「井上直樹vs.キム・スーチョル」のチャレンジャーとして
大晦日の前に、次戦については「9月に全然、出来る。というのは去年の大晦日(vs.芦澤竜誠)くらいから全然、試合した感覚ないから。“試合やったぜ、あー疲れた”というのが無いから」と、9月参戦を希望する。
今回の試合が1R決着だったこともあって、周囲からは7月28日の『超RIZIN.3』にも参戦を期待する声も挙がったが、太田は、『空けておく』としながらも、連続参戦には前向きではない考えも示した。
「今回の試合はノーダメージ。(7.28 超RIZINも?)サイボーグじゃないから、(試合をするのは)減量して体調も整えなくちゃいけない。そんなにいっぱい試合は出来なくて、365日あるなかで4日しか試合できないわけで、少ない選手だと365日練習して、1日か2日しか試合できない」と、心身のダメージは、試合当日だけでなく、試合に向かう日々で蓄積することを語る。
その上で今後の目標の路線には、『超RIZIN.3』が入りにくいとした。
「『超RIZIN.3』に4、5万人入る、その盛り上がりは好きだよ。でも『超RIZIN.3』に俺とやれる選手がいるかどうかという問題もある。いちおう空けておきますよ、でもオファー早めにいただかないと対応できないんで。
もともと『超RIZIN.3』に興味が無いというか。せっかくBellatorに出て、『超RIZIN』に成り下がる……というか、あの“お笑い”というかエンタメというか、まあ俺らプロだからエンタメとか全然やってもいいけど、もっと上を目指すような試合をやりたい」という。
「上」を目指す上で、目標となるのは、海外強豪との試合、そしてRIZINでは朝倉海が返上したバンタム級のベルト獲得だ。
「大晦日タイトルマッチができれば、と考えていたけど、RIZIN的にはどうなるか分からないし、俺の予想では、9月に(バンタム級の)タイトルマッチがあって、その後に(王者が大晦日に)防衛戦してくれるか、って言ったら分からないから、RIZINで(タイトルマッチを)待つよりももっと強い海外選手とやってもいいかなって思ってます」と、9月の「バンタム級王座決定戦」後に、「王座挑戦」と「対Bellator」の2つの選択肢を挙げた。
「王座決定戦」があるとすれば、「井上直樹vs.太田忍で」とのファンの声に、太田は客観的な目線を交えて答える。
「王座決定戦は、順番的には俺は“チャレンジャー”で臨むしかないんじゃないかな。『井上直樹vs.キム・スーチョル』が順当だと思う。だってスーチョル、(中島太一に)あんないい勝ち方して、ROAD FCとの契約がどうなのか分からないけど、かわいそうじゃん。順番的には。(スーチョルvs.太田では?)スーチョルとはぶっちゃけやってみたい。ぐちゃぐちゃの試合になるけど。でも井上直樹は佐藤将光さんに勝っているから(井上vs.スーチョルになる)。俺は佐藤さんに負けたから、佐藤さんの方が(新王者に挑戦が)先かもしれないけど、俺の方が試合が面白いし」と、次期王座挑戦者に名乗りを挙げる。
9月に大会があるとすれば、凱旋試合の相手は誰になるか。
「チャンピオンシップをやる前に元谷(友貴)さんにリベンジしたいと思っているけど、なんか元谷さん、『やってもいいけど何回やっても同じ結果になる』とか言われてて、2年前も俺の体調が悪くて熱があるときに試合したときのこと言われてるから、大丈夫かなと思うけど」と、太田は元谷との再戦も望んでいたとする。
フェザー級同様にRIZINバンタム級戦線にも新たなファイターの参戦があるが、いまのところ太田の視野には入っていないようだ。
その1人に、2023年に3勝し、石原夜叉坊、元谷友貴の2人の日本人選手を下し、2024年5月には米国の『Tuff-N-Uff』でも一本勝ちしているヴィンス・モラレスの名前が挙がるが、太田は「興味が無い」という。
「ヴィンス・モラレス? 全然やってやってもいいけど、この前、ヴィンスが元谷さんに勝ったときに『やろうよ』って言ったら『お前じゃ全然相手になんねえ』って言われたから、別に逆に興味ないかな。RIZINもあんまりビンスを使うつもりはないようだし、あいつから俺と『やりたい』と言うんだったら(考える)だけど、あまり強いと思わないし。中途半端な選手よりも、サバテーロとかセルジオ・ペティスとか強い選手とやりたい。普通にビンスだったら勝てる気がする」
フェザー級戦線では、同じグレコローマンレスラーの武田光司を1R リアネイキドチョークで極めたラジャブアリ・シェイドゥラエフが注目度が高まり、このキルギス人戦士がバンタム級でも戦っていることから、太田に質問が飛んだが、太田は「怖くない」という。
「ラジャブアリ・シェイドゥラエフがRIZINとサインしたときに、RIZINの笹原(圭一)さんに『僕、この選手とやりたいです』って言ったら、『ROAD FCで63kgでも計量ミスしたからバンタムの体重は作れなくてフェザー級なんです』と言われて。シェイドゥラエフと武田は同じタイプでお互いの“強いところ”がシェイドゥラエフの方が強かったということ。怖くないんだよね、あのへんは」と、階級が異なること。そして同じ強味を持つ者として、上回れるとした。
海外勢については、Bellator参戦で、これまでより視野に入って来た。
「バンタム級では、パッチー・ミックスが最強だと思う。(ショーン)オマリーの方が強いという人がいるけど、パッチーの方が強いと思うんだけどな。(ミックスにスプリット判定で敗れた)マゴマゴ(マゴメド・マゴメドフ)が、Bellatorでセコンド(ハサン・マゴメドシャリポフとカスム・カスモフ)で来ていてクソデカかった。この選手、ライト級くらいの選手かなと思ったら、えっ? って」と、実感を語る。
そして、大晦日には、サバテーロを含め、それら海外勢が日本人選手と戦うことになりそうだ。
「(再びバンタムも視野に入れた)堀口選手はRIZINに残るのかな。そしてパッチーはRIZINに来てくれるかな? Bellatorの高給取りだった選手はPFLでなかなか試合が組まれないなか、RIZINで試合をしたいらしいのでRIIZNに流れて来る可能性は高い、と聞きました。俺的には、UFCに行く前にパッチー・ミックスと朝倉海選手を見たかったな。査定にもなったし。自分は、次の試合がどこで戦うかは分かりませんが、日本で戦うんだったら日本のチャンピオンを目指すし、海外で戦うならもっとランカーとかベルトにからめるようなファイターとやっていきたいと思います」──太田忍の2024年下半期にも注目だ。