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2024年3月31日(日)13時30分から東京・立川ステージガーデンにて『PANCRASE 341』(U-NEXT配信)が開催される。このPANCRASE 30周年記念大会vol.3の注目試合の予想を、解説でお馴染みのマモルと大沢ケンジに語ってもらった。
なお、前日計量では、第11試合でライト級からフェザー級に転向するシュウジ ヤマウチが67.7kgで再計量(→※ヤマウチは最終計量で67.65kgで1.85kg超過。ルール上の試合可能許容範囲5パウンド以内で、中田大貴が試合をいったん受諾した為、フェザー級ではなくキャッチウエイトとして試合を行うことに ※追記あり)。なお、第2試合のストロー級に出場する植松洋貴が52.8kgで再計量となっている(→※再計量 52.25kgでパス)。
【追記】試合を受諾した中田側からその後、試合当日の体重について追加条件(※試合当日12時の再計量で1階級上の70.3kgで、と中田側が申込入れもヤマウチ側が断る)があり、シュウジ側と交渉も合意には至らず。試合は中止となった。
『PANCRASE 341』マモルと大沢ケンジの試合予想
2024年3月31日(日)立川ステージガーデン
13:10-開場、13:30-試合開始
U-NEXT配信/TIGET PPV英語配信
※13:00より当日券販売 ※選手名から会見コメント
▼第15試合 PANCRASEライト級タイトルマッチ 5分5R
アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/ALMA FIGHT GYM PUGNUS)※第8代ライト級キング・オブ・パンクラシスト 69.95kg
雑賀“ヤン坊”達也 (1位/DOBUITA)70.0kg
アキラ「お互い、1発で終わらせられる選手だと思うので、5分5R、ヒリヒリした戦いをぜひお楽しみにしてください」
雑賀「どうもヤン坊です。過去イチの状態に仕上げてきました。サクッと終わらせたいですけど(アキラを見て)5分5Rも付き合えるんで、楽しみにしていてください。よろしくお願いします」
マモル「3Rを越えたときのお互いの状況がポイントに」
マモル 予想はアキラなのですが、ちょっとキケンな匂いがしますね……。絶対的な物理の問題があるので、元コーチとしては心配です。身長差がある上にパンチがキレますからね。アキラのプロフィールには身長167cmとあるのですけど「嘘だろ、もっと低いだろう」と(笑)。この身長は本当らしいですが、今度は「リーチが160cmしかない」って言うんですよ(笑)。それもサバ読んでると思うのですよね、下に……、まあそれはいいとして(笑)。アキラはしっかり的を絞らせないように動いて、前に出てテイクダウンを織り交ぜた戦い方をする、とは思いますが……
──セコンドの石渡伸太郎さんが立てる戦略が肝になってくるでしょうか。
マモル そうですね。アキラは石渡さんの言う通りに動きますからね。喩えるなら、僕は”ペーター”(笑)。放牧家タイプなのですが、石渡さんは調教師、もっと言うなら猛獣つかいのような感じでしょう。一緒に二人でしっかり作ってきて、ケージの外からしっかり指示を出す。それがアキラにも合っていたのだなと伝わってきます。
──相手の伸びしろをどこまで想定して作戦を立てるものなのでしょうか。ヤン坊選手は前戦で組みでの成長を見せていて、それによって「こんなにできるんだ」と印象づけることにも成功しました。
マモル ヤン坊選手は粕谷優介戦で総合力を見せましたよね。アキラは押し込むなりしてとにかくくっついていたいわけですけど、普通にテイクダウン狙っても絶対に取らせてもらえないので、打撃でしっかり踏み込んでいきながら、相手の打ち返した瞬間などにタイミングよく、カウンターを狙うでもなく偶発させるような感じで組み立てていかないと、くっつけないですよね。上下散らして、組むと思わせて当てて一発で倒せるパンチをアキラも持っていますし。先に当てる可能性は体格差によってどうしてもヤン坊選手の確率が高いので、アキラがどうかいくぐれるか……。
ヤン坊選手って、当てるタイミングを作るまでが速いのですよね。だから早期決着も多い。これは天性のもので、高木選手にもあるものですよね。アキラとしては本当に相手の嫌なことをしていくつもりだと思うけど、ラクをさせずにフルラウンド使って、泥沼に引き込めれば……。というところで話を戻すと、やっぱり粕谷選手にああいう勝ち方をできたのは、ヤン坊選手にとって良い経験になっていますよね。だからこそ自信を持って打撃を当てにいける、というのがあると思います。あとは5Rあるなかで倒せるパンチが打てなくなる可能性はあるわけで、3Rを越えたときのお互いの状況がポイントになってきますね。
──暫定王者から、統一戦で久米選手との死闘を制したアキラ選手と、統一戦で久米選手に一本取られたヤン坊選手、という点では……。
マモル そこで言うと、ヤン坊選手には並々ならぬ思いがあると思います。やっぱりファイターとして、ベルトを巻いたことがあるとはいっても、正規王者として歴代チャンプに名前を連ねたいものですからね。それに加えて今どんどん上がってきているなかで、「ここが獲り時だ」と考えていると思います。
