2025年1月18日(日本時間19日8時~)米国カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームで開催の『UFC 311: Makhachev vs. Tsarukyan 2』(U-NEXT配信)では、日本から中村倫也が出場するプレリミナリーに続き、メインとコメインでは2つの世界王座戦が組まれている。
コメインで「UFC世界バンタム級選手権試合」(5分5R)に臨む王者メラブ・ドバリシビリと(ジョージア)と2位の挑戦者ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)が個別会見に臨んだ。
▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5Rメラブ・ドバリシビリ(ジョージア)王者 18勝4敗(UFC11勝2敗)※UFC11連勝中ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)挑戦者 18勝0敗(UFC6勝0敗)※UFC6連勝中
(C)Zuffa LLC/UFC
王者ドバリシビリは、MMA18勝4敗。強靭なスタミナとノンストップテイクダウンを武器に、UFCデビュー2連敗後は11連勝中。2022年8月に元フェザー級王者ジョゼ・アルド(ブラジル)に判定勝ちすると、2023年3月に元バンタム級王者ピョートル・ヤン(ロシア)に判定勝ち。2024年2月には、北京五輪のレスリング・フリースタイル55kg級金メダリストで、フライ&バンタム級の元二階級制覇王者ヘンリー・セフード(米国)にも組みで譲らず判定勝ちするなど、UFCの歴代王者を3連破して、2024年9月に当時の王者ショーン・オマリーに挑戦。オマリーの前蹴り以外は大きな被弾はせず5R判定勝ちで王座についた。
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挑戦者ウマルは、MMA18勝無敗。Bellator世界ライト級王者のウスマン・ヌルマゴメドフが実弟で、元UFC世界ライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフが従兄弟にあたる。ダゲスタンチームから2人目のUFC世界王座獲得を狙う。2021年1月のUFCデビュー戦でセルゲイ・モロゾフを、2戦目でブライアン・ケレハーをいずれもリアネイキドチョークで極めると、2022年6月にネイト・マネスに判定勝ち。2023年1月にラオーニ・バルセロスを1R 左フックでKOに下すと、2024年3月にベクザト・アルマカーンに判定勝ち。
2024年8月の前戦争で初のランカーとの対戦としてコーリー・サンドヘイゲンとの5R戦で判定勝ち。ムエタイベースの打撃に加え、ダゲスタン勢で鍛えたレスリングでは、UFC6試合でテイクダウンを奪われたことが無い。5Rの王座戦で上回るのは、初防衛戦となるドバリシビリか、無敗のヌルマゴメドフか。
メラブ・ ドバリシビリ「ウマルはショートカットをしてタイトルマッチの機会を得ている」
──次の試合まで少し時間を空けたかったと思いますが、1月に試合をすることについて、いかがでしょうか? 王者になったばかりのファイターとしては、やや早いスパンにも思えます。
「そうだね、本当は3月にオクタゴンに戻ろうと思ってた。初めてのタイトルマッチのあとだったし、6カ月くらい空けたかったんだ。ベガスにいて、怪我の治療もしていた。だけどUFCから要請があれば出るって決めていたんだ。UFCに所属している身として、会社の役に立ちたいからね。ダナ・ホワイトの言葉に従って、オフィスに行って『やるよ』って伝えたんだ」
──怪我の話ですが、今回のキャンプに支障をきたすような大きな怪我なのでしょうか?
「いや、大したことはない。怪我のせいで練習はちょっとやりづらかったけど、試合に支障が出るほどじゃない。試合が終わったらどんな怪我だったか明かすかもしれないけど、今は大丈夫だし準備はできてる」
──タイトルを獲得されてから、私生活は変わりましたか?
「正直、何も変わらないね。前から大きい試合を何度もしてきて、多くの人が応援してくれていた。どこに行っても、みんなから温かいエネルギーを感じる。家族や友人は変わらず一緒にいてくれるし、むしろ良い人とのつながりはどんどん増えている。でも自分自身は同じ人間だよ。ベルトを巻かれた瞬間は本当に信じられない気持ちだったけど、国に帰ったときもみんながすごく喜んでくれて、ジョージアのような小さい国でUFCの王者が2人(イリア・トプリア=フェザー級王者)も出るのは大きなことなんだ。モチベーションをくれるし、たくさんの愛をもらってありがたい。ファンやメディアから、リスペクトされていると感じられることが俺にとってはありがいんだ。俺自身は変わらず、ハングリーな気持ちでここにいる」
──ウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)との間に“因縁”があると言われていますが、実際に彼のことを嫌っているのですか?
