扇久保「平本選手には勢いや自信を感じるが、厳しい試合になる可能性も」
斎藤裕と同じパラエストラグループで、練習の経験もある扇久保博正(パラエストラ松戸)は、平本蓮との試合が、「相当な激戦になるんじゃないか。とんでもない緊張感のある試合になりそう」と予想した。
「おぎちゃんねる。」で扇久保は、「普通に考えると、キャリアで30戦目の斎藤選手と、MMAでは5戦目の平本選手とでは、完全に斎藤選手の方が有利だなと思うんですけど」と、前置きしたうえで、「ここ最近の平本選手の勢いや自信を強く感じるので、どっちに転んでもおかしくない戦いになるんじゃないかなと。相当な激戦になるんじゃないかと思っています。平本選手は1発で倒す打撃を持っているので、とんでもない緊張感のある試合になりそうですね」と、両者の戦いを評した。
平本を「ドミネーター戦くらいから覚醒した」という扇久保は、その進化の速度が予想外だという。「あのドミネーター選手にあれだけ一方的に勝つのは僕も予想外で、めちゃくちゃ強くなっているなと思って見ていました」。
その強みは、やはり打撃だ。
「平本選手としては、寝技にはあまりなりたくないと思うので、できるだけ打ち合いに持って行かせるというか、“打撃を出させるため”に、遠間では蹴りなど出して、それをさばかせてパンチで入っていったりするんじゃないかなと思いますね」と間合いのコントロールと、前戦では封印していた蹴りをいかに掴まれずにパンチでの打ち合いに繋げるかに注目した。
対する斎藤については、これまでの試合とのコンディションの差を指摘する。
「斎藤選手は、前年くらいから厳しい試合が続いていて、スパンも短かったですよね。怪我も治らずに出ていた印象もあって、その頃、あまりコンディションが良くなかったんだろうなと思いながら見ていたので、ちょうど前戦から1年経って、コンディションが戻ってきているんじゃないかと。強かった時の斎藤選手に戻ってきているんじゃないかなとすごい期待が出来ますね」と、1年の休養が生きるという。
突出した打撃力を軸に戦う平本と、打撃も寝技もすべてを使って攻めていく斎藤との戦い。その距離と位置取りがキーになると、扇久保は語る。
「平本選手は、ドミネーター選手との戦いで、近距離でのパンチの威力がかなり高かったので、斎藤選手は近距離での打ち合いはたぶん避けるんじゃないかと。斎藤選手は、伝統派空手出身でステップもよくて、遠い距離からステップを踏みつつ、パンチのフェイントだったりを入れながら、やはりタックルで一気に距離を詰めて、身体に触ってケージに押し込んで、そこから削ってテイクダウンをして試合を作っていきたいんじゃないかなと」と、近い距離でショートをまとめるのに長けた平本に対し、斎藤は遠間からのMMAで散らしての飛び込みを使ってくると予想。
その際の注意点を「斎藤選手はやっぱり正面に立たずに、横から攻めていった方が僕はいいんじゃいないかなと思います」と、フェイントや散らしとともに角度をつけたアプローチが必要だとした。
構えも含め、剛毅會空手を採り入れて戦う平本のテイクダウンディフェンスの成長をどうとらえるか。弥益戦の進化を「予想外」とした扇久保だが、一概に前戦の動きがそのまま斎藤戦にあてはまるわけではない、とも語る。
「ドミネーター選手はどちらかと言うと“総合”のなかで、相手のタックルを切ってアームロックで切り返したりというタイプなので、ちょっと斎藤選手とはタイプが違う。斎藤選手は走りながらのニータップなどのタックルも出来るので、テイクダウン能力で言えば、ドミネーター選手より全然、斎藤選手の方が高い。さらに打たれ強さも斎藤選手の方が高いと思います」と、カウンターも巧みな平本に対し、タフな斎藤は様々なテイクダウンの仕掛けも持っているとした。
「ドミネーター戦だけを参考にすると、平本選手、相当有利なんじゃないかなみたいに思う人もいると思いますが、平本選手的には、かなり厳しい試合になるんじゃないかなと思いますね。でもいまの平本選手にあるもの──そこで持って行く可能性もあるかなと」と予想した、扇久保が語る平本の可能性とは何か。
互いに前戦とは異なるものがあるなか、両者は新たな姿で、ケージに上がることになる。発券と同時に完売した大一番に向け、ファイターならではのそれぞれの視点に注目だ。