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【UFC】「父がいなければ戦えない」ヌルマゴメドフがゲイジーに一本勝ちで統一王者となり電撃引退。ウィテカーがキャノニア下す。極真ボルコフが三日月蹴り衝撃KO=『UFC 254』

2020/10/25 04:10
【UFC】「父がいなければ戦えない」ヌルマゴメドフがゲイジーに一本勝ちで統一王者となり電撃引退。ウィテカーがキャノニア下す。極真ボルコフが三日月蹴り衝撃KO=『UFC 254』

(C)Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images

 2020年10月24日(日本時間25日)アラブ首長国連邦・アブダビの「ファイトアイランド」にて『UFC254』が開催された(※試合前の両選手の家族に関するコメント)。

 日本時間25日(日)0時にスタートするアーリープレリム2試合と1時開始のプレリム5試合、合計7試合は、UFC公式サイトおよび公式YouTubeチャンネルでライブ配信。午前3時開始予定のメインカード5試合は『WOWOWメンバーズオンデマンド』で先行ライブ配信されたほか、UFC FIGHT PASSでもライブ配信された。また、メインカードは25日11時より『WOWOW』でも放送される。

UFC 254: Khabib vs. Gaethje

現地時間2020年10月24日(土)/日本時間2020年10月25日(日)
UFCファイトアイランド(アラブ首長国連邦・アブダビ)

【メインイベント】

▼UFC世界ライト級選手権試合 5分5R
〇ハビブ・ヌルマゴメドフ(155lbs/70.31kg)ロシア
[2R 1分34秒 三角絞め]
×ジャスティン・ゲイジー(155lbs/70.31kg)米国
※ヌルマゴメドフが統一王者に。

 メインイベントは、MMA(総合格闘技)28戦無敗の正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)と、22勝2敗の暫定王者ジャスティン・ゲイジー(米国)によるUFC世界ライト級王座統一戦。

 前日計量では、ともに155ポンド(70.31kg)で計量をパス。ヌルマゴメドフは、本計量でマスクもパンツも脱いで、UFCタオルで周囲を覆われスケールに乗り、クリア。両手で顔を覆い、ガッツポーズ後、右手で天を指した。対するゲイジーはマスクを着けたままクリアし、ガッツポーズを見せている。

 2008年のMMAデビューから28連勝中のヌルマゴメドフは、2018年10月にコナー・マクレガーに、2019年9月の前戦でダスティン・ポイエーにいずれもリアネイキドチョークで一本勝ち。

 その後、レスリングやサンボ、柔道の元選手で格闘技の手ほどきを受けた父親アブドゥルマナプを、2020年7月3日、新型コロナウイルスによる合併症で亡くすという悲しみを経て、今回のタイトルマッチに臨む。

 元WSOF世界ライト級王者のゲイジーは、2020年5月の暫定王座決定戦でトニー・ファーガソンに5R TKO勝ちで二冠王に。2018年8月のジェイムス・ヴィック戦、2019年3月のエジソン・バルボーザ戦、9月のドナルド・セラーニ戦もいずれもパンチでフィニッシュしており、現在4連勝中。激闘スタイルに試合巧者ぶりも加わり、7試合連続・9度のファイトボーナスを獲得している。

 ダゲスタンでレスリングを習得したヌルマゴメドフは、タックルからケージレスリング&柔術のポジショニングで極めを得意とし、元NCAAディヴィジョン1のオールアメリカンレスラーのゲイジーは打撃を得意とする。

 ゲイジーにとってはいかにヌルマゴメドフのタックルを切って打撃を入れるか。ヌルマゴメドフはいかにテイクダウンし、ポジションを奪いフィニッシュするか。

 1R、ともにオーソドックス構え。遠い間合い。中央を取るゲイジー。左インローで牽制するゲイジー。詰めて来たヌルマゴメドフにテイクダウンのフェイントはゲイジー。さらに左インローを当てる。

 左のボディストレートはゲイジー。右から左フックを当てにいくゲイジーはさらに左インロー。ヌルマゴメドフは組みに行くが、最初の組みは切ったゲイジー。ヌルマゴメドフはジャブ! ゲイジーも右オーバーハンド、左フックを振る。圧力をかけるヌルマゴメドフにサークリングするゲイジーは足を使う。左のダブルで詰めるヌルマゴメドフに、右を返すゲイジーは右アウトサイドローも。

 しかしヌルマゴメドフはついにダブルレッグテイクダウン! そのままマウントを奪うと腕十字狙いからキーロックに。そこは極めさせないゲイジーだが、かなり足を使ったため、肩で息をする。

 2R、ワンツーはヌルマゴメドフもかわすゲイジーは左ロー。圧力をかけるヌルマゴメドフの組みを切るゲイジー。右ロー。しかしその打ち終わりに組み付いたヌルマゴメドフはゲイジーの脇を潜り、素早くバックマウント! さらにマウントから脇を開けさせ三角絞めに入り下に。ゲイジーの右腕は内側に流さず、外に出したまま、三角に組んだ右足を左手で引き寄せ絞めるとゲイジーはタップも、レフェリーは気づかず。さらに絞め上げたヌルマゴメドフに再びゲイジーはタップし、ようやくレフェリーが止めるも、ゲイジーは失神していた。

 一本勝ちにヌルマゴメドフは、マット中央でひざまずき泣き崩れ、そこにゲイジーが駆け寄り肩を抱く。立ち上がるとなおも号泣。ベルトを巻くと、再びマットに両ひざを着いて泣き崩れた。

 試合後、いつものパパーハを頭に、統一王者としてベルトを腰に巻いたヌルマゴメドフは、グローブをマットに置き、「父がいなければ戦えない。これが自分の最後の試合だ。父がいなくて、ここに来るなんて考えられない。父がいなくなって(戦った試合は)今回が初めてだ。母に3日間相談し、『お父さんがいないと出来ないから、もう辞めてほしい』と言われたけど最後だからと約束し、試合をした」と、突然の引退を表明。「自分がUFCに求めることはひとつ。パウンド・フォー・パウンドの1位を僕にすること。それだけのことはやってきたし、無敗のライト級王者なんだ。UFCで13勝、13勝0敗。MMAキャリアは通算29勝だ。自分にはそれが相応しいと思っている。父の夢だから格闘技をやれた。今日がUFCでの最後の試合になる。ダスティンとコナーが1月に戦う。僕はその2人からチョークで勝ったんだ。ほかに何が? もうなんの興味もない」と、父の死とともに戦うモチベーションが失われたことを語った。

 さらに、無観客のオクタゴンでヌルマゴメドフは、「パンデミック禍でこんな素晴らしい大会を開催してくれたUFCのみんなに感謝したい。ロレンゾ・フェティータ、ダナ・ホワイト、ジョー・シルバ、僕と契約してくれてありがとう。ついてきてくれたみんなに感謝している。父についてきてくれていたみんなはもう10年以上の付き合いだ。AKAのチームのみんな、コーチのハビエル(メンデス)、本当に大好きだ。チームのみんなを愛している」と周囲に感謝の言葉を述べると、とりわけAKAの親友であるダニエル・コーミエーには「アイラブュー、デュード」と惜別の言葉を送った。

 最後に、「ジャスティン、君がどれだけ周囲を気遣う素晴らしい人か、僕は知っている。2016年には減量を助けてくれたこともあったね。ご両親を大切に。いつ何が突然やってくるか分からないから」と、両親をアブダビに招いて戦った対戦相手を讃え、統一王者はオクタゴンを後にした。

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