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2024年12月29日(日)、韓国・ウォンジュのチアク体育館にて『ROAD FC 071』が開催され、63kgトーナメント決勝でキム・スーチョル(韓国)とキム・ジヨン(韓国)が対戦。ジヨンがスーチョルを1R 62秒、左フックでKOに下し、優勝賞金1億ウォン(約1千万円)を獲得した。
しかし、スーチョルがダウンしたジヨンの左フックはヒットしておらず、スロー動画では踏み込んだジヨンの頭がスーチョルの頭にバッティングしており、物議をかもしていた。
試合後、騒動を知ったジヨンはあらためて動画をチェックし、フィニュシュがバッティングであったことを確認。自身のSNSを更新し、「故意ではなかった」こと、スーチョルに謝罪の言葉を綴り、再戦の用意があることを語った。
「ヤンジヨンです。12月29日、私はチャンピオンになりました。 今回の試合を手伝ってくださったユ・ソンオク館長をはじめ、すべての方に感謝します。試合が終わって試合の映像を確認したところ、相手であるスーチョル兄さんがダウンする直前に私と頭がぶつかるバッティングのシーンを見ました。私は決して故意はありませんでした! 審判が止めるまで最善を尽くし、バッティングという事実も認識しませんでした。相手であるスーチョル兄さんには本当に申し訳ありません。すぐに再戦の準備をします。そして、今回の勝利よりも、今回の済州航空の旅客機事故で多くの犠牲者が出ました。被害者の方々とご遺族の方々に深い哀悼の意を表します」
同じく30日には、ROAD FCのジョン・ムンホン代表が、自身のYouTubeを更新。
スーチョルの監督でもあるムンホン代表は動画の最後に、新たなバッティング画像を添えて、「キム・スーチョル陣営が決勝戦のバッティング問題について異議申し立てを申請しました。審判団はビデオを確認して協議中です」と記している。
また、ジヨンのコーチであるユ・ソンオク館長も「トーナメント決勝戦で私とヤン・ジヨン選手は、バッティングでキム・スーチョル選手にダメージを与えてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪。
「ヤン・ジヨン選手と私は試合中に興奮した状態でKOが出た時、バッティングがあったという事実を全く知らず、写真撮影やインタビューなどに応じ、試合終了後、食事の席に移動した後に初めて映像を確認し、周りの人や格闘技コミュニティを通じてバッティングがあったことを認識しました。
その後、アップされた映像やコメントを見ながら、現在、あまりにも酷いストレスを抱えているヤン・ジヨン選手を見て、館長として心が痛みます。
審判陣が試合中の緊迫した状況でバッティングを確認できなかったのは理解できます。ただ、試合終了後、インタビューを行う時間中であっても、試合結果に問題があったのであれば、リプレイを通じて20人ほどの審判団が十分に迅速に対応することができたと思います。
私たちのプレーに問題があり、反則負けであろうと、無効であろうと、すぐに話してくれれば、結果が出るまで自重して待っていたのに、現場でのセレモニーやインタビューなど、長い間何の対処もなかったのがとても残念です。
済州から苦労して上京してきた100人近い知人や家族、そして故郷でテレビで見ていた近所の人たちに、今、収拾がつかないほど多くの祝福を受けています。
現場にいる多くの審判陣が遅れてもその場で訂正してくれれば、試合後のインタビューも慎重だったでしょうし、今のような状況は来なかったと思います。
ヤン・ジヨン選手は一生懸命試合を準備し、死ぬ覚悟でいい姿を見せようと戦っただけなのに、現在は“反則を知りながらも良心を売って勝利を満喫した選手”になってしまい、ヤン・ジヨン選手の館長としてとても胸が痛いです。
改めてキム・スーチョル選手に頭を下げてお詫び申し上げます。そして、ご苦労された審判団の皆様にも感謝いたします。審判団が下さるいかなる結果も受け止めたいと思います。最後に、航空機事故の犠牲者の方々、ご遺族の方々に心からお悔やみを申し上げます」と、ジヨンを慮った。
スーチョルは、9月29日の『RIZIN.48』で井上直樹を相手に「RIZINバンタム級(61.0kg)王座決定戦」を戦い、1R TKO負けから、わずか1カ月後の10月27日に、MMA3勝1敗のキム・ヒョンウ(韓国)と連戦。ルーカス・ペレイラに1R 三角絞めで一本勝ちしている強豪のヒョンウを相手にテイクダウン&パウンド、バックコントロールで制し、判定3-0で勝利。復帰後3年間で11試合をこなしていた。
ジヨンは2023年6月のROAD FCでラジャブアリ・シェイドゥラエフに一本負けも、その後は3連勝。2024年9月のRIZINで倉本一真にスプリット判定負けしたが、8月の『ROAD FC 69』でアレクセイ・インデンコに1R TKO勝ちしている。10月の準決勝ではコシェン・アカノフと対戦予定もアカノフが計量に現れず失格。準決勝を戦わずして決勝進出を決めていた。
協議中の正式結果はどうなるか。果たして再戦は行われるか。
【追記】
12月31日、ROAD FCはスーチョルvs.ジヨンの試合結果を「ノーコンテスト」に変更。試合後のキム・スーチョル陣営の裁定に関する異議申し立てにより、審判委員会がビデオ判定の結果、異議を認め、試合結果が変更された。ROAD FCは2025年に改めてトーナメント決勝を行うとした。