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2022年9月25日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN』で、ボクシングルール(3分3R・契約体重無し)のエキシビションマッチに臨む、朝倉未来(トライフォース赤坂)とフロイド・メイウェザー(米国)が、公開練習やABEMAの個別インタビューで、試合に向けた心境や戦略等を語っている。
メイウェザーは言わずと知れた、史上初めて無敗のまま5階級制覇を達成したパウンド・フォー・パウンド。オーソドックス構えで卓越したディフェンス技術を軸に、50戦50勝のプロボクシング戦績を誇る。
対する朝倉は、斎藤裕やジョン・マカパ、ルイス・グスタボら実力者に勝利するなどプロMMAで16勝3敗をマークしている。ストライカーではあってもパンチャーではなく、サウスポー構えからの左の蹴りでのKOが多い朝倉は、今回の試合に向けてどんな進化を果たしているのか。
両者を知るボクサーたちの証言や本誌の取材も交え、直前の見どころを挙げていこう。
マインド的には同じ、何か言ってきたらキャンセルになってもしょうがない(朝倉)
12日に公開練習を行った朝倉は、今回の試合に向けボクシングトレーニングを行った上で、あらためて自身のバックボーンである空手、そしてMMAの動きを活かして戦うことを語っている。
まずは「フリーウェイト」だという無差別の体重について、朝倉は、「(80kgだと)スピードが落ちるなと思って。すでに77kgくらいなので、今日4Rやってみて今でもいい感じなので。体力の消耗も激しいと思うので、75kgくらい(で戦う)かな。食事に気をつけながら。矢地戦が70kg契約で、当日73kgくらいあったと思います。(今までで一番大きな身体?)そうですね。身体は確実に1、2年前よりデカくなったので、そこにおいては強みはあります」と、75kg前後で戦うことを語っている。
2021年6月に、プロボクシングライセンスも持つローガン・ポールと対戦したメイウェザーは、前日計量で155ポンド(70.31kg)だった。189.5ポンド(85.96kg)のポールと15.65kg差のなか、8Rを戦い、採点無し、KO・TKO以外の決着無しの特別ルールにより、勝敗がつかずに終わっている。今回、おそらく5kg前後になるであろう朝倉の体重差のアドバンテージは、さほどメイウェザーに影響しない可能性がある。
メイウェザーの身長は173cm、朝倉は177cmと4cm高い。しかし、リーチは174cmとされる朝倉に対し、メイウェザーが183cmと9cm上回っている。
ラスベガスとハワイで2度、対面している両者。朝倉は、「ホントに弱そう。小っちゃいですよね。会えば会うほど普通に勝てそうな気しかしない。首とか細いし(パンチが)当たったら倒れるんじゃないかなと。喧嘩とかする前に向き合ったりすると大体強さが分かる。総合格闘家として俺の方が絶対強いから、それを感じちゃってるのかもしれないです。ボクシングルールでいざ対面したときにどうなるか分からないですけど、普通にまっさらな状態で会うと、弱そうだなとしか思わない。生物的に、総合格闘家の海外の奴らのほうがヤバいオーラを出しているんで」「生身の状態で会ったときはそんなに怖さを感じなかった。隣りにいるときはまったく怖さを感じなかった。コメントでも『ビビってた』とかあったけど全くビビってなかったですし、むしろすごく弱そうだなと感じました」と、オーラを感じないと言い放った。
一方で、「映像では強いなと感じますけど、いざ対面すると、ほんとうに何か……ある種、覇気を感じさせない“達人の域”に達しているのかもそれない。那須川天心や京口(紘人)くんとか、身体は小さくて、普通に話しているときは強さを感じないけど、いざ構えてボクシングをやると隙が無かったりするので」と、リング上で実際に対峙したときにどう感じるか、だとも語っている。
那須川天心戦ではメイウェザーが試合前から、駆け引きを見せた。今回も試合直前まで、気の抜けない状況が予想されるが、メイウェザーは、朝倉について「サウスポー構え」であることしか知らない、と無関心を装っている。
「絶対見てると思いますよ。そういうタイプの臆病な人間だと思うので、めっちゃ研究してると思います」という朝倉は、試合前の攪乱についても、「(バンテージも)巻かないで待っていようかと思っています。(メイウェザー戦のときの)天心って、絶対にこのチャンスでやらないといけないという感じだったじゃないですか。俺はマジで、前日キャンセルになってもしょうがないと思ってるんで。あいつが何かアレ(言ってきた)だったら、別に俺も止めるんで。だからマインド的には同じくらいなんで、(こちらから)どうしてもやってくださいって感じではないし、条件通りにフェアに戦ってもらいます」と、YouTuberとして巨万の富を築いたファイターらしく、相手の心理戦には応じないとした。
グローブは10オンスになるだろうと、RIZINの榊原信行CEOは語るが、決定のアナウンスは無く、「こっちは8オンスでも6オンスでも、小さい方がいい。相手のガードの効果が無くなるから。天心戦のときもボクシンググローブ(のメーカー)が違ったみたいで、『まったく同じじゃないとやらないですよ』とは伝えています。メイウェザーと同じものでやります」と告げた。