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2020年11月21日の『RIZIN.25』のメインイベントで、RIZINフェザー級タイトルマッチ(5分3R)が行われ、判定3-0で斎藤裕(パラエストラ小岩)が、朝倉未来(トライフォース赤坂)に勝利。初代王者となった。
勝者は歓喜し、敗者は驚きの表情を隠さなかった王座戦の判定。ユニファイドルールとは異なるRIZINルールでの斎藤vs.朝倉の判定は、いかなるものだったのか? まず、前提としてRIZINの判定はどのように行われているのか、ポイントを以下に列挙する。
◆RIZINのジャッジ・競技運営は、外部団体である「一般社団法人日本MMA審判機構(JMOC)」が行っている。※基本的に、各試合の担当レフェリー・ジャッジのシフトはJMOCが決め、直前まで明かされない。
◆RIZINのジャッジはラウンド毎の10点法ではなく、「15分間の試合全体で評価」するトータルジャッジ。
◆RIZINの判定基準の優先順位
1. 相手に与えたダメージ(50%)
↓
2. アグレッシブネス(30%)
↓
3. ジェネラルシップ(20%)
◆イエローカード(減点)はマイナス20%。口頭による「注意」「警告」は判定に影響しない。
上記4点を踏まえた上で、今回の斎藤vs.朝倉戦について取材を進めた。
「ダメージ」の判定割合は50パーセントを占める
RIZINの判定基準において、興味深いのは上記の各「評価項目」に「評価割合」のパーセンテージが割り振られていることだ。
ジャッジは、赤コーナーと青コーナーの各選手に上記の「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」の3項目のスコアを記入。そこに優劣が見られない場合、「0」をつけてもいいことになっている。
しかしトータルでの「マスト判定」のため、「ダメージ」「アグレッシブネス」で双方に差が無く「0」をつけた場合でも、優先順位最後の「ジェネラルシップ」では必ず差を見い出して、採点することになっている。
斎藤vs.朝倉戦ではどうだったのか。
RIZIN公式サイトで「教えてチャーリー!」のコーナーを持つ、RIZIN海外事業担当・柏木信吾氏は、「試合の後にジャッジペーパーを見せてもらったんですけど、3名ともほぼ同じだったんです。ジャッジは全員『ダメージは相殺した』と言う風に見ていました。インパクトでは差がついていない、と判断していたんです」と採点を明かす。
具体的には、ジャッジ3名が「ダメージ」で双方に「0」。ジャッジ2名が「アグレッシブネス」で「30」を斎藤につけ、「ジェネラルシップ」でも「20」を斎藤につけている。そして1名が「アグレッシブネス」でも甲乙つけがたく双方に「0」。最後の「ジェネラルシップ」のマスト判定で「20」を斎藤につけている。
よって、ジャッジ3者ともに斎藤を支持。判定は3-0で斎藤がベルトを巻いた。
3名のジャッジはなぜ斎藤と朝倉に「ダメージ」点を与えなかったのか。スコアのうち半分を占め、最も大きな割合を持つ「ダメージ」とは、そもそも何なのか。
RIZINにおけるダメージとは「効果的なダメージ、サブミッションアドバンテージ」とされており、「どちらの選手が、相手により大きなインパクトを与え、より一本・KOに近づいたのか」を指すのだという。
「ニアフィニッシュ」同様に解釈が分かれれるため、主観が入り込む要素が多いが、明確な“ダウン”、関節技での“キャッチ”(確かな極まり具合)を取ることは、「ダメージ」と判断されるだろう。