再起戦は3月か、4月GPか。朝倉海を巡る状況は──
しかし、朝倉海はコロナ禍でRIZINが存続の危機のなか、2020年下半期に8月(扇久保博正に1R TKO勝ち)、9月(昇侍に1R TKO勝ち)、12月(堀口に1R TKO負け)と連戦を戦い、大晦日に堀口のカーフキックにより筋断裂の負傷を負った。いずれも1R決着と言えども、その都度、試合に向けた追い込みを繰り返しており、連戦による心身のダメージも危惧される。
さらに悩ましいのは、3月開幕戦が名古屋で行われることだ。
朝倉海は、「去年の大晦日に怪我して、そこから一応“復帰しましたよ”という動画を見せたと思うんですけど、まあ、どんくらいの今の状態で、次、いつ試合に出るんだろうと気にしている方も多いと思うので、そこをちょっと話していこうかな」と、直近の怪我からの回復状況を説明する予定だ。
2月11日の自身のYouTubeでは、「怪我から復帰した一発目の練習がバッチバチだった」をアップし、2月21日の「DEEP100」に出場する昇侍、3月13日の「DEEP TOKYO」に出場する佐々木由大らとの軽快なスパーリングを公開。
「(足の調子は)だいぶいい。まだ蹴りを喰らうとちょっと怖いかなって感じ。足の心配とかしてくれるファンの方も多いけど、順調に回復しているので、そこはしっかり安心してもらって。出来るだけ早い段階で試合に復帰できるようにしますんで」と早期復帰を示唆しながらも、「でも万全の状態で挑みたいんで、たしか3月末(21日)に名古屋でRIZINやると思うんですけど、それは様子次第で、万全ならいこうと思うし、ちょっとでも不安があったら4月に出たいと思いますんで、その時はまた応援よろしくお願いします」と、3月大会は怪我の回復次第、4月までには再起戦を行いたいと語っていた。
今回の動画でも、「3月21日に名古屋でRIZINが発表されましたけど、まあ、そこ地元だし、ちょっと……」と、“ホーム”での再起に意欲ものぞかせているが、「まだ蹴りを喰らうとちょっと怖い」という怪我の回復具合に関する不安と、4月の「バンタム級日本GP開幕戦」への参加が再び連戦となることへの危惧もあるだろう。
そして、課題となったカーフキック対策にも時間は必要だ。しかし、堀口が海を崩したカーフキックは、通常のカーフキックに比べ、遠い間合いから、伝統派空手の突きの飛び込みを下段蹴りに応用した蹴りで、頭が前に出にくくカウンターをもらいにくい、独特の動きだった。ボクシング重視の海の前足重心のスタンスだが、出入りやステップも多く、カウンターの圧力も強い海に誰もがカーフキックを当てることが出来るわけではない。
そんなバージョンアップも含め、朝倉海は、群雄割拠のバンタム級でいかに再起を果たし、堀口への挑戦権の獲得、海外メジャー行きの切符を手に入れることが出来るか。GPが16人揃わない場合には、前王者としてシード扱いの資格は十分にあるだろう。
折しも2月6日(日本時間7日)のUFCでは、かつて海が敗れた元RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプ(アンゴラ)が、フライ級ランキング5位のアレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)に判定負けを喫しており、世界の頂の高さを感じさせたばかり。
またBellatorでは、1回戦から王者が出場し、防衛戦をかねてトーナメントに参加させる過酷なGPも行われている。ただし、Bellatorフェザー級GPの場合は、2019年9月の開幕からコロナ禍もあり、2021年6月の決勝まで約1年9カ月をかけて優勝者を決めるなどロングスパンで、さらにワンナイトトーナメントは採用していない。今回のRIZINバンタム級日本GPでは、4月東京と5月大阪で1回戦が行われた場合、秋に準々決勝。年末2デイズか大晦日1日で、準決勝&決勝の2試合が行われる可能性もある。
果たして、朝倉海はどんな決断を下すか。その思いは、KAI Channelにて公開される。