キックボクシング
レポート

【GLORY】バダ・ハリが試合直前に欠場を発表、モロッコ地震が影響。引退試合スーストが鮮やかハイキックKOで有終の美、初参戦ラテスクが初陣を勝利で飾る

2023/09/10 05:09

▼第8試合 GLORY女子スーパーバンタム級チャンピオンシップ 3分5R
〇ティファニー・ヴァン・スースト(アメリカ/王者)=54.7kg
KO 2R 1分47秒 ※左ハイキック
×サラ・モサダック(フランス/挑戦者)=54.8kg
※スーストが4度目の防衛に成功。


 ティファニーは少林流空手を幼い頃から学び、アマチュアでキックボクシングとMMAの試合を経験後、2011年10月にプロムエタイに転向。2013年7月にLION FIGHT女子フェザー級王座を初回TKO勝ちで獲得。11月には初防衛に成功したが、2014年2月に判定2-1で敗れて王座を失うと共に10戦目にしてプロ初黒星を喫した。2015年5月に王座に返り咲くと、2016年1月にはスーパーバンタム級王座も手にして2階級制覇を達成。


 5月からGLORYに戦いの場を移し、トーナメントを制してGLORY女子スーパーバンタム級王座に就いた。同王座は初防衛に成功するも、2017年12月にアニッサ・メクセンに敗れて失い、2019年11月にメクセンにリベンジして王座奪還。2021年1月に初防衛に成功すると、2022年3月にはRISE QUEENフライ級王者・小林愛三の挑戦も5R TKOに退けて2度目の防衛に成功。


 10月には今回対戦するモサダックと3度目の防衛戦を行い判定勝利したが、場内はブーイングの嵐で勝利者インタビューになかなか喋り出すことが出来なかったほど微妙な判定だった。戦績は25勝(9KO)6敗2分。今回の試合を最後に引退することを表明している。


 挑戦者モサダックは2019年3月にGLORY初参戦を果たすと、2連勝のあとスプリット判定で2連敗。その後、2年間のブランクを経て2021年10月『ファイティングエディション3』にて、プロ初のタイトルとなるISKAヨーロッパ-57kg王座を獲得。続く2022年5月にはWAKO世界-56kg級王座にも就き、2冠王となってGLORYに戻ってくるとティファニーの王座に挑戦したが惜敗。その後、ムサダックはGLORY 86でジュリアナ・コスナールに圧勝し、すぐにティファニーとの再戦を望んでいた。そして今、2人はパリでついに決着をつける。戦績は8勝(1KO)3敗。


 1R、スーストはいつも通りステップワークを使って前後左右に動き、飛び込んでの左フックをヒットさせる。モサダックは圧をかけて右ストレート、右ロングフックで前へ出る。スーストは出入りをして前蹴りで攻めていく。


 2Rも前に出るのはモサダック。スーストは左ミドル、右ロー、右ストレートからサウスポーにスイッチしてのヒザ。モサダックが大きな右フックを振って来るとジャブを突き刺す。動き回りながら蹴りを繰り出していくスーストは、ジャブを一発出すとノーモーションで速い左ハイキック。


 この一発が見事に決まり、モサダックはもんどりうってダウン。立ち上がろうとするも身体が言うことを聞かず、10カウントが数えられた。4度目の防衛をKOで果たし、文字通り有終の美を飾ったスーストは勝利の雄叫びを上げると涙を流す。


 スーストは「とても感情的な気持ちですがまずはモロッコの安全を祈りたい。神のご加護がありますように。引退後は女性として成長したいです。サポートしてくれたチームのみんなに感謝したい」と引退の挨拶。グローブを揃えてリングに置くと現役に別れを告げた。


 一方、敗れたムサダックは「ガッカリしています。全ての準備をしてきましたが、こんな結果になってしまいました。ただ私はまだ23歳。これがスタート地点だから、これからより強くなってこの舞台に戻って来たいです」と再起を誓った。

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