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コラム

【RIZIN】朝倉未来はなぜ斎藤裕に敗れたのか──物議を醸したRIZINの判定をひもとく

2020/12/07 22:12

斎藤の「ダメージ」は相殺された

 朝倉未来は斎藤裕からフラッシュダウン気味に2度、斎藤の腰を落とさせている。そこで斎藤もヒザをマットに着くことなく、すぐに体勢を立て直し、逆に右の攻撃を当てて押し戻している。

 最も「ダメージ」が感じられるこの場面について、柏木氏は「ジャッジは全員『ダメージは相殺した』と見ていた」という。

「ダメージの50」を取るには至らない、と判断されたのは「僕が思うに、斎藤選手がフラッシュダウンとかの後に亀にならないとか、すぐ立ち上がって打ち返したりとか、そういった行動がジャッジに響いて、ダメージを相殺したという判断になったんだと思います」と、ダメージを感じさせないリカバリーと、斎藤のポーカーフェイスが引き寄せた勝利だと、解説する。

「ダメージ」とは、「その攻撃によって選手がどのような状態になったか」を見られる。前述した通り、ラウンド毎の採点ではないRIZINでは、朝倉が取ったニアダウンは、試合全体の中でのダメージとして取るには不十分であったのか。試合への影響度が感じられない状態であれば、ダメージでは差をつけづらい、とジャッジが考えてもおかしくない。

 そして、鼻骨骨折した斎藤はほんとうに「ポーカーフェイス」だったのか。これまでプロで25試合を戦ってきた斎藤の黒星は4つ。その敗戦はいずれも判定で、KO負けは一度も無い。伝統派空手出身の斎藤自身の身体にも打撃による「ダメージ」の蓄積が少なかったことが、今回の大一番でのリカバリーにも奏功していると思われる。

 3人のジャッジがダメージ「0」。カウンタースタイルの朝倉に比べ、積極的で攻撃的に試合を支配していた斎藤の「アグレッシブネス」もしくは「ジェネラルシップ」が評価され、王座は斎藤のものとなった。

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