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インタビュー

【RIZIN】肩固め、アキレス腱蹴りの太田忍「あんな性格が悪い技をやるのは──」×バンタム級転向の牛久絢太郎「力が出なかった」

2024/05/01 14:05
【RIZIN】肩固め、アキレス腱蹴りの太田忍「あんな性格が悪い技をやるのは──」×バンタム級転向の牛久絢太郎「力が出なかった」

(C)GONG KAKUTOGI/RIZIN FF

 2024年4月29日(月・祝)、東京・有明アリーナにて『RIZIN.46』が開催され、セミファイナルのバンタム級(61.0kg)戦で、リオ五輪グレコローマンレスリング59kg級銀メダリストの太田忍(THE BLACKBELT JAPAN)が、元フェザー級王者の牛久絢太郎(ATT/K-Clann)と対戦。

 階級を落としてきた牛久に、太田は打撃を当てさせず、組んでも肩固めで押さえ込んで、判定3-0で勝利。芦澤竜誠戦のKO勝ちに続く連勝を飾り、MMA戦績を6勝3敗とした。

 2Rにスタンドの肩固めのクラッチから強引に首投げの形で投げた太田に、体勢を入れ替えた牛久がマウントからバックを奪ったものの残り1分を極め切れず。

 1、3Rで太田はボディロックで組んで投げて、肩固めを押さえ込み的に使い、コントロール。相手の立ち際にはグレコのがぶりからがぶり返しで押さえ込み、と自身の「強みを押し付ける」盤石の戦い方で勝利し、フェザー級上位戦線に存在感を見せた。

 試合前の本誌インタビューでは、「僕はまだ3年ですから。そのレベルの選手で僕より打撃で劣っている選手はいない。僕はやること変わらないから、自分の得意な部分を一方的に押しつけるだけ」と語っていた太田。

 牛久とはともに上組みを得意とするが、グレコ出身の太田にとってその展開はお手のもの。「そこで僕がアドバンテージがあるから、向こうは選択肢も減ってくるだろうし、お互いにやりにくい」としながらも、「(牛久に)テイクダウンされることはない。上を取ったらたぶん返されることもないから。下からの極めのギロチンと三角絞めに対してしっかり上からプレッシャーかけておけば問題ない」と語っていた通りの展開となった。

 2022年7月に元谷友貴に判定負けしたが、2023年以降は、4勝1敗。うち倉本一真、瀧澤謙太、芦澤竜誠は初回でフィニュシュしている。

 太田は、「倉本選手や瀧澤選手との試合みたいな勝ち方だと、見ているほうも運営側も“ラッキーかな”と思っちゃうこともあるかもしれないから、牛久戦はしっかり勝ちたいと。まあでも“ラッキー”は失礼な話ですよね。だって僕はその試合をするためにずっと準備して、何万回練習してきてるんだって話ですけど。ちゃんと自分の技術を見せたうえフィニッシュを狙う中で相手を圧倒できるような試合ができればいいかなと。本当にちょっとずつ、『MMA』のMくらいできるようになった」と着実に手応えを得ている。

 牛久戦前は、自身との試合を怪我でキャンセルした井上直樹が、佐藤将光と対戦することに不満を隠さなかった。

「僕の試合をキャンセルした井上直樹がどうして佐藤将光選手とやるのか。あのとき僕は、勝つつもりで準備してたし、あのときの井上直樹がそのまま試合に出てきたらたぶん俺は勝てたと思います。それが、3月に井上vs.佐藤になった。それはRIZINの運営側の思惑もあるだろうし、言ったら僕より井上直樹のほうが強い、格上だというふうに評価されているんだと思います。ナメんなよって思うし。だけど、僕の評価ってそうなんだなというふうに思って自分の中で飲み込んでいます。そうならやっぱり実力を見せていくしかない」

 そういう覚悟の上で臨んだ牛久戦で完封勝利。井上vs.佐藤戦の感想を聞くと、「すごいなと思いましたね。試合が組まれたときはいろいろ思いましたけど、最後のテイクダウン、トップキープの差で井上直樹選手が勝った。ほんとうにレベルの高い試合だったし、僕が牛久選手に勝って、井上直樹選手とやることも十分できると思っています。しっかり喧嘩を売りたい」と語っていた。

 牛久戦後の会見では、「打撃への対応が追いついてきたから、佐藤戦まで目を背けて後回しにしていた細かい技術に取り組むことが出来た」と進化に手応え。

 今後について、「フェザー級の元RIZINチャンピオンで元DEEPチャンピオンという実績のある選手に、自分的には完勝できたかなと思っている。またひとつ上のレベルの選手とやって、今年の年末にタイトルマッチができればいい。次は、今日勝ったキム・スーチョル選手でもいいですし、名古屋で対戦がかなわなかった井上直樹選手でもいい」とした。



 UFC行きが間近と言われる王者・朝倉海を頂点に、中島太一にKO勝ちしたキム・スーチョル佐藤将光に判定勝ちした井上直樹元谷友貴に判定勝ちしたヴィンス・モラレス(※5月24日の『Tuff-N-Uff 137』出場)、2連勝中のアラン“ヒロ”ヤマニハと、バンタム級の次期王座争いは混とんとしてきている。

「僕は誰とやりたいとかよりも『チャンピオンになりたい』から。チャンピオンという形、称号が“一番”の証明になるので」という太田は、難敵・牛久を下し、7.28『超RIZIN.3』出場もアピール。秋にもう1試合を越え、「年末にタイトルマッチ」を望んでいる。朝倉海後のRIZINバンタム級で、年内に頂点への戦いへと駒を進めるか。

 一方、フェザー級から落として敗れた牛久は「1Rは相手に力を使わせようと思っていたけど、僕がすごい(腕が)パンパンになっちゃって」と、RIZINバンタム級転向初戦で異変があったことを明かし、「力が入らなかったというのがあって。それがリカバリ(の問題)なのか原因が分からず、調べます」と語っている。

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