2025年3月30日(日)『RIZIN.50』(あなぶきアリーナ香川)の第9試合・ヘビー級で、204cmの巨漢エドポロキング(ROOTS GYM)が、元DEEPメガトン級暫定王者の酒井リョウ(レンジャージム)に2R TKO勝ちでRIZIN2連勝を飾ったが、酒井のテイクダウンに寝技での弱点を露呈。試合後、榊原信行CEOは、エドポロキングの「RIZINヘビー級ワールドGP」出場の可能性について「無い」と語った。
▼第9試合 RIZINヘビー級(120kg)5分3R×酒井リョウ(レンジャージム)112.60kg 14勝13敗[2R 2分32秒 TKO]〇エドポロキング(ROOTS GYM)120.0kg 2勝0敗
前々日会見で、まだキャリアが浅いうちにエドポロキングと戦えることが勝機、と語っていた酒井は試合で、1Rから連打で前に出て間合いを詰めてエドポロキングをテイクダウン。グラウンドで攻勢となると、2Rにもボディロック&小外でテイクダウン。押さえ込んでからノースサウスチョークを極めに行ったが、長身のエドポロキングがセカンドロープに両足をかけてリバーサルに成功。マウントからのパウンドで逆転勝利を決めた。
5月開幕の「RIZINヘビー級ワールドGP」査定試合とも言われたヘビー級戦で、酒井を下したエドポロキングの評価はいかなるものか。
【RIZINヘビー級ワールドGP】スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)9勝3敗上田幹雄(BRAVE)4勝2敗シビサイ頌真(パラエストラ東京)10勝3敗1NCアレクサンダー・ソルダトキン(ドイツ/FNC推薦)14勝5敗ジョゼ・アウグスト(ブラジル/LFA推薦)10勝4敗マレク・サモチュク(ポーランド/KSW推薦)7勝4敗
2025年5月4日(日)/1回戦(4試合)2025年夏/準決勝戦(2試合)2025年秋/決勝戦優勝賞金2.000万円 準優勝500万円
「残り2枠」にエドポロキングが入る可能性について榊原CEOは、試合後の会見で「正直、僕は無いなと思ってます。本当にせっかくあれだけのフィジカルを持って、キャラクターもある選手ですが、やっぱり経験が足らない。圧倒的にMMAの練習が(足りない)。今日の酒井リョウ選手との戦いを見ても、いいものはたくさん持っていて、将来性もすごくあると思うけど、現状の今のワールドGPに、今のままのエドポロキングが出ても、多分いいところを全部消されて、彼の幻想を消して終わってしまうように思います。日本で生まれ育った、まんま関西人なんで、日本の宝として、しっかり育てていく道を提案したいなと思っています」と、GP出場は時期尚早とした。
また、エドポロキング自身も「こんな内容で出られないでしょう」と、課題を認識している。
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エドポロキング「底が見えた」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「2R経験できて、自分の課題っていうか、やるべきことが明確にわかったので。もうあとは練習するだけです」
──その課題というのは?
「やっぱりテイクダウン取られてから自分の悪い癖が出たし、正直今日、体がまったく動かなかったので“まだまだこんなもんじゃないぞ”と思っているんですけど、やっぱり悔しいですよね」
──対戦した酒井選手の印象は?
「思ったより、もっと来るかなと思ったんですけど、落ち着いて見てみてという感じだったので“わっ(来ないな)”みたいな感じです」
──1R思ったより相手が来なかったと。もっと来てくれたほうがやりやすかった?
「来てくれた方がっていうか、自分自身に問題があって。今までの試合と別人というか、まったく体が動かなくて、スピードもまったくなかったし、そこが反省点ですよね」
──それは調整ミス?
「調整ミスとかではないけど、経験の差が出たっスよね。どうこう言っても向こうは国内チャンピオンなので」
──テイクダウンを取られた場面もありましたが。
「1R目にテイクダウン取られてラスト30秒と見えたのでとりあえずこのラウンドは防御して防御して、みたいな感じで。2R目取られたときはヒザとヒジ来るとわかって、ノースサウスみたい形でセットされたので、とりあえず手を中に入れてひっくり返すことだけ考えていましたね」
──足がロープにかかったことで、ロープを蹴って返したのは落ち着いていましたか。
「足がロープに引っかかったというか、押せたのでひっくり返せるとと思って、ひっくり返した感じで。比較的焦りとかはなくてどうやって返そうかなって模索していて、ロープがあったのでロープ蹴ったって感じですね。そこから右を合わせてワンツーでした」
──もう少し寝技の展開がもっと長くても耐えられた?
「正直、クローズド入って三角極めようかと思ったけど、そこまでうまくいかなかった」
──上になったところで、極めようと?
「そうですね。とりあえずヒザを中に戻してマウントを取ったら、どうしようかな。三角行こうかと思いましたが、そのまま相手が動かなかったので、パウンドで決められてよかったですね」
──では、倒されても焦りはなかったですか?