「それは違うよ。俺は誰も憎んでない。試合の中でショーン・オマリーにキスしてみせたり、笑ってたりするのを見てくれれば分かると思う。誰かを嫌う必要はない。ただ、ウマルが俺を『フェイク・チャンピオン』って呼んで、ジョージアに対しても失礼な表現を使ったんだ。それは事実じゃないし、俺の国を持ち出したことも気に入らない。ずっと敬意を示してきた相手に、SNS上で急にバカにされたらさすがに腹が立つ。これはビデオゲームでもなんでもない、現実世界なんだ。そして俺も一人の人間だ。本人に直接『なぜあんなこと言ったんだ?』って聞いたら、『で、それがどうした?』って感じで返された。でもその後『いや、何も言ってないよ』って態度を変えたりして、余計に腹が立ったんだ。だけど今はもうファイトウィークだから気にしてない。契約書にサインしたし、ケージで戦えば良いだけだよ」
──今回の対戦は、バンタム級の中でも技術的に最高レベルの試合になると言われています。過去最高のバンタム級タイトルマッチになると思いますか?
「毎回、新しい相手とやるときは常に一番大きな挑戦だよ。もしこの試合のあとまた誰かが出てきたら、その次もさらに大きな試合だってことになる。俺は色んな強豪を倒してきたけど、MMAファンはすぐ忘れがちなんだよね。でもそれがこのスポーツの魅力でもある」
──コーチのジョン・ウッド氏は「ウマルに勝てば、史上最高のバンタム級ファイターになり得る」と言っていますが、それについてはどう思いますか?
「そこまで言うのはまだ早いけど、それはみんなの判断に任せるよ。この階級には素晴らしい王者がたくさんいたし、アルジャメイン・スターリングなんかもそうだ。でも俺は目の前の相手に集中するだけ。ウマル・ヌルマゴメドフを倒すこと、それが今の最大の目標だ。ただ、ウマルはショートカットをしてタイトルマッチの機会を得ている。UFC初陣同士の試合でデビューして、その後もトップレベルの相手と戦わずに、前戦でいきなり当時2位(コーリー・ サンドヘイゲン)との試合を、プレゼントしてもらえただろ。この階級にはウマルより強い、7連勝中のマリオ・ バティスタ(10位)だっている。だけど彼は、ハビブ・ヌルマゴメドフのような親戚がいないから、チャンスをもらえない。これが俺の考えだし、真実だ」
──ウマルはまだ若く、今後さらに強くなるかもしれませんが、何度も対戦する可能性があると思いますか? それとも今回の試合で完全決着をつけたいですか?
「彼は若いからもっと強くなるかもしれないし、何度も勝ち上がってくればまた対戦することもあるかも。でもまずは今回の試合に集中する。『奴が若いうちに倒しておいたほうがいい』って言う人もいるけど、俺はこの試合にフォーカスしてるだけ。未来のことはその時考えるよ」
──ピョートル・ヤン(バンタム級3位)、ショーン・オマリー(バンタム級1位)、ヘンリー・セフード(バンタム級7位)など、毎回「レスリングで圧倒は無理だ」と言われ続けてきましたが、実際にすべて成し遂げてきました。ウマルのレスリングは、ヘンリー・セフードと比べてどう違うと感じますか?
「ヘンリー・セフードはオリンピックの金メダリストだし、ウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)はMMAファイター。スタイルが違うから簡単に比べられない。実際に戦ってみないと分からないことばかりだし、試合が終わったらどう違ったか話せるかもね。ただ新しい相手との試合は毎回チャレンジだし、俺は本当はもっと長いキャンプで準備したかった。だけど契約したからにはやるだけだし、今は万全の気持ちで、あとは試合を楽しみにしてる」
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──英語が母国語ではないにもかかわらず、アメリカのファンからもとても人気があります。ご自身の陽気なキャラクターという印象は、意識して作っているのですか? それとも自然体ですか?
