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インタビュー

【UFC】イアン・マシャド・ガリー、4連続KOのプラテスと対戦「彼は“いじめっ子”タイプだ。でも厳しい状況になると、諦める」=4.27 UFC

2025/04/24 14:04
 2025年4月26日(日本時間27日)、米国ミズーリ州カンザスシティのTモバイルセンターにて、『UFC Fight Night: Machado Garry vs. Prates』(U-NEXT配信)が開催される。  メインイベントのウェルター級戦では、MMA15勝1敗のイアン・マシャド・ガリー(アイルランド)と、UFC4連勝4KO中のカルロス・プラテス(ブラジル)が対戦する。 ▼ウェルター級 5分5Rイアン・ガリー(アイルランド)MMA15勝1敗(UFC8勝1敗)7位カルロス・プラテス(ブラジル)21勝6敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝4KO 13位 (C)Zuffa LLC/UFC “ネクストマクレガー”の呼び声高いガリーは、2024年12月にシャフカト・ラフモノフとの無敗対決が組まれ、判定負けでキャリア初黒星。対するファイティング・ナード所属のプラテスは2024年2月のUFCデビューから4連続KO勝ち・4連続ボーナス獲得中で、こちらも注目選手。  無敗がストップした“The Future”ガリーと連勝中の“The Nightmare”プラテス。カンザスシティのメインで最後に立っているのは? 計量前のガリーに本誌とU-NEXTがインタビューした。 僕は『コップ半分』の精神で人生を見ている ──ガリー選手、後ろが田園風景で、いまどちらにいらっしゃるのですか。 「今週は大会が行われるカンザスシティに自分たち専用の家を借りている。ファイターズホテルに泊まるのがあんまり好きじゃなくて。2歳の息子も一緒だから、庭で自由に走り回って遊べる方がいいんだよね」 ──そういうことも可能なのですね。今回のようなショートノーティスのカンザスシティでの試合にも集中できるように。 「うん、僕はアイルランドのダブリン出身だから、ここは地元ってわけじゃないけど、こうしてカンザスシティでメインイベントを任されて、ファンの前で試合ができるっていうのは、子どもの頃からの夢だったんだよね。それが今、現実になってる。最高だよ」 ──試合前の「BORN TO FIGHT」の動画も拝見しました。 「ポスターや看板に描かれた自分、自分の顔がそうなる運命にあるとずっと思っていた。僕は美しい少年なんだ。『自分の顔が世界中に貼られることになるんだ』といつも言ってきたし、これは努力の結晶なんだ。リスクという言葉は、人々が注目するものだと思う。僕は『コップ半分』の精神で人生を見ているから(※「コップの中に水が『半分入っている』から『半分空である』の考えに変わるとき、イノベーションの機会が生まれる」というP・F・ドラッカーの言葉)。  トップ5の相手と対戦できた可能性は100%あったよ。でも、誰かが僕に電話をかけてきて、試合を申し込んできたら、僕の唯一の選択肢は『イエス』だ。僕は戦うために生まれてきたんだ。それが僕の仕事なんだ。それ以外の選択肢はない。急な試合には興奮するよ。そうすることで歯車が動いて、脳が自分のために動いてくれるような気がするんだ。そういうときが一番楽しくて自由なんだ。僕は一年中アスリートだ。“生まれながらに準備ができている”。僕のすべてが戦う準備ができている。今でも外を歩いていて、誰かが僕を見て何か間違ったことを言い、戦いたがっているなら、僕はいつでも戦う準備ができている。これは僕の歴史であり、血なんだ」 ──それが「BORN TO FIGHT」ということですね。試合前ですが右頬に少し傷がありますね。スパーリングで負いましたか。 