大沢「長い時間のなかで『殺し』がある選手のほうにチャンスはより多く生まれる」
大沢 すごく良いカードだと思うし面白い試合になりますね。だからこそ予想が難しい……。アキラ選手の最近の試合ぶりを見ると、うまくタックルを混ぜて打撃でも行くという、完全なMMAスタイルですよね。石渡くんの指導で、偏りがなくなってオールラウンダーになっています。一方のヤン坊選手には右がある。ストレートもアッパーもキレます。前戦あたりからは組みもちゃんと対応しているのが見えるようになってきて、上も取れるし、自分からも四つで倒しに行こうとしたりしていました。受けも強くなっているし。
テイクダウンされても立たったりリカバリできるようになっているのを見て「おお、やるな!」と思っていました。自信もついてきていますよね。そうすると「はたしてテイクダウンの攻防で取れるか取れないか」になってきますが、アキラ選手は打ち合いの中で入っていけるので、ビビらずにしっかり近い距離から、入り方としては中に深く入っていけます。
──大幅にリーチの長いヤン坊選手に距離を制されずにどんどん詰めていかないといけませんよね。
大沢 そうですね。中に入らなかったら右ストレートの餌食ですからね。ただ、中に入っていくとアッパーがあるわ。ヤン坊選手はワンチャンスを逃さずに一発ガチンと行けるから、打ち合いになってしまうとアキラ選手は分が悪いのではないかと思います。アキラ選手のフック系の何かがスコンと当たる可能性もあるけれど、僕がアキラ選手の試合運びを見ている限りで言うと、ヤン坊選手にとって、右を合わせやすい相手なんじゃないかと。アキラ選手が頭を動かさなくちゃいけないということで逆に規則的になったりする可能性もある。だからヤン坊選手がタイミング取れるんじゃないかって思うんです。打つ前の入り際とかにスコン! と右ストレートが炸裂!とか、ちょっと中に入ってきたところにアッパーをかます! とか、そういうフィニッシュのイメージが沸くのですよね。
それにヤン坊選手はプレッシャーもかけていけます。今回の王座挑戦の権利を得ることになった粕谷戦でも、相手が来ないなと思ったらヤン坊選手は自分から右でバン! バン! と入っていく。久米戦もそうでしたね、自分から行って1回ダウンを取っていました。そうやって自分から行けるし、相手が来たら合わせられるしっていう、ただカウンター待ちなのではなく両方で行けるタイプだから、すごくいいと思うのですよね。
──ということは、予想は……。
大沢 ヤン坊ですかね! いやあ、でもどうだろう、本当に難しいですね、この試合がどうなるかは。前だったらヤン坊選手は「寝かされたら立てなそう」という印象もあったのですが、今は立てると思いますし。逆にアキラ選手は押さえるのが上手いですし……。ヤン坊選手としてはどれだけ立っている時間を長くできるかの勝負になってきますよね。ムサエフ戦があったことでアキラ選手は「倒されることもある」という面を見せてしまっています。
──その試合、敗れはしましたがムサエフという世界トップクラスのスピードとパワーを経験したことでアキラ選手にとってプラスに働く部分はありませんか?
大沢 そこは人によりますけど、対戦相手のヤン坊選手にしてみれば「当たれば倒れるんだな」という情報ですからね、それでゴールが見えやすくなるというのかな。ものすごくタフかもしれないとか、倒れるかわからないという相手ではなくなるわけです。
──では、ここまで伺ったお話からすると、5Rマッチの最初は必ずスタンドから始まりますし、とにかく立ちの状態でいかに一発打ち抜くチャンスをものにできるかのヤン坊選手と、ドロドロの5Rに持ち込みたいアキラ選手、という感じでしょうか。
大沢 そうですね、アキラ選手からすれば、ぐちゃぐちゃにしていきたい。ちょっと後半バテそうな感じもしますしね、ヤン坊選手。あとはやっぱり、どんどんオールラウンダーとしてうまくなっていくなかで、アキラ選手の「怖さ」がどこにあるか、ですかね。上手に戦うことも大事だけれど、やっぱり「殺し」がないとダメだと思うんです。MMAって特に「この部分で勝負するとやられちゃう」というのが相手にあったら、たとえば「寝技の展開になってこの人にバックを取られたらやられてしまう」と思ったり、「この人に下から足とられたらまずい」「アイツのパンチはヤバい」とか、一個「殺し」の要素があるとそれが相手へのストレスになって戦い方も変わってきます。逆に、そういうものがないと長期戦になったときに怖くなくなってしまうというのもあるんです。
──今回で言うと、殺しを持っているのは右で勝負を決められるヤン坊選手の方ということですね。
大沢 そうですね、対照的に、相手の光をうまく消す戦いができるのはアキラ選手の良さだから、盾と矛の戦いのようだ(笑)。やっぱりこの試合は読みづらいですけど、長い時間のなかで「殺し」がある選手のほうにチャンスはより多く生まれるかなと。もし判定になるような展開なのだとすればアキラ選手でしょうけど、予想としてはヤン坊選手がそのチャンスを捕らえてフィニッシュする。というところに置こうと思います。そのうえで、2R以内に倒せなかったらアキラ選手に持っていかれるのではないでしょうか。慣れていない間に決めてしまわないと、本人もですが、ケージの外では石渡くんがしっかり外から見極めてくるでしょうからね。