「自然体だよ。練習は真面目にやるけど、友達と一緒にいるときはふざけたり笑ったり大好きなんだ。自分のことをネタにして笑うのも平気だし、ただ楽しんでるだけ。人気が出たのは、俺のふざけた動画とか、氷の湖に頭突きで穴を開けた動画とかの影響もあるかもしれない。でも試合で強い相手を倒してきた実績もある。TikTokで人気の人はたくさんいるけど、同じように戦えるかって言ったらそうじゃないだろ」
──メインイベントの予想を聞かせてください。アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)とイスラム・マハチェフの再戦は、どのような展開になると思いますか?
「イスラムは偉大な王者だよ、尊敬してる。でも俺はアルマン・ツァルキャンとも仲がいいし、彼はジョージアで生まれたから近い存在なんだ。俺たちはこのイベントではダゲスタンとも戦う同志だから、アルマンに世界を驚かせて欲しい」
──あまり聞きやすい話ではないかもしれませんが、以前にあなたが助けていた友人の一人が今回ウマルの陣営をサポートしているという噂があります。その人があなたの情報を漏らしているのではないかという意見もありますが、どう思いますか?
「それは些細なことだと思ってる。俺は自分の準備に集中してるし、その人が向こうについたからって俺の試合が変わるわけじゃない。その人はダゲスタン出身だし、ハビブ(ヌルマゴメドフ)やイスラム・マハチェフと一緒にいたいのかもしれない。別に悪い人だとは思わないよ。スパイだとか言う人もいるけど、俺は彼が好きだし、気にしていない」
──アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)との関係について、もう少し聞かせてもらえますか。今週、何か話しましたか?
「特別なことはない。でも彼がイスラムと戦った直後くらいに知り合って、それ以来ずっと仲良くしてるよ。ジョージアとアルメニアは近い国同士で、ジョージア国内にはアルメニア系の人もたくさん住んでる。彼とアブダビで一緒に過ごしたときは、ボルカノフスキー(フェザー級1位)も交えて料理したりしてより仲良くなった。今は同じチームの仲間みたいな感じさ」
──SNSで、ジョージア人俳優とアルメニア人俳優が一緒に踊っている古い映画のワンシーンを投稿していましたが、どのような意味があるのですか?
「ジョージア人とアルメニア人が一緒に踊って、すごく楽しそうにしてるシーンなんだ。俺はそれを見て、『試合後にはこれが俺とアルマン・ツァルキャンの姿になる』って言いたかった。試合の準備は色々大変だけど、常にポジティブでいたいし、そういう映像がちょうど良かったんだ」
──今回のメインとセミの両方が、同じ地域出身のファイター同士の試合となっています。地元を代表して戦うお気持ちはどうですか?
「俺らの地元は才能があるんだよ。伝統的にレスリングや柔道が盛んだし、そこからこんなふうにUFCの舞台に出てきて、メインやセミで試合が組まれるまでになった。ジョージアもアルメニアもダゲスタンも小さい国・地域だけど、すごく誇らしいことだと思う」
──ジャマール・ヒル(ライトヘビー級3位 vs.イリー・プロハースカ)が、あなたやアルジャメイン・スターリングがベガスにいたとき、とても温かく迎えてもらったと言っていますが、彼との友情はどんな感じですか?
「ジャマール・ヒルは最高だよ。面白くてポジティブだし、ふざけた動画も好きで、一緒に冗談を言い合って笑える。試合でも強いしね。SNSで、なんであんなに叩かれるのか分からないよ。俺は彼が好きだし、ずっと応援するし、リスペクトしてる」
──王者用のショーツの新デザインには、満足していますか?
「最高だよ。UFCとVENUMが用意してくれたんだけど、俺が試合を受けたときはあと6週間しかなかったから十分な時間が無かったらしいけど、きっちり仕上げてくれた。そして、俺が『ここはこうして』ってお願いしたらちゃんとやってくれた。デザインも完璧だし、ジョージアでもSNSでみんな大絶賛してる。昔からの夢だったから、本当に嬉しいよ」
──ウマル・ヌルマゴメドフもグラップリングが強いですが、グラウンドで試したいという気持ちはありますか?
「いや、俺はグラップリング力を証明しに来たんじゃなくて、ファイトをしに来た。ウマルは無敗だし、その記録を止めたい。彼には謙虚になってもらう必要があるんだ」
──あなたは長年にわたって建設の仕事をしてましたが、もしウマルのようにこの競技だけに打ち込んでいたら、違うキャリアになっていたと思いますか?
