MMA
インタビュー

【ONE】65kg日本人世界最高位・佐藤将光「腹の底では“ふざけんなよ、なめんなよ”と。日本の格闘技が世界的に下に見られている」=2月5日(金)

2021/02/02 13:02

僕が勝っていけば、日本の格闘技の評価を取り戻せる

――今回の対戦相手のァブリシオ・アンドラージは、ONEで1試合を行っています。印象は?

「ONEで僕が初戦でやったマーク・アベラルドと対戦していますが、オファーが来る前に見たときも“強い選手が来たな”とは思ってはいました。ストライキングはやっぱり強いですね。元々ムエタイをやっていて、総合(格闘技)は2試合見たんですけど、打撃でプレッシャーをかけて、相手が逃げのタックルに来たところを潰してバックを取って、チョークみたいな展開が多い。基本は打撃の選手で、距離感が上手いのと、下がりながら打てるので、なかなか距離を潰しにくいなというのはあります。テイクダウンを取って殴ったり、打撃でも勝負ができるとは思ってやっています」

――ストライカーとはいえど、仰る通り、バックテイクはスムーズでした。

「タイガームエタイで練習をしているので、ある程度はやっているんだろうなと思うんですけど、総合ってそんなすぐ出来るものじゃないと僕は思っているので、絶対穴は出てくると思います。そこは自信を持って、僕は十何年、総合をやっているので、大丈夫だと思って、一発に気を付けてやろうかなと思っています」

――佐藤選手にとってはどんな位置付けの試合になりますか。

「まず、絶対落としちゃいけない試合というか、今、ONEに出ている日本人で、タイトルに一番近いと言ってもらえて、日本でのONE Championshipを盛り上げるという部分でも、期待を持ってもらっているので、そこに乗っかって一緒に盛り上げていければいいなとは思っています。ここで落としちゃうと一気に僕の価値が落ちるというか、そこまでの選手で終わっちゃうので、絶対に落としちゃいけない。そういうプレッシャーは持っています。今年、絶対にタイトルに繋げないとという気持ちは、周りの期待や、応援してくれる人もいてもらえてるので、そこは勝手に背負って、今回の試合は戦おうと思っています。

 でも、期待を受けて必ず勝つという気持ちのなかで、1戦は1戦なので、そこに自分のウエイトを置くというよりかは、自分は変わらず、いつも1戦1戦を大事にやっていかないと足元をすくわれちゃうので、しっかりこの1試合に勝つということだけを考えて、残りの試合までの期間はやっていこうと思っています」

――チャンピオンシップが決まってくれないか、という気持ちはありませんでしたか。

「(タイトルマッチが)“決まってくれよ”は無かったですけど、“試合はまだかな”というのが……“なんか渋ってんのかな、ちょっとトラブってなかなか組まれないのかな”というのはありました。ONEのグローバルがどういう動きをしているのかが、まったく見えないので、勝手にそういう風には思っていて、試合がなかなか組まれないなか、直接話せるなら話したいなと思っていました」

――正直、この対戦相手が決まって映像を見ながら、歯がゆさを感じました。バンタム級2位の佐藤選手がこの選手をぶつけられなくてはいけないのかと。佐藤選手のなかではそういう思いはありませんでしたか。

「……とりあえず試合が決まってくれて良かったなというのはありますね。勝っていけば良いだけなので」

――自分よりランク上の選手と対戦したい、という気持ちは……。

「欲を言えば、くらいで、何よりやっぱり試合がしたいというのが大きいです。ランキングはあってないようなものなので。ただ……やっぱりビビアーノとかリネカーとかベリンゴンとかとはやりたいなというのはありますね。今回もいざ決まったらマジかって、一瞬落ちますけどね、なんか。でも試合はやりたいなとは思いますから」

――アンドラージのビデオを見たら、ONEでは終始サウスポー構えでしたが、WLFではオーソドックスでタフに戦っていました。左右どちらでも戦えて、思った以上に危険だと。ONE本国では、いきなり上位ランカーに当てて売り出したいのかなと勘繰りました。あのスイッチする打撃に関してはどういうふうに見ましたか?

「上手いですよね、打撃は。やっぱりスイッチするので、距離を図りづらいなというのはあると思います。あとはプレッシャーが強いですね。独特のリズムと、ステップを踏みながら右左を踏んで、相手をよく見ている。ストレートなのか、ミドルなのか、フックなのか、散らしながら、相手の体勢を崩していって、崩れたところをまとめるみたいなのは上手いなとは思いますね」

――ノーモーションの左もあり、下がりながら打てて接近戦ではヒジも使う。佐藤選手の得意な前進しての打撃やゼロ距離の打撃の良さに対抗できる選手と感じました。そこはMMAで上回ることになりますか。

「そうですね。もう誰が相手でも、相手より有利なところで戦うのと、相手が嫌なことをどんどん狙っていく。もちろん打撃で勝負しながら、打撃でいけそうだったら打撃でもいきますし、打撃で勝負しながらテイクダウンにも行ったり。下になるのも今回はありかなと思ってたりはしています。相手に武器はある。相手の強いところにハマっちゃうとやられる可能性はありますよね。でも、総合格闘技をやれば僕らは勝てる」

――先ほど「渋っているのかな」という一言もありましたけど、UFCからジョン・リネカーがONEバンタム級に入ってきて、その存在についてはどのように考えていますか。

「やっぱり世界的に見て、ジョン・リネカーのほうが僕なんかより全然名前あるし、ビビアーノとぶつけてどっちが面白いかといったらリネカーなので、そういう風には取れますけど、腹の底では“ふざけんなよ”という“なめんなよ”と。僕がこれから勝っていけば、日本の格闘技──世界的にちょっと下に見られちゃっていますけど──日本の格闘技で実績を積んだ選手たちがこれから活躍していけば、また評価は取り戻せると思うので、そういう気持ちでいます」

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