(C)Zuffa LLC/UFC/Kaoru Nakashima
2025年2月8日(日本時間9日)の『UFC 312: Du Plessis vs. Strickland 2』(U-NEXT配信)のコ・メインにて「UFC世界女子ストロー級選手権試合」が行われる。
▼UFC世界女子ストロー級選手権試合 5分5R
ジャン・ウェイリー(中国)王者・25勝3敗(UFC9勝2敗)※UFC4連勝中 115lbs/52.16kg
タティアナ・スアレス(米国)挑戦者・10勝0敗(UFC7勝0敗)※UFC7連勝中 114.5lbs/51.94kg

【写真】タイ・バンタオでトレーニングしてきたウェイリー。115ポンドジャストでクリアした。photo by Kaoru Nakashima
王者ウェイリーは3度目の防衛戦。2022年11月にカーラ・エスパルザを2R リアネイキドチョークで破り王座を獲得すると、2023年8月にアマンダ・レモス、2024年4月の前戦で ヤン・シャオナンをいずれも判定3-0で下し、2度の王座を防衛を果たしている。
散打とシュアイジャオをベースに、2013年にプロMMAデビュー。Kunlun Fightで藤野恵実を2R TKOに下すなど16連勝でUFCと契約。オクタゴンではローズ・ナマユナスにのみ2度敗れるも、米国ファイト・レディーや、ラスベガス、今回はタイのバンタオ・ムエタイ&MMAでもトレーニングするなど、組み技の進化が著しい。UFC4連勝中の35歳。

