▼女子アトム級ワールドグランプリ 準決勝 5分3R
○リトゥ・フォガット(インド)
[判定3-0]
×ジェネリン・オルシム(フィリピン)
※フォガットが決勝進出
フォガット「ヒラタからの変更が私の心を揺さぶることはありません」×オルシム「ジャッジに結果を委ねない」
2018年に日本でも公開された映画『ダンガル きっと、つよくなる』で主人公を演じたギータとバビータを姉に持ち、伝説のコーチマハヴィル・シン・フォガットを父に持つリトゥ・フォガットは、インドで最も有名なレスリング一家の三女で、国民的英雄になる可能性を秘めたONEアトム級の次世代ファイターの一人だ。
1994年生まれ27歳のフォガットは、8歳でインドの伝統的なレスリング=クシュティのトレーニングをはじめ、2016年にシンガポールで開かれたコモンウェルスゲームのフリースタイルレスリングで金メダルを獲得し、翌年ポーランドで開かれたU-23レスリング世界選手権ではインド人女性初の銀メダルに輝いた。
グラウンドコントロールが重視されるクシュティ、よりテクニカルでスピーディなフリースタイルの双方の利点を活かしたフォガットは、インドのプロのフリースタイルレスリングで活躍後、2019年にMMA(総合格闘技)への転向とONE参戦を発表し、インドレスリング界に衝撃を与えた。
シンガポールのEvolve MMAではレスリング出身の澤田龍人とも練習を積むフォガットは、2021年9月3日の「ONE: EMPOWER」でのGP準々決勝で、ランキング2位の中国のメン・ボーを判定3-0で降す番狂わせを起こした。MMA6勝1敗。
準決勝で日本の平田樹との対戦が決定していたが、試合直前に平田が高熱による体調不良で欠場。急遽、ジェネリン・オルシム(フィリピン)がフォガットと対戦することになった。
MMA5勝2敗のオルシムは、東南アジア競技大会の女子ムエタイ54キロ級で準優勝。WSOF GCからONE Warrior Seriesを経て、本戦で2連勝中。組み技の強さを活かし、2021年3月にマイラ・メザーにギロチンチョークで一本勝ち。8月にビー・ニューエンに判定勝ちを収めている。
もともとは、9月3日にグレース・クリーブランドとのリザーブマッチで出場予定も、クリーブランドが欠場。今大会ではジヒン・ラズワンと対戦予定だったが、平田の欠場により、GPにスクランブル出場となった。フォガットのコーナーにはシアー・バハドゥルザダ。オルシムはチーム・ラカイ所属。
1R、ともにオーソドックス構え。中央に詰めるフォガット。しかし、オルシムも長いワンツー、右ローを突く。フォガットは最初の組みは切られるが、2度目のシングルレッグでテイクダウン。下のオルシムはフルガードから腕十字狙い。さらに足を効かせるとフォガットはいったん体を離すと、オルシムは立ち上がる。
スタンドからすぐに詰めてさらにシングルレッグでテイクダウンはフォガット。下から三角絞めを狙うが、潰したフォガット。しかし、ここもオルシムはヒップアタックから立ち上がりに成功。
立ち際にフォガットにヒザを突く! 一瞬後退したフォガットだが、すぐにシングルレッグから回してテイクダウン。オルシムの三角絞めを上体を立てて剥がすと、サイドからパウンド。オルシムも足を戻して横三角絞めに入るが、潰すフォガット。ヒザ立ちの状態のフォガットに、下からオルシムの蹴り上げが顔面・喉元に入り、中断、再開もゴング。
2R、オルシムの打撃の距離を潰してダブルレッグ、尻下でクラッチし、持ち上げて背中から落としてテイクダウンはフォガット。オープンガードから三角絞めを狙うオルシムに上体を立てて、かつぎパスを狙うフォガットは、上からパウンド、ヒザ! 再三、右手を後ろに下げて三角絞めを狙うオルシムは、頭がケージに詰まり立ち上がることが出来ない。最後はフォガットが体を離して、オルシムが下のままゴング。
3R、序盤は打ち合いを臨んだフォガットだが、一転、上体が立ったオルシムにシングルレッグテイクダウン! パスガードからサイド、上四方からヒザを打ち込み、立ち上がろうとするオルシムをコントロール。しかしオルシムも亀から立ち上がり、ノーアームギロチンへ。ここも潰したフォガットが上に。
右で脇差し、抑え込み。亀になるオルシムもヒザを立てて正対。首狙いからがぶりで一瞬、マウントになるが、フォガットはブリッジから前方にオルシムを送り出して、際で上に。そこに足をかけて横三角絞めを狙うオルシムだが、フォガットが潰して上になりゴング。
判定は3-0で、レスリングで上回ったフォガットが勝利。インド国旗を肩に両手を広げた。