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2022年6月9日(木)と6月10日(金)の2日間にわたりシンガポールで1回戦が開催される『ROAD TO UFC』。
ABEMAでの完全無料生中継も決定した同トーナメント(※1回戦が6月、準決勝は9月、年末に決勝戦。優勝者がUFCと契約)には、フライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級の4階級に“七人の侍”が出場する。
本誌では、トーナメント出場7選手にインタビューを行った。初回の松嶋こよみ、2回目のSASUKEに続く3人目は、日本のDEEPで連勝後、2016年から米国カリフォルニア州アーバインのチーム・オーヤマに単身わたり、フライ級でLFA王座にも挑戦した堀内佑馬だ。
クライマコ戦で見せた秘策、やっぱビビらないやつが強い
(C)Yuma Horiuchi
――このインタビューの数時間前にもアレックス・ペレスとジアニ・ヴァスケスとの練習写真を公開していましたね。普段の練習パートナーは?
「アレックス・ペレス(UFCフライ級6位。7.16 UFCで3位のアスカー・アスカロフと対戦)とルイス・スモルカ(UFCバンタム級)、あと、サイード(サイードヨクブ・カフラモノフ・7.9 UFCバンタム級でロニー・ローレンスと対戦)、たまにリッキー・シモン(UFCバンタム級12位、7.16 UFCでジャック・ショアと対戦)が来たりとか。軽量級はすごいいいメンバーでやっているかなと思います。オーヤマコーチ、ジヴァ・サンンタナさんに柔術、あとは、アレックスの打撃も見ているコーチにミットを持ってもらっています」
――打撃と言えば、11月の試合でマーク・クライマコに1R KO勝ちしました。あの試合で堀内選手はオーソドックス構えで、相手のクライマコはサウスポー構えだった。フィニッシュの右ストレートを当てたときに、相手の前足に触れるくらいに思い切りよく踏み込んでいたのは、練習していた動きでしたか。
「あれは正直、必殺技ですね。隠し技というか。もう別に見せた技なので、見ている選手には分かってしまうので言いますが、サウスポーの相手の前足を、こっちの前足で踏んで、ストレートを当てる。相手はやばいと思ってのけぞったところに右ストレートが当たるという」
――やはり踏んでいましたか。練習でやっていることが出るというのはすごいですね。
「そうですね。狙っていたわけではなかったんですけど、その距離でスパーリングとかもやってるので、自動的にいい感じにハマったというか」
――はい。そこを聞きたかったのですが、あの踏み込みでKOした。それはその距離でも練習もしていると。MMAのスタンドであの距離で打ち合える日本人選手はそういないと思います。それが堀内選手ができるのはなぜでしょうか。
「みんなビビってないと言うんですけど、試合ではけっこうビビる選手が多いと思うんです。僕はいろんな強い選手とやってきて、スプリットで3回、負けています。それを考えたときに、スプリットで負けたときって、ちょっと俺ビビってたんじゃないかなと思うことがあって。この間のクライマコ戦でも思ったんですけど、やっぱビビらないやつが強い。だから、ビビリを捨てようと思って。あの試合は、ビビらず踏み込んでいこうという気持ちで臨んで、がっつり踏み込めて、倒せたという感じですかね」
――「ビビらない」とはいえ、打って被弾して“行って来い”でいいというわけではないですよね。その距離設定が練習から出来ていると。
「練習ではあの近い距離というか、中間というか。僕けっこう独特な距離で戦っているんです。僕が意識しているというか、決めていることは、ちょっと難しいんですけど“僕が当てられる距離で、相手が当てられない距離”をどう作るか、それをモットーにやっています。出入りでも、入って僕が当てて、相手が来たときには避けている。そして効かせるときに思いっきり踏み込む」
――なるほど。それを距離、タイミング、角度も含め、作っていると。そこでビビらない気持ち・技術を作れたのは、やはり米国での試合経験から身に付いたのでしょうか。
「僕がこっちで負けてる試合が全部スプリットということは、やっぱり周りが見たときに、俺の何かが駄目だったのかと。正直アウェー判定とかは、僕はあんまり関係ないと思っていて、負けは負け。そこで経験値を活かして、そのビビる・ビビらないというところで、もっといけるようにしたというか。
LFAって倒すことが大事で、言ったらコンテンダーっぽい、倒して勝てばUFCからオファーが来るかもしれないよ、という団体なので、もっとアグレッシブに行かなきゃいけないなとあらためて気付かされたんです。ビビらずアグレッシブに行くことを僕は気にかけてやっていて、そのためにどうしたらいいかを考える。
どこかアウトボクシングな感じがあったのを、クライマコ戦前からインファイトで、スパーリングとかでも殴り合う。とりあえず殴り合ってみて、殴り合っている中で自分だけが当てられる距離を作っていくというか。自分の距離をもっと修復した部分はあります。アウトボクシングだった選手が、インファイトもしっかりできるように改善した。もちろん最終的にはオールラウンダーであることが必要な条件だと思います。そのうえで頭よくインファイトもアウトボクシングも使い分けられればいい」