【写真】東京開催のレスリング世界選手権銅メダルのスアレス。左後方にはパッチー・ミックスの姿も。photo by Kaoru Nakashima
しかし、今回の挑戦者スアレスは2008年東京レスリング世界選手権55kg級銅メダリストで柔術黒帯、さらにパートナーがパッチー・ミックスという生粋のグラップラー。
2016年のTUF23でアマンダ・クーパーをダースチョークで極めるなど優勝して以降、ビビアン・ペレイラ、アレクサ・グラッソ、カーラ・エスパルザ、ニーナ・アンサロフを下して4連勝で王座挑戦を目前にしていたが、首の骨棘と椎間板の古傷を再発。約2年間のブランクを作り、2021年9月の『UFC 266』で復帰が決まるも、練習中にヒザの靱帯を断裂。3年8カ月の長期欠場となった。
2023年2月にモンタナ・デ・ラ・ロサを2R、パッチーばりのギロチンチョークで極めて復帰。2023年の8月の前戦でもジェシカ・アンドラージをギロチンで斬って落としている。
1年半ぶりの復帰戦は当初、12月に3位のヴィルナ・ジャンジローバと対戦する予定だったが、ジャンジローバの欠場で、王者ウェイリーに挑戦となった。MMA10戦無敗。UFC7連勝中、4つの一本勝ちをマークしている。
今回はスアレスにとって初の5R戦。サウスポー構えのスアレスに、オーソのウェイリーは喧嘩四つになるが、スアレスは前足へのシングルレッグに入れるか。テイクダウンディフェンスが強化されているウェイリーを相手にモンタナ・デラロサ戦のようにテイクダウンに苦しむと、5R戦の経験豊富なウェイリーの試合となるのか。序盤から力も使うスアレスだが、インタビューでは粘り強さにも自信を見せている。
強い極めを持つスアレス。特にテイクダウンからのスクランブルで頭を右に出す立ち際は、スアレスの得意な左手のギロチンチョークの餌食になることは、ウェイリーも百も承知だろう。
がぶり際でいかに首を獲られないか。首を絞められても足を組まさせずに対角か前に跳べるか。レスラー相手に下になりたくはないが、柔術も強化しているウェイリーがスクランブルの前に足を効かせてガードから作り直す動きにも注目したいグラウンドだ。
両者の会見での一問一答は以下の通り。大会の模様は日本時間9日(日)朝8時からU-NEXTにてライブ配信予定だ。
ジャン・ウェイリー「BJJやレスリングの練習をより重点的にやってきた」
──ブラッド・リデル(元UFC&キックボクサー)と一緒にトレーニングしている映像も拝見しましたが、タティアナ・スアレス(女子ストロー級1位)との試合に向けたキャンプはどのような感じでしたか?
「調子は良いです。ブラッドと練習をするのは初めてだったのですが、細かい部分までいろいろ教えてくれて、自分の成長につながっていると感じます」
──前回の試合は2024年4月の『UFC 300』でしたが、その後はもっと早く試合をしたかったのでしょうか? もう少し早めにオクタゴンに戻ることは考えていなかったのですか?
「自分の希望だけでは決められない部分がありました。対戦相手の健康状態や、誰が対戦を受けてくれるか、UFCの意向など様々な要素があるので、それを待っていた感じですね」
──ファンの間では、タティアナ・スアレス(女子ストロー級1位)を“無冠の王者”と呼ぶ声もあるようです。実際、彼女自身も怪我がなければすでにUFC王者になっていただろうと言っていました。タティアナについてどのように評価していますか?
「そのことについては、今回の試合で答えが出るでしょう」
──これまでの対戦相手はストライカーが多かった印象ですが、タティアナはUFC女子の中でも最高レベルのレスリング力を持っていると言われています。今回のキャンプでは、何か特別に変えたことはあるのでしょうか?
「今回はブラジリアン柔術やレスリングの練習をより重点的にやっています。タティアナとの対戦を考えると、そこを伸ばすのは必須だと思っています」
──タティアナ・スアレスも「UFC 312での本当のメインイベントは自分たちだ」と言っていましたが、ご自身はどう思いますか?
「イベント全体としてどのカードも素晴らしいですが、私とタティアナの試合も見応えがあると思います。ファンがどう思うかは自由ですが、私自身は良い試合をお見せできるように集中しています」
──タティアナはこれまでで最も厳しい相手になりそうですか?
「全ての相手は強敵です。彼女はレスリングやグラップリングの能力がすごく高いので、自分も新しいゲームプランを準備しなければなりません。でも、強い相手と戦うほど自分も成長できるので、そこは楽しみですね」
──試合ではグラップリングを積極的に仕掛ける考えはありますか? それとも、なるべくレスリングの展開は避けたいと思っていますか?
「MMAは総合格闘技なので、レスリングだけ、ストライキングだけにこだわらず、あらゆる展開に対応できるように準備しています」
──以前より英語がかなり上達されていますが、メディア対応や日常で英語をもっと使いたいという思いがあるのでしょうか?
「人生はずっと学びだと思っています。ずっと学び続けたいと思います」
──近い将来、通訳なしでインタビューに答える自信はありますか?
「もしかしたら来年にはできるかもしれませんね。(通訳を指差し)あなたをクビにする!(笑)」
──ブラッド・リデルはニュージーランド出身ですが、英語のアクセントはいかがでしたか? わかりづらくはなかったですか?
「ちゃんとわかりましたよ」
──最近は王者の中でも“2階級制覇”を目指す動きがありますが、将来的にフライ級に上げてワレンチナ・ シェフチェンコ(女子フライ級王者)と対戦してみたいという気持ちはありますか?
「ぜひ挑戦したいですが、UFCの意向次第です」

【写真】デュプレシ、ストリックランドともに185lbs/83.91kgで計量をパス(C)Zuffa LLC/UFC
──メインイベントはミドル級王者のドリカス・デュ・プレシとミドル級1位のショーン・ストリックランドの対戦ですが、勝敗予想はいかがですか?
「どちらも強いので正直難しいですね。半々の確率だと思います」
──タティアナ・スアレスはまだ無敗ということで、彼女の負け試合の映像がないのは分析において難しさがありますか?
「“水のように”(Be water)戦えればと思います。スムーズに、どんな形にも対応できるようにしていきたいです」








