「河村が極めるか、透暉鷹が組み伏せるか」(大沢)
注目試合③
▼第12試合 PANCRASEバンタム級暫定王座決定戦 5分5R
河村泰博(和術慧舟會 AKZA)1位 ※第2代Fighting Nexusバンタム級王者
透暉鷹(ISHITSUNA MMA)※第9代フェザー級K.O.P
「河村選手は、寝技はもちろんですけど、ジャブとか打撃の距離感がすごくいいですよね。一方、透暉鷹選手は抑え込む力が強いので、立っている間の打撃では河村選手がコントロールすると思っています。透暉鷹選手は組みがいいので、打撃も振ったりはするけどそんなに怖くないように僕は思いますし、逆に河村選手は組みが強いタイプではないから、この勝負で行くと多分河村選手としてはタックルは切ろうとはしないのでは。行けるところまで打撃で行って、打撃で背中つかされる寸前まで倒しに行く。倒されたら“いいよ、下からで”という感覚ではないでしょうか。
透暉鷹選手はそれでも組みに行くと思いますが、河村選手が下になった時に、上から削る戦い方になる。削って、あわよくばフィニッシュするような感じではないでしょうか。河村選手は佐藤将光戦で引き込んでポジションを譲ってTKOされているので、ポジションを失わないということもないですよね。しっかり寝技でポジションを取らせないというよりは、ポジションを取られてもいいからフィニッシュを狙いに行くという、仕掛けるタイプですね。河村選手の魅力である、前回の決まり手の変則的なダースチョークのように、“あれはそうだったんだ!”と、仕掛けが分かり辛いところがあります。実はもう極まっていたという。知らない間に喉元にナイフを当てられているかのような面白さがあるので、全体的に見ると透暉鷹選手だろうと思わせておきつつ、河村選手のジャブやストレート、さらに寝技の極め力で、入りが分かり辛いという点でもいつのまにか極められているかもしれない」
──河村選手の極めは、想定しづらいという感じなのでしょうか。透暉鷹選手としてはしっかりトップキープしていれば問題ない?
「想定練習とかはできても、実際どのあたりからこの人は自信を持って極めにきているのだろう? っていうのが、分かりにくいです。基本的に相手にチャンスを与えない組み方もありますから、堅い試合をすれば、透暉鷹選手がドミネートできますが、フィニッシュに行ったところで河村選手に行かれる可能性もあります。どうあれ透暉鷹選手は組み技にめちゃくちゃ自信があると思うし、実際にフェザーの試合で圧倒的な組み力を見せてきたから勝負しに行くと思っています。河村選手が簡単に下を選ぶ展開が続くとトップで削られ、どこかでパウンドアウトという可能性はあります。早い段階で削られちゃうと極める力もなくなりますし。一方で早い段階は河村選手がパンチないし、下から入り際に何かを極めるということは考えられます」
PANCRASE330 透暉鷹 VS. パン・ジェヒョク
──つまり5ラウンドあって、ラウンドを重ねていくにつれ、透暉鷹選手が有利になっていくということでしょうか。
「そうですね。フェザー級であれだけ制圧してきた選手で、サイズ的にもバンタム級の減量がキツそうには見えないので、この階級にすぐフィットできそうということも含めて透暉鷹選手が行く気がします。どんどん自分から仕掛けて、組んで、誰でも倒す力があります。テイクダウン能力がものすごくあって、しつこく行けるところが魅力ですよね。“倒せないやついるの?”っていうような。しんどいことをやりに行ける力があるし、自分を押し付けていけるタイプです。相手がこうだからこう、という感じじゃないですよね。多分、というかたとえ話ですけど、彼の場合、デートの時のファッションも常に一貫していて、相手やシチュエーションで変えたりしない気がする(笑)」