「逆に建設の仕事をしたからこそ、違うパワーとメンタルが身についたと思ってる。8時間ぶっ通しで作業するのは普通だし、25分の試合なんて大したことない。あれで培った体力や根性が今のファイトスタイルに生きてるんだ」
──ウマルとは揉めていますが、試合後に握手をする可能性はありますか?
「もちろん、終わったら握手したい。彼への敬意もあるんだ。男同士、試合で決着をつければいいわけだし。彼が俺を侮辱するまではずっと仲良くしてたんだよ。でも俺の国や俺自身を侮辱されたら、やっぱりやり返すしかない。彼もわかっていることだよ」
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ウマル・ ヌルマゴメドフ「グレイシー一族みたいに、みんなが俺たちの名前を覚えてくれるなら光栄だ」
──多くのUFCファイターが夢見る世界タイトルマッチですが、今回ついにタイトルをかけて戦うことになりました。タイトルマッチを戦うには少し早すぎるという声もありますが、今はどのような気持ちですか?
「すごくワクワクしてるよ。でも『早すぎる』って話はちょっと違うと思う。ある選手は1勝しただけでタイトルマッチに挑んだり、デビュー戦でタイトルを懸けた例だってあるしね。『ハビブの名前のおかげ』って言う人もいるけど、アルジャメイン・スターリングだって5連勝でタイトルマッチ挑戦権を獲得したんだ。なら俺が6連勝でタイトルマッチに挑むのもおかしくないと思う」
──メラブがあなたに対して怒っているように見えますが、彼は試合前に感情的になりすぎていると思いますか?
「彼はナーバスだと思うよ。たぶんUFCが俺との試合を強制したことに腹を立ててるんじゃないかな。もともと彼は王者になる前も、俺との対戦を避けたがってたし、王者になってからも他の相手を選びたかったんだと思う。楽な相手と戦って勝ち続けたほうがいいだろうしね。だけどダナ・ホワイトやUFCに『ノー』とは言えなかったんじゃないか?」
──スタイル面で考えたとき、メラブとの一戦がこの階級で最も困難なチャレンジになると思いますか? それとも、ほかにもっと厄介な相手がいると感じますか?
「別にメラブだけが特別ってわけじゃないよ。今はMMA自体のレベルが高いから、みんな打撃もレスリングもグラップリングもできる。どの試合も気が抜けないんだ。だから俺たちは日々、あらゆる局面を鍛えてる。そうじゃないとトップレベルでは通用しないからね」
──メラブは先月の記者会見であなたと直接やり取りがあった際、「なぜ自分を侮辱するのか」と問いただしたところ、あなたは「それがどうした?」と返答したと言っています。しかし会見の場では「侮辱なんかしていない」と仰ったと。そのやり取りについて詳しく教えてもらえますか?
「もちろん覚えてるよ。あのとき俺は会場の奥で彼を見かけて、ちょっと笑いかけて通りすぎたんだ。そしたら彼が追いかけてきて『なぜ俺を侮辱した?』って聞いてきた。だから俺としては『いや、何を言ってるんだ?』って感じだった。彼は自分が父親みたいな立場で、『お前はなぜこんなことをした?』って問いただしてるつもりなのかもしれないけど、俺は彼の息子じゃないからね。もし本当に俺が侮辱したと思うなら、どこで何を言ったか具体的に教えてくれればいい。『お前は臆病者だ』とか『クソ野郎だ』とか、そんなことを言った覚えはないし、音声や証拠があるなら見せてほしいね。実際、彼がSNSであれこれ言ってたから俺も『怖がるなよ』って返したくらいなんだ。彼はダナ・ホワイトやジョー・ローガンから『次はウマルが挑戦者だ』って言われても、ずっとはぐらかしてたんだろ? それでファンの目にも“逃げ腰”に映ってしまった、それだけだよ」
──今回の大会ではイスラム・マハチェフもメインイベントでアルマン・ツァルキャンと再戦します。あなたの試合と比べて、どちらのほうが難しい戦いになると思いますか?
