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【UFC】深夜3時! DWCS出身ヒルがライトヘビー級新王者に、テイシェイラはグローブを置く。モレノがフライ級王座統一! フィゲイレードはバンタム級転向へ、ショーグン引退試合はTKO負け=『UFC 283』ブラジル

2023/01/22 10:01
【UFC】深夜3時! DWCS出身ヒルがライトヘビー級新王者に、テイシェイラはグローブを置く。モレノがフライ級王座統一! フィゲイレードはバンタム級転向へ、ショーグン引退試合はTKO負け=『UFC 283』ブラジル

『UFC 283: Teixeira vs. Hill』速報

 2023年1月20日(日本時間21日)『UFC 283: Teixeira vs. Hill』(ブラジル・リオデジャネイロ/ジュネス・アリーナ)が行われた。

 2年10カ月ぶりのUFCブラジル大会。2020年3月の前回の『UFC Fight Night Brasilia: Lee vs. Oliveira』は無観客だったが、今回は、2019年の11月の『UFC Fight Night Sao Paulo: Blachowicz vs. Jacare』以来、3年2カ月ぶりの有観客大会となった。

 全試合にブラジル人ファイターが出場する今大会のメインイベントは「UFC世界ライトヘビー級王座決定戦」(5分5R)。

 前王者のイリー・プロハースカ(チェコ)が右肩の怪我により返上した空位の王座を、元ライトヘビー級王者で同級2位のグローヴァー・テイシェイラ(ブラジル)と、同級7位でUFC3連勝3KO中のジャマール・ヒル(米国)が争う

 もともと2022年12月にプロハースカとテイシェイラによるダイレクトリマッチが組まれていたが、プロハースカの負傷欠場により、テイシェイラにアンカラエフとの王座決定戦が打診されるも、「準備期間が短い」としてテイシェイラが拒否。ブラジル大会での実現を提案していたが、これはUFC側から却下され、2022年12月11日の『UFC282』で、ヤン・ブラホヴィッチとマゴメド・アンカラエフによる「ライトヘビー級王座決定戦」が行われていた。

 しかし、このブラホヴィッチvs.アンカラエフが5Rまさかのドローに終わったため、2大会連続、別カードであらためて王座決定戦が行われることとなった。

▼UFC世界ライトヘビー級王座決定戦 5分5R
〇ジャマール・ヒル(米国)12勝1敗(UFC6勝1敗)204.5lbs/92.76kg
[判定3-0] ※50-44×3
×グローヴァー・テイシェイラ(ブラジル)33勝9敗(UFC16勝7敗)205lbs/92.99kg
※ヒルが新王者に。テイシェイラは引退を表明

 2002年にプロMMAデビューし、現在43歳の苦労人テイシェイラは、柔術&ボクシングがバックボーン。

 2021年10月の『UFC 267』で当時の王者ブラホヴィッチに挑戦し、リアネイキドチョークで2R 一本勝ち。初戴冠としては、ランディ・クートゥアーのUFC史上最年長王座獲得記録(43歳)に次ぐ42歳での王座獲得に成功した。

 しかし、2022年6月にプロハースカとの初防衛戦で、年間ベストバウト級の熱闘の末に、5R残り28秒でリアネイキドチョークを極められ一本負け。王座から陥落した。今回は地元で、再び戴冠を目指す。

 対する米国のヒルは、193cmの長身を活かしてバスケットボールで活躍。2017年にプロMMAデビュー。2019年7月の「Dana White's Contender Series 21」でTKO勝ちでオクタゴン入りを決めた。

 UFC戦績は5勝1敗1NCで、現在3試合連続でのKO勝ち。オヴィンス・サンプルー、ジミー・クルート、ジョニー・ウォーカー、 チアゴ・サントスをいずれもKO・TKOに下している。唯一の敗戦は、2021年6月のポール・クレイグ戦で、寝技師のクレイグの引き込みから腕十字で左腕を極められ三角絞めからのエルボーでTKO負け。寝技に課題を残している。

 前日計量では、205ポンド(92.99kg)のリミットちょうどでパスした元王者に対し、ヒルは204.5ポンド(92.76kg)のアンダーでパス。

 フェイスオフでは、オーソドックス構えで拳を胸の前にファイティングポーズを取ったテイシェイラに対し、ややサウスポー構えのヒルは直立のままテイシェイラと視線を合わせ、最後に握手をかわした。

 ヒルは「光栄だ。ケージをグローバー・テイシェイラと共有できて嬉しい。好きなだけブーイングしてもいいし、『お前は死ぬ』なんて言ってもいい。私たちは皆死ぬつもりだ。でも、明日はまだみんなのためにショーをするためにここに来る」とコメント。テイシェイラは「100パーセントの準備ができている。明日はやるぞ」とシンプルに意気込みを語った。

 テイシェイラの入場を見据え、入場口近くまでにじり寄るヒル。グローブタッチ。

 1R、ともにオーソドックス構え。いきなり中央に入り、シングルレッグのフェイク。さらに組んで押し込むも、差し上げてヒザを打ち込み突き放すヒル!

 ヒルの右にカウンターで組もうとするテイシェイラをここも切るヒルは右カーフ、左前蹴り。タイミングよく組むテイシェイラをしっかり切ると左ミドルを腹に突く!

