(C)Magomedov Magomed/Bellator
2022年6月24日(日本時間25日朝6時30分)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガン・サン・アリーナにて「Bellator 282」(U-NEXT配信)が開催される。
堀口恭司も参戦したBellatorバンタム級ワールドGP1回戦では、元UFC世界王者のピョートル・ヤンに1勝1敗の戦績を持つ、ダゲスタンのマゴメド・マゴメドフが今大会に出場。4月のワイルドカードを勝ち上がったエンリケ・バルゾラ(ペルー)と対戦する(※勝者が準決勝でパッチー・ミックスと対戦)。
また、同大会のもうひとつのGP1回戦では、ブラジルのレアンドロ・イーゴが、ワイルドカードを勝ち上がったダニーロ・サバテーロ(米国)と対戦する。
▼Bellatorバンタム級ワールドGP1回戦 5分5R
マゴメド・マゴメドフ 135
エンリケ・バルゾラ(ペルー)135
▼Bellatorバンタム級ワールドGP1回戦 5分5R
レアンドロ・イーゴ(ブラジル)134.75
ダニーロ・サバテーロ(米国)134.75
本誌では、前回のサバテーロ、ストッツに続き、マドメドフとイーゴにインタビュー。また会見でのバルゾーラの言葉も紹介したい。
今大会、屈指の好カードであるマゴメドフvs.バルゾラ。散打とダゲスタンレスリングを駆使し、相手をドミネートするマゴメドフに対し、レスラーのバルゾラも粘り強い戦いを信条とする。2020年3月、最後のUFCでの試合がハニ・ヤヒーラとドローという戦績ひとつを取っても、その実力はうかがい知れる。
UFCフェザー級時は、36回のテイクダウンを成功させ、その数は、ダレン・エルキンス(49)とデニス・ベルムデス(46)に次ぐ3位だった。
そんなバルゾラと対戦するマゴメドフは、ダゲスタンの武術寄宿学校「パエストロン・スヴェタ(世界の五方位)」に13歳から身を寄せ、親友のザビット・マゴメドシャリポフとともに、同世代のサバイバル戦を生き残って来た。テイクダウンからトップコントロール、そして強いパウンドを持つ。
ともにレスリングと打撃を融合させ、コントロールにも長けている両者のマッチアップは、今大会再注目のカードだ。マゴメドフとの一問一答は以下の通り。
ザビットの決断を支持するよ
──散打をベースとするマゴメドフ選手は、ダゲスタンの山々に囲まれた武術寄宿学校「パエストロン・スヴェタ(世界の五方位)」で育ったそうですが、どんな寮生活でしたか。
「寮での生活はそんなに悪くなかったよ。13歳からそこでトレーニングを始めて、ノンストップで17歳までやり、その時点でプロになりたいと思った。だから、いまこうしてBellatorバンタム級ワールドGPに出ているのは、報われていると感じるよ」
──パエストロン・スヴェタでは、どんな練習をしていたのですか。
「正直、トレーニングの量はとても多くて色んな種類のトレーニングをしたよ。散打以外にも、レスリングやサンボも。本当に、チェス以外は何でもやったな(笑)」
──将来的に戦いで生計を立てるための寄宿学校だったと。競争も激しそうですね。
「すべてが大変だったよ。何も簡単な事はなかった。ファイターとして試合がたくさんあったから。アスリートとして秀でていなければいけなかったし。その上でスポーツの道に行くか、もしくは将来三流企業に勤めて人生どうなるかも分からない──そのどちらかしかなかった。だから自分はこのスポーツを選んだんだ」
──なるほど。そのパエストロン・スヴェタに最近、訪れたと聞きました。どんな目的で行かれたのですか(※取材は5月初旬に行われた)。
「その通りで最近、パエストロン・スヴェタに戻ったよ。昔と同じトレーニングをしてみたくてね。それが6月24日のGPで、花火を見せる事に繋がると思ったんだ。それに、寮生の子供たちは皆、僕と会って喜んでくれたよ。パエストロン・スヴェタはいつも温かく僕を迎えてくれるし、6月24日のGPで素晴らしい戦いを見せて恩返しをしたい」
──現在の練習環境は?
「今は『アブドゥルマナプ・マゴメドフ・スクール』(元UFC王者ハビブ・マゴメドフの父のジム)でレスリングの練習をしていたところさ。ほかにも、ダグファイトの代表としてダゲスタンファイターとして、トレーニングは色々なところに行って様々な練習をしている。皆、どこでも温かく受け入れてくれてサポートしてくれるんだ」
──パエストロン・スヴェタであなたとともに練習していた親友のザビット・マゴメドシャリポフ選手が引退して、医学の道に進むと聞きましたが、どう思われますか。
「彼は、僕の兄弟だ。毎日付き合ってくれている。17年以上友達で、今日はたまたまいないけれど基本的には毎日のようにトレーニングに付き合ってくれている。トレーニングだけでなく、前に進むためのサポートをしてくれているよ。
いつも通り私のコーナーにもつくだろう。もちろん、ザビットの引退は誰よりも早く知っていたから、それに対応する時間はあった。彼がこのスポーツで見せるべきものがたくさん残っていたとしても、これは彼の決断であり、私は彼を支持するよ。今は健康上の問題があって(免疫系の病)、彼にとっては大変な時期で、本人も戦いたくないと言っているけれど、戻りたくなったら、いつでも戻ってくればいいと思う」
──パエストロン・スヴェタやアブドゥルマナプのジムで習得した、ダグファイターたちの大きな武器であるダゲスタンレスリングの強さとはどこにあるのでしょうか。
「ダゲスタンレスリングは世界で一番だと思う。世界中からファイターたちがトレーニングしに集まってくる。ただ、どう違うのか、どうして強いのか、というのはなかなかうまく説明できなくて、実際のところは、来て感じてみないと分からないんじゃないかな」
──マゴメドフ選手のダゲスタンレスリングには抑え込む力とともに、マトス戦で見せたように足をかけていく米国練習でのケージレスリングや柔術も入っているように感じます。今回のモヒガンサンアリーナ大会の前に、米国でマーク・ヘンリーやヒカルド・アルメイダのもとで練習することもありますか。
「マークとは、毎回いつも試合の前に練習をするんだけど、今回は自宅の近くでキャンプをするから、米国では練習しないんだ。時差の調整の為に、20日前に入国する予定さ。試合の場所の環境に合わせる調整をしたいからね」
──ところで、あなたと1勝1敗、2度死闘を繰り広げたUFC前世界王者のピョートル・ヤン選手が、4月にアルジャメイン・スターリング選手との再戦に敗れたことについて、どう感じましたか。
「試合は見たよ。ピョートルは強い選手だ。鍛え上げられていて、5Rでも息が持つ。ただ前回は、2R背中を譲ってしまった。それが敗因さ。それ以外は互角だったと思うよ。恐らくきっとリマッチもあるだろうし、僕は、その時はピョートルがベルトを取り戻すんじゃないかと見ている」