名将マイク・ブラウンとの絆、日米格闘技の違い
厳しいと予想されていた大怪我から、いきなりのリヴェンジマッチでの再起戦。試合後、マイク・ブラウンに「Easy Fight!」と叫んだことについて、山本知事から「堀口選手はいつも勝っても吠えない。“簡単な試合だった”という意味では無かったですよね」と問われた堀口は、「日本の方にはそう(失礼と)とらえられてもしょうがないです。自分としては、『やってやったぞ、俺らだったら出来る』という意味でブラウンに言ったんですけど」と説明。
さらに、「前回、応援団が悲しんで、両親ともに泣いていて“うわぁーやっちゃったな”って思って。今回、勝ってみんなの笑顔が見られたのもあって“よっしゃー”と騒いでしまいました」と、周囲を落胆させた前戦から歓喜の瞬間に導けたことで、喜びが爆発したことを語った。
名将マイク・ブラウンとは、単にコーチと選手の関係を越えた信頼関係がある。最近、堀口はフロリダで家を購入した模様をYouTubeにアップしたが、その動画からルンバを発見した山本知事の指摘に、「あのルンバ、壊れちゃって。いま日本にいるから新しいルンバを受け取れなくて、古いのを送り返さないといけないこともあり、マイク・ブラウンがいろいろやってくれました」と、ブラウンが新車の購入手続きのみならず、自動掃除機の交換まで、堀口の手助けをしている驚くべき事実も明かされている。
その新居に「ATTの有望な選手でお金が無い新人を泊めたい。自分はここまでATTの方々にお世話になっているので恩返ししたい。ATTからコーチに誘われているのでコーチもしたい」と語る堀口を、山本知事は「『始動人』ですね。群馬県では、ものごとを始めて動かす人、ほかの人が目指さないところを目指す、生きる知恵を持った人を育てていきたいと活動しているのですが、我々から見ると、堀口選手は始動人」と、フロンティアスピリットを持って、後進の育成も考える堀口を「自ら動き始める人」と称した。
さらに、日米の格闘技環境・格闘技観の違いを「技術」だと答えた堀口。
「日本はどちらかというと根性を教える。アメリカは『スポーツは科学なので技術だ』と。総合格闘技はやることが多い。ボクシング、キック、レスリング、柔術……一つひとつのコーチがいて、それをまとめてくれるマイク・ブラウンのような総合的なコーチがいる。いまの格闘技はチームプレーで、戦略は大きい。そこは技術がすべてで精神論は無い。頑張ることは当たり前で、技術を増やせば勝てるという考え。“この辛いところを乗り越えれば勝てる”という喧嘩の考え方では、いまのMMAは勝てない」と、プロとして心と体を備えることは前提で、いまなお進化するMMAにおいて技を、チームで磨き、各コーチの指導のもとに適応させることが大事とした。