 テイシェイラのシングルレッグを切ると左ジャブ、右を細かく打ち込むヒル。さらに左の蹴りを連打。右ストレートをかわして組むテイシェイラをしっかり突き放す。

 ジャブから詰めるテイシェイラは左右を振るも、打ち返すヒル。テイシェイラの小指がアイポークと判断され中断も再開。テイシェイラは左足にシングルレッグも片足立ちで足を抜くヒル。テイシェイラの左の前進に右を合わせてかぶせる。

 2R、中央に出て圧力をかけるテイシェイラ。ヒルは左右を伸ばし、左の蹴りで距離を取る。テイシェイラが詰めると左テンカオを巧みに突くヒルだが、その後の右手がアイポークに。

 再開。左の蹴りを上下に散らし、左ハイをガード上に当てると、なおも左ハイを当てるとテイシェイラが後退。右アッパーも突くヒルはラッシュも。テイシェイラは鼻血を出しながら右を当てて応戦。しかしヒルは左ハイを武器にペースを戻す。ここで下がらず左右で前に出るテイシェイラはついにシングルレッグから小外を合わせてテイクダウン!

 いったん金網に上体を立てたヒルを寝かそうとするテイシェイラだが、脇を差して立ち上がるヒル。左ストレート、さらに右ストレートを突くヒル。頭を傾けて逃すテイシェイラは右を被弾しながらも前へ。ヒルはジャブで押し返してブザー。

 3R、前足にシングルレッグから押し込み金網際でクラッチしたテイシェイラだが、腰を外に出してクラッチを切るヒル。テイシェイラは左の飛び込み。ヒルの左ハイにテイシェイラは後退。さらに追撃にテイシェイラがダウン。

 ヒルのパウンドに亀で足を手繰ろうとするテイシェイラ。中腰で拳を突くヒル。さらにパウンド! 出血しながらもまだ足を効かせるテイシェイラ。足を取りにいくも切るヒルはいったん体を離してスタンド勝負。

 サウスポー構えになり左の蹴りはヒル。テイシェイラも左右で押し返し。ヒルも手数をへらすと、テイシェイラがジャブの刺し合いで前に。左アッパー、右フック。それをかわしたヒルがヒザ蹴り、右ストレートで押し返してブザー。テイシェイラは左目上をカット。

 4R、左の蹴りを腹に突くヒル。テイシェイラの右をかわすが、そこからテイシェイラは押し込み。体を入れ変えるヒルは左ハイをガード上に。さらにワンツー。テイシェイラは右のオーバーハンドもかわすヒル。右アッパーにテイシェイラも右を合わせに行く。詰めるのはテイシェイラ。下がりながら左ハイはヒル。テイシェイラの前進に左ジャブ、さらに右ストレートでグラつかせる。

 ヒルのジャブから右アッパーに、ヒザ蹴りと被弾し続けるテイシェイラ。首相撲からヒザに体を入れ替えるが、ヒルは左ストレートをヒット! テイシェイラは金網に詰まるもブザー。

 最終5R、ここまでの打撃はテイシェイラ54にヒルは192。「まだやらせるのか?」というヒルに、テイシェイラは「レッツゴー、ベイビー!」と返す。

 金網に詰めてクラッチし、ダブルレッグから小外がけでマット中央側に倒すテイシェイラ! 左で脇を差すヒルに横四方からハーフに入り、こつこつと突くテイシェイラはパウンドからマウント! しかしヒルはこの大ピンチに潜り、テイシェイラの股の間を抜けて上に! ハーフガードのテイシェイラに背中を着かせるヒルはサイドに。うつ伏せになるテイシェイラに離れるヒル。

 残り50秒。詰めるテイシェイラに左ミドル、ハイを突いて間合いを保つヒル。テイシェイラは追って「来い」と誘うがブザー。判定へ。コールを待つ間にセコンドと抱き合い、涙し、咆哮するヒル。

 判定は3-0(50-44×3)でジャマール・ヒルが勝利し、新王者に。ベルトを腰に巻き、マットに泣き崩れたヒルは、「ここまで来るのは並大抵のことじゃなかった。ハードワーク、献身、自己責任。多くの人が、自分にはできない、不可能だと言った。彼らは今、何て言うだろうね? 他人の言葉を真に受けないで、不可能だと言われたこと、何も信じない!ここに来るために戦ってきた。生きるために、このチャンスを得るために、戦わなければならなかった。戦おうと思えば何でもできるんだ!」と絶叫。

 続けて、コンテンダーシリーズから王者になったことを問われ、「すべて人生のために、周囲の人達のために頑張りました。いろんなことがありました。テイシェイラはレンガのように固い男。前に出続けて、人生と同じように歩みを止めませんでした。俺にかかってくるヤツら、待ってろよ」と語った。

 続けて、テイシェイラにもマイクが渡されるとヒルに「待っていて」と声をかける。

 テイシェイラは「タフネス、スピード、すべてにおいて素晴らしい選手だった」と英語で語ると、「ポルトガル語で語った方がいいかな。通訳もいるし、自分はここまで健康を考えてやってきたけど、もう続けられない。エネルギーも尽きた。この場で、ショーグンと同じ場でグローブ置けたことを誇りに思います。アレックス・ペレイラはいつか205(ポンド)にあげるだろうから、今後は彼のためにエネルギーを注いでいく」と語ると、グローブをマットに置いて、新王者を呼び寄せた。

「皆さん、前の試合でチャンピオンにものを投げているところを見ました。彼には投げないでくださいね」と語り、ヒルを抱き寄せてオクタゴンを後に。退場時には、かつてテイシェイラが憧れたホイス・グレイシーが駆け寄り、そのキャリアを讃えた。現地では深夜3時を過ぎたメインイベントの戴冠劇。

 テイシェイラの引退、そしてDWCS出身として初めて王者に輝いたヒル。肩の負傷で王座を返上したイリー・プロハースカも待つ同級は、新たな戦国時代に突入した。

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