「焦りという焦りはなかったけど、ちょっと自分の悪い癖が出ました。やるべきことはわかったので、練習するだけです」
──見た感じではダメージがないように見えます。
「はい。明日からやります。悔しいです。こんなに悔しいのは初めてです」
──5月、東京ドームでヘビー級GPが開幕しますが、そこに向けて?
「そこに向けてというか、こんな内容で出られないでしょう。もっと練習するしかないです」
──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。
「底が見えたというか……言い方悪いですけど、自分のやるべきことが明確に見えたので、あとはもう練習するだけですね。やっぱり練習したら強くなるってのはわかってるんで。練習するだけです」
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酒井リョウ「観客が沸いたので極めに行っちゃった」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「やっぱり格闘技っていうか、MMAは難しいなと思いました」
──相手を押さえ込んでいるシーンが長く見られましたが、そこから返されたシーンではミスをしたとか、相手が思っていたより返しが強かったとか、どういった印象ですか。
「なんか、正直1回目に寝かすときに結構耐えられたんですね。で、なんかもう意地でも絶対倒したろうと思って、一回1Rで倒せたので、正直自分が倒せるとしたら片足タックルか、あの投げ方しかなかった。二択しかなかったので、あれは想定通りというか。正直、最初粘られたので意地になっちゃったなというところがありますよね」
──その2回目はどういった状況だったのですかね。
「2回目も一緒っスね。けど大きいのでロープによりかかって、うまかったですね、対処の仕方が。1R終わってセコンドの指示を受けたのかわからないですけど、足を簡単に入れさせないようにとか。どうしてもあれが絶対大きい相手にはかかると思ったので。でも、自分が最後極めに行っちゃったところで、慣れないことやって返されたので、そこはやっぱり難しいというか、ポカしちゃったなというところですね」
──実際に向き合って、試合する前のイメージと実際の試合で違ったところはありましたか。
「いや一、緒でしたね。あんな感じかなと思いましたけど、どうすかね、実際パンチ当たったのか当たってないのかわからないですけど、やっぱり想定通り距離は遠かったなと思いますね」
──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。
「5年前にRIZIN浜松大会でキックボクシングルールで出て、“絶対MMAでRIZINに帰ってきたい”と目標に掲げて。まあいろいろありましたけど。結果は残念だったですけど、自分がMMAファイターとして、昔はただのキックボクサーがMMAやっているような感じだったですけど、やっとああいう場面を、成長しているところを見せられたなと思います。あとはもう本当に自分ひとりでは成り立たなかったので、エドポロ選手に感謝しますね、エドポロさんの知名度というか、立っているだけで存在感あるじゃないですか。あれで自分の名前もこうやって出してもらったし、自分も5年経ってDEEPチャンピオンになって帰ってこれたので、そこは良かったと思います」
──試合前インタビューでは、貴賢神戦が攻略のヒントになったということでしたが。
「言ってましたね。終わったんで言えますけども、でもまあエドポさんには申し訳ないですけど、実際僕のリーチ173cm~175cmで、向こうは2m17cmあるので。僕も日本で一番優秀なボクシングトレーナーつけて練習しましたけど、やっぱり一発じゃ届かないので、4発、5発と前に出ることと、フェイントかけて、そこは想定どおり向こうも後ろに引いていた部分があり想定通りかなと。(イリア・)トプリア選手は背が小さいけど、でかいやつに勝っているのでそれをちょっと意識した感じです」
──最後は寝技を返されましたが、攻め急がなければという後悔するところがありますか。
「自分がプロレスチックなのか、分からないけど観客が沸いちゃったので、あそこ攻めに行っちゃった。倒した瞬間“おおおお!”ってなるし、極めに行ったら“おおっ”てなるし。これが自分の得意技であったので、あれかKOで勝つかと先生に言われたのでそこに行ったら最後は返されました」
──試合前、まだキャリアが浅い段階でエドポロキングとやれてよかったと言っていましたが……。
「本人にも伝えたけれど、本当に自分に無いものばかりあるので。ネットで『絶対負けるだろ』と言われて。ネットのバカな格闘家どもに言われ、本当にむかついたけど、その通りになっちゃったので、ハハハ。でもエドポロキングさんのおかげで練習できたし悔いなく挑めたんで、全部出しきって負けたので、もう本当、彼が強いだけです」
──RIZINの舞台には戻ってきたいですか?
「とにかくコツコツと頑張っていくしかないですね」
──テイクダウンからノースサウスを極めにいった。あそこでエドポロキング選手にロープを蹴られました。あのときロープに足がかかってたのはわかっていましたか?
「どういうことですか? あ、そうなんですね、ロープ蹴って反転されたっていうことですか? ああ。そういうことなんだ。すげえ力あるなと思ったんですよね。あそこで、1、2R戦ってきたとき全然抵抗してきてなくて、ここで力使ってきたかと思ってたんですけど、そういうことなんですね。自分の得意技です。水野さんときにやったので」
──セコンドから「相手がロープ蹴ってくるよ」という指示はなかった? 試合後、その話は?
「無いですね。『あそこでちょっと上に乗りすぎたね』と。そこがスクランブル、ヘビー級ならではで上乗ったら強いので、上乗ったら動かねえなと思ったので……」