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【空手】「メダル無しでは帰れないと思って畳の上に立ちました」──銅メダルの荒賀龍太郎と同期の堀口恭司、それぞれに生きる空手とは?

2021/08/09 15:08

組み手で金メダルを取れる選手を育てていけたら(荒賀)

 荒賀龍太郎は、2016年に初の世界一となった。引退も視野に入れていたが、同年夏に空手の五輪競技入りが決まり「運命だ」と、東京五輪を目指した。

「日本発祥の空手で、初となる五輪の舞台で日本代表としてプライドを持って戦おうと。選ばれたからには、しっかりプライドを持って、メダル無しでは帰れないと思って畳の上に立ちました」という。

「スピードを信じて戦いなさい」という父・正孝師範の教え通り、高速の技を決めるために、動き出しや、間合いの詰め方を磨き直してきた。

 普段は84キロ級を主戦場としているが、五輪では同級と84キロ超級が統合された最重量の75キロ超級にエントリー。リーチの長い相手を想定し、遠間から飛び込む技を磨き、得意の刻み突きのほかに、タイミングの異なる突きや蹴りなど技の引き出しを増やして、悲願だった五輪の舞台に備えてきた。

 手にしたのは銅メダル。大会後の会見で荒賀龍太郎は、「特に突き技に自信があったのでそこは貫き通そうと思って挑みましたし、予選ではそれが決まってポイントを取れたことは、よかったと思います。準決勝では、“超級”の選手に対して、特に蹴り技を多用してくる相手に対して自分の攻撃が攻め切ることが出来なかったことが敗因に繋がったと思います」と、悔しさものぞかせた。

 そして「やっぱり父に金メダルをかけてあげたかった。でも、苦しい場面で『逃げるな、下がるな』という声が聞こえてきて踏ん張ることができた試合もありました。ここまで強くしてくれて、感謝しています」と、父であり、師範の教えとともに掴んだ銅メダルだったことを語った。

 試合後、正孝師範は龍太郎に「よく頑張った。おめでとう」と、祝福してくれたという。

 2024年のパリ五輪で空手は採用されていない。しかし、荒賀は東京五輪で見せた空手を、次の世代に伝えたいという。

「『今まで空手を見たことがなかったけど、感動をありがとう』という言葉をいただけたので、それだけでもこの舞台で頑張った意義があるなと感じました。

 そして、空手をやっている子供たちからたくさんの応援メッセージをいただけましたし、ほんとうは金メダルをかけた姿を見せたかったけど、それが叶わず申し訳ない気持ちがあるのと、それでも僕の試合を見て、何か感じ取ってもらえるものがあればいいなと思って、最後まで諦めずに戦うことが出来ました」。

 今後について、「少し休んでから考えたい。パリ五輪では採用されていませんが、その次、その次の次に入ったときに、組み手で金メダルを取れる選手を育てていけたらいいなと思っています」と語った荒賀龍太郎。道場に戻り、どんな選手を育成していくか。五輪後の空手の未来にも注目だ。

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