「ああ、スパーでちょっと引っかかれただけだよ。切れてるわけじゃなくて、ほんのかすり傷って感じ。むしろ、ちょっとカッコよく見える気もするしね(笑)」 ──前回のシャフカト戦では、彼がキルクリフFCで元チームメイトだったこともあってブラジルのシュートボクセディエゴ・リマでキャンプをされましたが、今回はどちらでキャンプされたのですか? 「今回は急遽決まった試合だったからね。オファーが来たのが21日前で、家の近くで準備したんだ。イギリスの田舎に家を買ったばっかりで、そこにチームを呼んでキャンプしたよ」 ──トレーニングパートナーはどんな選手たちでしたか。 「いろんな選手とやったよ。コーチたちはみんな海外に行ってて忙しかったからあまり一緒にできなくて。自分でイギリス、アイルランド、ヨーロッパ中から強いサウスポーを集めたんだ。協力してくれたみんなにすごく感謝してる」 ──ご自身で練習相手を集めたと。今回の相手のカルロス・プラテスはサウスポーである上に、リーチも201cmと長い選手です。似たスタイルのトレーニングパートナーを見つけるのは難しくなかったですか。 「いや、世界中に友達がいるから『助けてくれ!』って言ったら、みんな集まってくれたよ(笑)。似たタイプの選手はたくさん集まったから準備はバッチリ。僕はこの相手よりすべての面で上だと思ってる。だから、あとは楽しんで、笑顔で戦うだけだね」 ──これまで戦った相手では、時折スイッチするマイケル・ペイジ選手(ガリーが判定勝ち)もリーチの長い選手でしたが、あなたは被弾することなくバックを奪いました。MVPと実戦で向き合った経験は、今回の試合でも活きそうでしょうか。 「もちろん100%だ。僕がこれまで戦ってきた相手は、みんなトップレベルだったから。カルロス・プラテスも危険な選手だけど、僕の方がもっと危険。ちゃんと準備できてるよ」 [nextpage] この試合で勝って、日本の講道館に行ってみたい ──12月のシャフカト・ラフモノフとの試合は5Rの終盤でも落ちない動きを見せました。最終Rにラフモノフがシングルレッグを仕掛けてきたときにあなたはバックを奪いボディトライアングルでパーム・トゥ・パームで絞めながら、正対際にツイスターにも行けそうでしたが……。 「ああ、あの時はバックを取ってリアネイキドチョークで極め切りたかったんだ。でもシャフカトはさすがに優秀で、しっかりディフェンスされて、スクランブルの中で崩れちゃった感じさ。やりたいことがうまくできなかったけど、それも含めて経験としてすごく勉強になったよ。今はデミアン・マイアに柔術を見てもらっていて、どんどん成長中だ」 ──今回はメインイベント。Cage Warriors以来だったラフモノフとの5ラウンドの経験は、今回の試合でアドバンテージになりますか?「それは間違いなくプラスになるよ。でも正直なところ、今回は5Rまで行かせたくない。できるだけ早く終わらせたいんだ。僕がそれだけ強いって事をみんなに見せたいしね。  前回の試合後、シャフカトの方がより危険なファイターだと言える人は世界中にほとんどいないと思う。彼が勝ったかもしれないが、彼の方が危険だとは思わない。  そして、今回のプラテスは、シャフカト(ラフモノフ)ほどバランスが良いとも思わないし、MVP(マイケル・ペイジ)ほど速くないから、ぎこちなさを感じるわけでもない。背が高くてリーチが長いから、ある程度ぎこちなさを感じる部分はあるだろうけど、ヤツにはジェフ・ニールのようなスタイル上のイライラ感がない。  だから僕にとって、今回のプラテスとの戦いは、オクタゴンに出て、彼よりはるかにレベルが高いことを十分に示せる機会で、それを実現できることに興奮しているよ」 (C)Zuffa LLC/UFC ──現在11連勝中のプラテス選手の過去の試合をみると、前に出ると強いですが、逆にプレッシャーをかけられると苦戦しているように見えました。ガリー選手はこの点についてはどうとらえていますか。 