「アルマンはメラブより総合的に上だと思う。アルマンはすごくスキルが高いんだ。でもイスラムは俺がずっと目標にしてきたファイターだし、彼にとってアルマンは苦戦するような相手ではないんじゃないかな。ただ、メラブよりはアルマンのほうが良いファイターというのは周知の事実だ」
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──メラブは以前のインタビューで「ウマルとグラップリングを競うつもりはない。テイクダウンしないで立ち技で戦う」と言っていましたが、これは駆け引きだと思いますか? それとも本当に打撃戦を狙っていると感じますか?
「正直、何を言おうと気にしてないよ。実際は彼がレスリングを使ってくるのは100%確実だと思う。ショーン・オマリー戦のときだって、打撃じゃあまり上手くいかなかったからタックルで凌いでたわけだしね。オマリーのテイクダウン・ディフェンスもそこまで強くなかったと思うし。俺としては彼がどう出ようが構わない。ケージが閉まったら、俺が強いほうだってことを証明するだけだよ」
──メラブは「試合が終われば握手をしたいし、元のように仲良くなれたらいい」と言っています。彼は、本当にあなたのことを嫌っていると思いますか?
「正直、俺には分からないよ。彼は王者になった途端に、言うことが変わったんだ。記者会見でも、『あなたのことは気にしていない、ただベルトが欲しいだけ』って言っただけだ。彼はダゲスタンにも遊びに来たいとも言っていたけど、言動が伴っていない。もし友達として来るなら歓迎するし、敵として来るならそれなりに対応する。それだけだよ」
──あなたのこれまでのキャリア最大の相手として、コーリー・サンドヘイゲン(バンタム級4位)の名前が挙がることがあります。メラブとコーリーを比較してどう思いますか?
「メラブがなぜコーリー戦まで、イージーファイトって見下すのかわからない。現在のコーリーに勝てる人は、この階級にいないと思うよ。ショーン・オマリーと戦っても、コーリーが勝つと思う。メラブはレスリング力が強いけど、打撃を見ればコーリーが最強だ」
──あなた自身もレスリングやグラップリングに定評がありますが、今回メラブがテイクダウンを狙ってきても問題ないと思いますか?
「とにかく相手を“壊す”って気持ちで臨むよ。打撃でもテイクダウンでも、どっちでもいい。チョーク狙いでも何でもやるさ。これがMMAだからね。俺は倒しに行くし、相手の持ち味を封じ込めればいいだけだと思ってる」
──あなたはまだ若いがすでにトップクラスで戦っています。家族やチームには、ハビブ・ヌルマゴメドフ、イスラム・マハチェフ、そしてウスマン・ヌルマゴメドフなどがいますが、彼らと比較してあなたはどの位置にいると思いますか? また、プレッシャーはありますか?
「彼らはハイレベルだし、彼らと一緒に練習していると、いつも新たなことを学べる。俺はまだまだ学び続けている身だ。プレッシャーは、特に感じてないね。ずっとこのチームでやってきて、彼らがどれほど厳しい環境で練習してるかも知ってる。俺たち全員が昔から同じ場所で育って、お互いの実力を分かってるからさ」
──今週と来週はあなたやイスラム、さらにウスマンも大きな試合を控えていて、家族やチームにとって重要な2週間になりそうです。
「すごく大事な2週間だよね。もし俺とイスラム、そしてウスマンがそれぞれ勝てば、俺たちのレガシーはさらに大きくなると思う。歳を取ってから子どもたちに『昔は俺たち、すごかったんだぞ』って誇れるような感じかな。グレイシー一族みたいに、みんなが俺たちの名前を覚えてくれるなら光栄だよ」
──イスラムとの出会いについて知りたいです。ハビブと幼い頃から一緒に練習していたと想像しますが、初めて顔を合わせたときの思い出はありますか?
「いつが最初だったか正直はっきり覚えてないんだ。イスラムは昔から面白い人で、よくみんなをからかって笑わせていたよ」
──メラブはピョートル・ヤンとの試合で49回ものテイクダウンを試みたそうですが、これはスタミナやレスリング力の高さを示す数字だと思いますか? 今回も同じ戦略を取ってくると考えますか?
「彼のレスリング力やコンディションは全く気にしていないし、ビビっていない。準備はできてるし、テイクダウンを狙われても問題ない。そもそも彼はジョゼ・アルド戦ではテイクダウンを奪えていなかったし、相手によっては彼のレスリングは通用しないんじゃないか」