてくれたのだから、関西キックの明るい未来を感じずにはいられなかった。

1R、両者とも間合いをとりながら攻撃するチャンスをうかがう。中田がバックハンドを繰り出せば、棚澤はパンチの4連打を返していく。1分30秒過ぎ、中田の左テンカオがヒットすると、試合が動いた。棚澤も右フックを返して追撃を許さない。

2Rになっても、スリリングの一言では片づけられないシーソーゲームは続く。中田がワンツーを出せば、棚澤も同じ数だけパンチを返していく。そうした中、試合の流れを握ったのは棚澤の方だった。ワンツーからのハイ、さらに右ストレートをねじ込んでいく。さらに左右のボディストレートを打ち込んでいくと、中田は防戦一方に。明らかに棚澤がとったラウンドだ。

あとがない中田は3Rになると左右のフックや右のテンカオで反撃を試みる。そんな相手の出方を棚澤はしっかりと見極めながら、右ボディストレートやアッパーを返す。中盤左フックがヒットすると、中田が下がる場面も。結局、判定は28-30(二者)、27-30で棚澤。

試合後、決勝へと駒を進めた勝者は「先日おじいちゃんが亡くなりました。そういうことがあった中で最高の舞台で最高の結果を残すことができて本当によかった。僕よりKOが多いからといって、山田選手は僕のことを下に見ている。決勝ではしっかりとぶっ倒します」と時折言葉を詰まらせながら勝利の余韻に浸っていた。



