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インタビュー

【UFC】ヌルマゴメドフ「今日のチャンピオンが明日はどうなるか分からないのがこの世界」vs.ゲイジー「親が自分のためにしてきたことに報いることに優ることはない」

2020/10/23 03:10
【UFC】ヌルマゴメドフ「今日のチャンピオンが明日はどうなるか分からないのがこの世界」vs.ゲイジー「親が自分のためにしてきたことに報いることに優ることはない」

(C)Getty Images

 2020年10月24日(日本時間25日)アラブ首長国連邦・アブダビの「ファイトアイランド」にて開催される『UFC254』のメインイベントで、UFC世界ライト級正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)と暫定王者ジャスティン・ゲイジー(米国)が同級王座統一戦に臨む。

 試合に向け22日、公開記者会見が行なわれ、両者がそれぞれの試合への意気込み、さらにともに得意とするレスリングの違いなどについて語った。

 会見では、米国アリゾナ州サフォードで両親のサポートを受け、4歳からレスリングをはじめ、サフォード高校時代にアリゾナ州王者に2度、北コロラド大学ではNCAAディビジョン1でオールアメリカンに選出されるなど現在の土台を築いたゲイジーが、今回の試合のために両親をアブダビに招いたことを明かした。

「これまで両親は海外旅行をしたことがなくて、初めてビジネスクラスに乗ってアブダビにきたんだ。37年間働きずくめだった父は、数年前にリタイアして、まだ働いている母は、この試合のベルが鳴って、試合後にはリタイアできるだろう。彼らが稼いだお金はすべて僕ら息子や娘に注ぎ込まれてきた。僕らにとって休みとは学生服を買いに行くことだった。レスリングトーナメントのために、3時間をかけて夜通し運転してくれていた。親が自分のためにしてきたことに報いることに優ることはない」と、両親への感謝の言葉を述べたゲイジー。

 続けて「ただ、両親がここにいることはオクタゴンのなかでは関係ない。ただ、コーチのトレバー・ウィットマンの声が聞こえるだけだ(※ウィットマンは「チャンピオンになるのに最も重要な鍵は、100%メンタルだ」とコメント)」と準備万端であることを語っている。

 一方、ダゲスタン共和国で生まれたヌルマゴメドフは、レスリングやサンボ、柔道の元選手で格闘技の手ほどきを受けた父親アブドゥルマナプを、2020年7月3日、新型コロナウイルスによる合併症で亡くすという悲しみを経て、今回のタイトルマッチに臨む。父アブドゥルマナプから、「30戦無敗」を望まれていたヌルマゴメドフは、自身29戦目にして29勝目を目指してオクタゴンに上がる。

 会見で、セレブリティ入りしたことについて問われたヌルマゴメドフは、「大事なことは金や人気ではなく、近しい人や家族とどれだけ親しくいられるかだ。なぜなら今日のチャンピオンが明日はどうなるか分からないのがこの世界だ。だから自分にとって大事なのは家族や仲間なんだ。自分は父にとって良き子だったと思うよ」と、静かに語っている。

 なお、2ショット撮影では、正規王者のヌルマゴメドフが右肩にベルトをかけたのに対し、暫定王者のゲイジーは持っていたベルトを肩から外して撮影に応じた。

 両者の会見での試合に関するコメントは以下の通り。

ゲイジー「僕は彼がケージに押し込むことを許さない」

「俺はパフォーマーだ。どうすればいいか分かっている。自分のパフォーマンスに誇りを持って、すべてを出し切る。

 MMAが大好きだから彼の試合はずっと見て来たけど、対戦相手を分析する以上に、自分にすべきことに集中してきた。ヌルマゴメドフはレスリングやグラップリングの出来る相手とはそう戦っていない。僕は彼がケージに押し込むことを許さない。もし押し込まれたらマズい。だから、自分のゲームプランとしては、彼が組んできたら、僕はマットの中央でグラブする。彼の足を蹴って、そこから動きは始まる。

 すべてはタイミングだ。タイミングとはスペース(間合い)だ。それがもっとも重要な要素になる。彼が打撃しようが、25分間、漬けてこようとも、まあ、見てのお楽しみだ」

ヌルマゴメドフ「僕のレスリングは相手を一晩中寝かせ続けることが出来る」

「ゲイジーはほかの団体にいるときから、優れた対戦相手をフィニッシュしてきた。UFCでトニー・ファーガソンも破っている(2020年5月「UFC 249」で5R TKO)王者のゲイジーを倒すことは、僕にとって財産だ。

 試合の立ち上がりがとてもスピーディで、1R目の彼はとてもとても危険だ。コナーとゲイジーの2人は1R目が特に危険だけど、2、3R目は普通だね。

 ダスティンもコナーもほかのやつらもスタンドでいい選手だ。でもひとたび自分がグラブするとみんな状況が変わる。ゲイジーはほかのやつよりレスリングを知っているから厄介かもしれない。でも自分は彼を100回でもテイクダウン出来るように練習してきた。

 米国の伝統的なレスリングとダゲスタンのレスリングの違い? それはいい質問だ。米国のレスリングにせよ、ダゲスタンのレスリングにせよ、それぞれの技術がある。

 ほかのコンテンダーに比べればゲイジーはレスリング力が高い。だが、問題は25分間レスリングをするということだ。ゲイジーは一度、足を掴んでテイクダウンして、相手がすぐに立ち上がってきたとしてもスタンドでフィニッシュしている。僕の場合はテイクダウン出来たら、相手がいかに立ち上がろうととしても一晩中寝かせ続けることが出来る。それが最大の違いだ。それに俺のジャブには気を付けた方がいい。いいジャブを持っているぜ」

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