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【UFC】3大王座戦をフル観客で開催! ウスマンvs.マスヴィダル「7カ月ぶりの再戦、レスリング&ジャブのウスマンと、ATTマスヴィダル。ペースを掴むのは?」=『UFC 261: Usman vs. Masvidal 2』

2021/04/23 12:04
【UFC】3大王座戦をフル観客で開催! ウスマンvs.マスヴィダル「7カ月ぶりの再戦、レスリング&ジャブのウスマンと、ATTマスヴィダル。ペースを掴むのは?」=『UFC 261: Usman vs. Masvidal 2』

(c)GettyImages

 2021年4月24日(日本時間25日)、米国フロリダ州ジャクソンビルのベテランズ・メモリアル・アリーナにて『UFC 261: Usman vs. Masvidal 2』が有観客で開催される。

 新型コロナウイルスのワクチン普及とともに、感染者の減少もあり、今回は1万5千人収容の会場で人数制限無しのフルキャパシティでの開催となる。

 豪華3大タイトルマッチ「UFC世界ウェルター級選手権試合」カマル・ウスマン(ナイジェリア)vs.ホルヘ・マスヴィダル(米国)、「UFC世界女子ストロー級選手権試合」ジャン・ウェイリー(中国)vs.ローズ・ナマユナス(米国)、「UFC女子世界フライ級選手権試合」ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)vs.ジェシカ・アンドラジ(ブラジル)の3試合が組まれたこの大会の見どころを、WOWOW『UFC-究極格闘技-』解説者としても知られる“世界のTK”高阪剛に語ってもらった。

異なるジャブの応酬、足技が突破口になるか

──豪華3大タイトルマッチが組まれた『UFC261』。メインイベントのウェルター級タイトルマッチ、カマル・ウスマンvsホルヘ・マスヴィダルは、7カ月ぶりの再戦となります。前回は王者ウスマンが判定勝ちしていますが、高阪さんはこの試合どう見ていますか?

「前回はギルバート・バーンズの欠場で、試合の6日前に急きょマスヴィダルが挑戦することになったんですよね。だから“マスヴィダルの本来の動きじゃなかった”と言ってしまえばそれまでなんですけど。根本的なところで、うまく試合が組み立てられていなかったと思いました」

――それはどういったところですか?

「マスヴィダルって、試合展開を作っていくテンポが早いんですよ。テンポが早いから、相手はプレッシャーを受けて嫌々出してくる打撃が、マスヴィダルからするとカウンターを当てやすい打撃になることが多い。ドナルド・セローニをKOした時なんかは、まさにそうでした。ただ、前回のウスマン戦では、相手のペースで試合をしてしまった。だからこそ、マスヴィダルが言うところの“しっかり準備時間があれば倒せる”という自信につながっているんじゃないかと思いますね」

――前回は、ウスマンがケージレスリングやテイクダウンを駆使して、マスヴィダルの打撃を封じ込めた印象を受けました。

「そうでしたね。ウスマンはマスヴィダルとは逆に、勝ちに結び付ける展開がスローなんですよ。スタミナに絶対的な自信があるので、四つに組んでスローダウンさせて、相手のペースもそこで奪う。だからこそ、前回のマスヴィダルのように本来の試合をやらせてもらえなくなる。それこそが、ウスマンの本当の強さなんじゃないかと思います。

 だからマスヴィダルは、そのペースにさせないための展開づくりが必要になる。大雑把に言うと、組まれないことですよね。組んでケージレスリングに持ち込まれたら、どんどん削られて、挽回するのが難しくなりますから。そうさせずに、いかに打撃を当てていくか。ただ、距離を詰めると組まれちゃうので、そこは試合の駆け引きとして、どう戦略を立てていくかによりますね」

──ウスマンはこのところ、ベースのレスリングだけでなく、ボクシングテクニックの向上も目覚ましいですよね。

「そうなんですよ。とくに前回のギルバート・バーンズ戦で見せたジャブですよね。ウスマンのスローな試合展開の中で、ジャブだけは異様に速い。それが相手からすると、読みづらさにつながっているんじゃないかと思います」

──いまのウスマンは、かつてのウェルター級絶対王者ジョルジュ・サンピエールのようです。レスリングとジャブだけで完封勝ちするという。

「しかも前回のバーンズ戦では、オーソドックス、サウスポー、どちらの構えからでも前手のジャブが刺さっていたので、これは今までのウスマン対策を考えていた選手たちにとっては、“厄介なものを手に入れやがったな”と、思ってるんじゃないですか」

――ただ、マスヴィダルのボクシング技術もかなりのものです。

「そうですね。しかもジャブの刺し方やタイミングもすごくうまいんですよ。同じジャブでも二人の違うところは、ウスマンは自分のタイミングで打つんですけど、マスヴィダルはカウンターでジャブを当てていることが多い。だから異なるジャブの応酬も起こり得ると思いますね」

──あと、マスヴィダルは、いま最も勢いのあるアメリカン・トップチーム(ATT)のトップ選手です。前回のウスマン戦では、名伯楽のマイク・ブラウンがコロナの陽性反応が出たことで、セコンドに就けなかったというマイナス要因もありました。

「だから今回は、何を授かってきたかでしょうね。ATTの選手は、このところカーフキックで結果を出していますけど、マスヴィダルも以前から低いローキックを効果的に使っていたんですよ。だから足技が、ひとつの突破口になるかもしれない」

――とくにウスマンンのようなボクサー・レスラータイプの前足を潰すにはカーフキックは有効です。

「仮に3~4ラウンドまで、マスヴィダルがカーフなりローキックなりでウスマンの足を潰して、さらにジャブを刺してということができれば、さすがのウスマンも崩れていくかもしれない。ただ、それは大前提として、マスヴィダルが自分のピッチの速いペースでやれたらという話で、一度か二度、ウスマンのペースでスローダウンさせられたら、なかなか元のペースに戻すのは大変だと思うんです。なので、この試合に関しては、どっちのペースで試合が動いていくかが大きなポイントになると思いますね」

――では、マスヴィダルがいかにして自分の速いペースで試合を展開していけるかどうかが、まず見どころとなる、と。

「そう思います。それによって、鉄壁のウスマンを崩すことができるかどうか。今のウスマンは本当に強いですから。“盤石”という言葉はウスマンのためにあるんじゃないか、というくらいにね。もし、それをマスヴィダルが打ち崩すことができたら、またMMAという競技の進化に寄与するんじゃないかと思いますね」

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