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インタビュー

【RIZIN】榊原CEO「朝倉未来にはいろんなことを背負わせ過ぎた」「鈴木千裕は“賭け”に勝った。Bellatorで再戦? こんな“ゴッドアングル”を使わない手はない」、クレベルとピットブル兄弟は「ちょっとイザコザがあった」「クレベルは(王座挑戦の前に)1試合挟む」「木村ミノルの検査結果は──」

2023/08/01 17:08

榊原CEO「堀口恭司vs神龍誠は、日本人同士の試合をアメリカに持ち帰ってどこまで届くか?」

──メインイベントでは、ヴガール・ケラモフ選手が朝倉未来選手に一本勝ちしました。

「総括として何を喋ったらいいかと考えましたけど……メインに関しては、圧倒的な現実を目の前に突き詰められること、予定調和で終わらないこと──そのリアリティにたぶん、多くの朝倉未来のTシャツを着て勝つものだと思って見ていたファンは呆然自失だろうと思います。それが次を求めるエネルギーに変わるといいかと。未来は多くを語らなかったと聞いていますが、“求められる者”の宿命は切なくて、勝利をする姿を見ることでしか埋まらないのだろうと。

 この先、朝倉未来の次なる一手がどうなるのか楽しみですが、今日多くの未来を応援しに来てくれたファンには、このまま未来が絶対に終わる選手じゃないと思っていますし、一番悔しいのは朝倉未来だと思う。代弁しても仕方ないですが、この試合をタイトルマッチにしたことも含めて、いろんなことを背負わせ過ぎた。そんなことも本人は言い訳したくないタイプでしょうけど、僕は素晴らしいメインだったと思っています。ほか個々には、ヒロヤは頑張った、すごい人気があるなと感じました」

━━試合後、朝倉兄弟と話は?

「していないです」

──同じフェザー級選手では、今回はライト級契約で緊急参戦の鈴木千裕選手とパトリシオ・ピットブル選手が対戦し、鈴木選手が1R KO勝ちのアップセットを起こしました。

「鈴木千裕は完全に“賭け”に勝ちましたね。パトリシオvs.鈴木、このカードを発表したとき、一部ファンから『ふざけんな』と色々言われましたが、こうなる可能性も十分あるなと期待して組んだカード。この『超RIZIN.2』のなかで最大のハイライトになったビッグサプライズ、ジャイアントキリングを目の当たりにして、興奮冷めやらぬ状況でした。そこで『ウォー』となった後で、朝倉未来にドーンと落とされましたが、格闘技はやめられないだろうなと」

━━パトリシオ選手をKOした鈴木千裕選手が、Bellatorに呼ばれる可能性は?

「僕がスコットの立場だったらすぐそうしてアメリカに連れて行きますね。“マックの店員”(※カード発表時の米国の反応)が現役王者に勝つわけだから、70kgのキャッチウェイトでショートノーティス(短期間のオファー)もあるので、パトリシオにも感謝したいです。ただ、プロモーターとしてこんな“ゴッドアングル”使わない手はない。千裕は、このひとつの勝利が彼の格闘家としての人生を大きく“飛び級“”して、一気にRIZINフェザー級の若い世代の争いから飛び抜けることになる。世界中の人が、彼のこの試合を見る機会も多いと思う。Bellatorからオファーが届く可能性もあるし、その時はスコットと話して気持ちよく送り出したいと思います」

──さまざまなアクシデントがあるなか、鈴木vs.パトリシオ同様に、ホベルト・サトシ・ソウザ選手、扇久保博正選手もスクランブル参戦でした。

「同じくスクランブル参戦した扇久保とサトシの二人には黒星はつきましたが、『超RIZIN.2』を救ってくれた。準備が整わないなか、漢気を見せてくれた二人には感謝を伝えたいです。

 今回のBellatorパートでのチャレンジで、サトシは怪我もしたそうで(※1Rに右第五中手骨を骨折)ちょっと胸が痛いです。でもRIZINのライト級チャンピオンであることは、何も変わらない。ピンチだけじゃなくて、サトシもBellatorライト級で、世界の猛者がひしめくGPに挑戦したいと思い、一人の競技者として、それを提案されれば『NO』とは言えなかったのだと思いますが、それでもチャレンジは思うようにいかなかったけど、怪我を治した後、RIZINライト級王者としての試合を組んでいければいいと思っています。

 フライ級で戦う決意をした扇久保は、バンタム級タイトルマッチが飛んだ我々のピンチに、厳しい状況で指名するなか、また階級を上げてタイトルマッチに挑んでくれて、素晴らしい試合で、僅差だったと思いますが結果かなわず。これも現実ですが、チャンピオンベルトが海外勢に2本、持って行かれました」

━━ノーコンテストとなった堀口恭司選手と神龍選手の試合は、コーカー代表も再戦を示唆していましたが?

「スコットとはそこもしっかり話したいですが、拘束されるということでもないかもしれない。Bellatorが2019年以来の日本大会を開催し、そのハイライトというか、日本のマーケットにも届くカードとして組まれたのが『Bellator初代フライ級王座決定戦』で、日本人同士の試合をアメリカに持ち帰ってカード編成してどこまで届くか? 神龍がキャリア積んで名前と顔の一致する選手ならあるかもしれないけど、なかなか一足飛びに再戦というのも厳しいのかなと思ったりもします。そういうなかでスコットとも相談し、神龍のしっかりしたドクターの診断を──まずは実際『目が見えなくなっちゃった』と言っていたので、どういうシリアスな状況にあるかもしっかり診断して、その先を考えたいと思います」

──女子スーパアトム級は、RENA選手に一本勝ちのクレア・ロペス選手に、伊澤星花選手が圧勝でした。

「伊澤選手は、本当に圧倒的に強いので、スーパーアトム級のなかかで、彼女の本当にライバルとなる選手を世界中のなかから見つけ出してくるのはなかなか至難の業。ひき続き、伊澤選手がしばらくチャンピオンとして防衛していくイメージを持ちつつも、世界に目を向けて彼女を脅かすようなチャレンジャーをピックアップしていきたいと思います」

━━初参戦組では、イゴール・タナベ選手が一本勝ちで鮮烈な印象を残しました。

「すごかったですね。打撃はまだまだアラがあるので、打撃の部分は経験を積んで練習していけば埋まると思う。KOとか打撃が目につきやすいですけど、あの瞬間に、ヒール(フック)を取るというのは、一撃KOのパンチを持っているのと同じこと。世界に通用する一本・極めを持った、とてつもない選手と証明された。コンプリートファイターになるにはレベルアップしなくてはいけないけれど、将来に期待ができると思います」

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