田嶋 vs 井村、バンタム級サバイバルマッチ
▼第12試合 バンタム級 5分3R
田嶋 椋(OOTA DOJO)1位/2022年ネオブラッド・トーナメント同級優勝 61.3kg
井村 塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS)3位/2020年ネオブラッド・トーナメント同級優勝 61.15kg
田嶋「勝つのはもちろんなんですが、しっかり盛り上がる試合をします」
井村「明日、しっかり仕留めます。そして盛り上げます」
マモル「井村選手が勝つなら早い段階。後半に強いのは田嶋選手だけど──」
マモル この試合は面白いですね。お互いここで勝つか負けるかで次の展開が変わってくるので、勝負論があります。試合内容としては接戦になるかなと思っているのですが。
──アマチュア戦では井村選手が勝利しているそうです。今回リベンジマッチという意味合いも含んでいるかはわからないのですが。
マモル アマチュア戦績とはいえ、とくに負けた方にとっては、しっかり覚えていることですから、あると思いますよ。その田嶋選手は勢いに乗ってトントン拍子に暫定王者にまでなれたものの、中島太一選手との王座統一戦は実力的に「ちょっと(ここまで来るのが)早かったのかな?」と思わせる内容でした。あれから再起戦となった笹選手との試合はスクランブルしつつ要所要所をしっかり取って判定3-0勝利だったのでよかったと思います。
今回は井村選手という一瞬の隙をついてバックに回ったりと、組みのスタイルとして巧いタイプのグラップラーですから、やはり寝かされている時間がポイントになってくる試合でしょうね。田嶋選手は器用なオールラウンダーですし、当然井村選手に簡単に取らせることはないと思いますが、やっぱりスタンドで組み立てたいだろうなとは思います。一瞬で展開が変わる可能性がある試合なので目が離せないですよ。
──むしろ田嶋選手のほうがトップを取るということも?
マモル あると思います。田嶋選手がトップキープしてパウンド、という展開も十分考えられますよね。ケージ際押し込まんだところでのスクランブルもそうですし、お互いの作戦がどうはまるか。田嶋選手が受けてしまうと井村選手はやりやすくなりますし。
──そこで田嶋選手は簡単にやらせないとして、とはいえ凌ぐ展開が続いていると判定では厳しいのでは?
マモル いや、逆に凌いで終盤で取るというタイプではないかと。スロースターターとは言いませんが、後半のほうが田嶋選手は伸び率があるイメージです、TSUNE戦もそうでした。だからこの試合は予想が難しい……。結論として僕の予想は、井村選手勝利で、勝ちフラグ的には早い段階ということになりますね。3Rマッチなので、後半に強いのは田嶋選手ですが1R、2Rもし取れなかった場合に最終Rで倒さなきゃいけないときの一発があるかどうかというと……。
──ちなみに、それぞれ別の相手との試合を見ると身長差やリーチ差など活きていますが体格差はそんなにありませんね。
マモル ふたりとも、ヒザ下が長い “椅子育ち” の世代だから(笑)、ちゃぶ台とか知らないですよね(笑)。それはさておき、田嶋選手もスラッとして見えるけれど数字で見ると174cm(田嶋)と178cmか(井村)。井村選手、大きいですね。ちなみに予想をする皆さんは、前回の矢澤戦は参考にしないように! 矢澤選手、指5本折ってますからね(苦笑)。
大沢「井村選手は一皮剥けた」
大沢 田嶋選手は2戦前の王座統一戦(vs. 中島太一)で、それまでの人生で一番悔いを残す試合をしたと思うのですよね……、あの試合後、傷ついたり自分にがっかりした部分もあったんじゃないでしょうか。それを経て、前戦は自分からも前に出て、判定3-0で笹選手に勝利しました。そして、その次にガンガン来る井村選手との試合が組まれるという。この試合もどうなるか楽しみですね。
予想としては井村選手なのですが、条件的には「石井逸人戦の時並みに頑張れたら」です。1Rでテイクダウンされて下になってパウンドでカットして……という、この試合は完全に石井選手だろうと思っていたんですね。井村選手に対して打撃が強いだとかテイクダウンが強いっていうイメージを持っていなかったので。そうしたら2Rで頑張ってバックを取ってキープしていた。そして3Rもすごく頑張ってタックルしてスタンドバックを取って、っていう。それまでは正直、井村選手のことを「極めは強いけれど打撃はちょっと甘い」とか「勝負を急ぐタイプなのかな?」と思っていました。フィニッシュがずっと続いていたこともあって、早く試合を終わらせたくて早く極めにいくような感じなのかなって。そういうタイプだとちょっと試合が長引くと気持ちが切れるような場合があるんですけど、そういうイメージをいい意味で裏切られたんです。「こんなに頑張るんだ!」って。だからあの石井戦で、ぐぐっと魅力がアップしたと思うんですよね。というわけで井村選手予想です。一度チャンスを逃したところから井村選手は一皮剥けたとも思っています。
──頑張って競り勝つ予想ということでしょうか? それともフィニッシュ予想?
大沢 判定で井村選手かなと。シーソーゲームになるんじゃないでしょうか、井村選手は田嶋選手の打撃をもらって顔が浮くような場面もありながらしつこく組んでバックを取ったりするっていう。器用さで言ったら、田嶋選手のほうが打撃も綺麗でジャブもストレートも長いし、蹴りもローが走る。井村選手もパンチは強そうには見えるけれどスピードはそんなに速くないから合わせやすいかもしれないですし。
──競り合うとなったときに、先ほどのキーワードである「頑張り」の部分で、田嶋選手のほうはいかがですか?
大沢 田嶋選手のほうがバランスのいい選手ですよね、打撃も良くて、もともと寝技も頑張れるタイプ。最近は打撃が多くなっているけど、出てきた頃は組んで頑張るイメージが大きかった。だけど、頑張るのって疲れるから。技術が上がると疲れない勝負をしようとし始めるのは否めないんですよね。頑張りの勝負をしないでいいように技術がついてくると、リスクのない試合にしたくなる。頑張りを抑えつつ打撃で勝負する田嶋選手が、頑張れる井村選手と戦うことによって、本来できる頑張りが引き出されるのか。そんなに頑張ってこないでくれという感じで、打撃で勝負するのか? という展開になるんじゃないかと思っています。