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東京オリンピックの空手男子組手75キロ超級で銅メダリストとなった荒賀龍太郎(荒賀道場)。日本の組手で唯一のメダルを獲得した荒賀は、現RIZINバンタム級王者の堀口恭司(アメリカントップチーム)と同じ1990年生まれで、かつて同じ大会に出場していた伝統派空手の同期だった。
今回の東京五輪の組手の難しさは、設定されている階級が通常男女各5階級のところ、五輪では各3階級に絞られているところにある。2016年世界選手権84キロ級優勝の荒賀は、普段は84キロ超級の選手もいる総当たりの1次リーグで、スピードを生かした突き技で勝負した。
初戦でアルカニア(ジョージア)を3-2で下すと、2戦目ではユルダシェフ(カザフスタン)に4-2で勝利。3戦目は、世界ランキング1位のウウル・アクタシュ(トルコ)を相手に、カウンターの中段蹴りを決める進化を見せ、3連勝で1位通過(1人が負傷欠場して4人に)を果たした。
上位2人が勝ち上がる準決勝では、階級上でリーチの長いサウジアラビアのターレク・ハメディを相手にポイント0-2で惜敗。3位決定戦がないため、メダルを確定させた。
組手で胴メダルを獲得した荒賀龍太郎と、男子形金メダルの喜友名諒(劉衛流龍鳳会)、そして堀口恭司は、同い年だ。
2008年8月のインターハイ男子組手では、堀口と喜友名が3回戦で敗れるなか、荒賀は優勝。1年から3年まで三連覇を達成している。
荒賀のことを覚えていた堀口。競技空手時代は、審判の判定が必ずしも自分のイメージとは異なることに不満を覚えていたが、作新学院、一期倶楽部で学んだ空手は、その後の堀口の総合格闘技(MMA)において、他者にない大きな武器となっていることは間違いない。
荒賀や堀口が取り組んだ伝統派空手とは何か? いわゆる「寸止め空手」にも多くの流派やスタイル・哲学が存在するなか、彼らは何を武器に、どんな動きで勝ってきたのか。