「それ、ほんとその通りだと思うよ。彼は“いじめっ子”タイプなんだ。自分が前に出て主導権を握りたいスタイルなんだ。でも、そうさせない相手とはあんまり戦ってきてないと思う。彼の試合を確認すると、レフェリーに手を上げて『もう終わりだ』と言って、試合を諦めたシーンを見た。あれはカルロス・プラテスの真の姿を見せつけた。厳しい状況になると、彼は諦める。彼が所属するファイティング・ナードは相手を研究してくるだろうけど、俺が試合を諦めたことがないことを知るだろう。土曜の夜、僕は彼が嫌がる状況にどんどん持っていって、彼に諦めるかどうかの選択を迫るよ」 ──長い左はストレートとフックを打ち分けてどちらでもフィニュシュし、ガードで顔をブロッキングすると、空いたボディに左のテンカオを打ち込んで来る。同じ位置に立つと危険な相手に、スタンドポジションや角度が重要になりそうですか? 「カルロスは前に出てプレッシャーかけてこなきゃいけないはずだから、僕としては彼が前に来た瞬間を狙って、全力で打ち込むだけ。そしたら、だんだん下がっていくようになると思う。そうなったら、僕のターンだ。スタンドで楽しく崩していくよ」 ──プラテスはストライカーですが、彼の組み技のスキルについては、どう見ていますか。 「テイクダウンディフェンスは結構いいと思う。でもグラップリングの本質的な部分は、まだあんまり見えてないし、そこはでっかい“?”って感じ。まぁ、僕としては頭を蹴りたいし、ボディも蹴りたいし、相手の得意なところで勝ちたい。でも組み技・寝技で勝負する展開になっても、全然OKだよ」 ──ところであなたのバックグラウンドは、キックと柔道だと思いますが、試合ではオーソからの左のキックも印象的です。 「柔道時代からオーソドックス構えだったけど、左右どちらでも戦えるんだ。好きな技は体落とし。僕、手足が長いから上からガシッと組んで投げるのが好きだった。周りは『リーチも長いから内股でしょ?』って思うみたいだけど、相手がそれを警戒して下がった瞬間に、サッと体落としで落とすのが得意だったね」 ──奥襟や袖が無い分、MMAでは難しい部分をアジャストする必要がありますね。 「でも、壁際とかで攻めてる時には結構柔道の投げ技を使ってるよ。それこそ崩しのリアクションのちょっとした際でも。道衣がある柔道と、肌と肌で組むMMAでは全然感覚が違うんだよね。例えば背負いや体落とし、払腰とかも、全部ちょっとずつ違ってくる。でも、柔道をやってて一番役に立ってるのは腰なんだ。テイクダウンディフェンスの時に腰の強さとか、相手の投げに腰をぶつけるとか、組みの感覚はほんとに助かってるよ。今週もチャンスがあれば見せたいなって思ってる。できれば彼をブン投げたいんだよな(笑)。空中で飛んでひっくり返ってるシーンをみんなに見せたい。君たちに約束するよ、できたら世界に柔道を見せるから」 ──柔道のみならず、デミアン・マイアに師事している柔術の組み技やレスリングなど、あなたのグラップリングも見せる機会となるかもしれませんね。 「そうだね。グラップリングをみんなに披露できるなら、それも楽しみだよ。この試合で勝って、日本の講道館に行ってみたい。アイルランド代表で柔道やってた仲間たちも行ったことあるし、僕もずっと行ってみたかった場所なんだ。日本の文化にもすごく興味あるし、MMAにもっと柔道を取り入れて楽しめたら最高だね。ぜひ行きたいよ!」 ──では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。 「いつか絶対、日本に行くよ。道衣を着て、日本式のトレーニングを体験する。世界でも柔道に関して日本にかなう国はないから、本当に光栄だし、みんなに会えるのを楽しみにしてる。僕のことを歓迎してくれたら嬉しいな。今週末の試合にもU-NEXT配で注目してください!」
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