J太郎選手との再戦、上原譲さんなくして僕はここにいなかった
――今回は、フェザー級で滝田J太郎(和術慧舟會/KINGCRAFT)選手と対戦します。実は、J太郎選手とも1回、対戦して勝っていますね(2017年5月「THE OUTSIDER 46」)。このときの極まり手は?
「そうなんです、J太郎選手ともやって。あれは横のセンタクばさみでした」
――センタクばさみは、横三角絞めの流れで柔道時代からやっていたのでしょうか。
「柔道時代はそういう技をやっている先輩とかもいませんでした。僕が柔道から総合格闘技に行ったきっかけは、小見川先輩がいてくれたおかげなんです。当時、『自分も総合格闘技をやりたいんです』と言ったら、『じゃあ明日から練習に来ればいい』と。当時、ZSTで活躍していた清水俊一選手がまだ大学生で、吉田道場に一般会員として通っていたんです。それで清水選手にいろいろと教えてもらっていく中で、センタクばさみも教えてもらって、あの試合でも出しました」
――その後、J太郎選手は本当に息が長くて、47歳ながら、2019年には「ZSTバンタム級王者決定トーナメント」で決勝戦まで勝ち上がり、ジェイク・ムラタ選手と素晴らしい熱戦を繰り広げています。
「J太郎選手にはとても良い印象を持っていて、すごく尊敬できます。僕自身も滝田選手とやって、当時は僕が勝ちましたけれども、その後の滝田選手の行動や言動も、SNSを通じて見ていたんですけど、敗戦が一つの転機というか、悔しかったのか、ものすごく練習内容をアップしていたりとか、あとは試合も積極的に出るようになって、試合経験もさらに重ねて4連勝していました。自分との試合を一つの分岐点として変わろうとした。変わった滝田選手を尊敬できるなという印象を持ちました。今回、あの時と違う滝田選手とやれるという楽しみもありますし、もちろんそれと同時に、ファイターとして負けてしまうかもしれないという怖さも、もう1回感じたいと思っています」
――J太郎選手のセコンドには、かつて対戦経験(RyoがRNCで一本勝ち)のある吉永啓之輔氏がついています。
「相手サイドがいろいろな想いで作戦を練ってきたりすると思うんですけど、そこも踏まえて新しい進化、前田さんに教えていただいた技をどう見せるか、期待していてほしいです」
――PANCRASEでの目標をどのように立てていますか。
「まず目標でいうなら、前田さんに教えてもらっている選手の一人として、まずは、PANCRASEでチャンピオンを取れるように、一歩一歩努力をして、1試合1試合やっていきたいです。ファンのなかには、朝倉選手との兼ね合いを知っている人も多いと思います。その中で、やっぱり“どれくらいのものか?”という期待も含まれていると思うので、そのプレッシャーをしっかりと楽しんで、自分らしい戦い──グラップラーではありますが、打撃にも力を入れてきたので、前田さんに教えていただいた打撃の進化を見せたいというところです」
――『THE OUTSIDER』から『PANCRASE』でのデビュー戦に注目しています。
「1点だけよろしいですか。前田さんにこうして見ていただき、PANCRASEに出ることになっているのですが、前田さんを紹介してくださった方がまずいるんです。それがZSTで当時代表をやっていらっしゃった上原譲代表です。上原代表には、僕が吉田道場という環境の中で、なかなかプロの試合に出れなかった時から、親身になって考えてくれて、仕事を辞めず生活をしながら、プロの格闘技選手になれるようにアドバイスをしてくださいました。いろいろな紆余曲折がある中、上原さんは最後まで見届けてくれて、前田さんがいる場所へいざなってくれたんです。だから、上原譲さんなくして僕はここにいなかった。今回、自分を紹介いただけるなら、唯一そこだけは挙げていただきたいと」
――承知しました。前田さんと上原さんに、いい試合を届けられるといいですね。10月25日(日)新木場でのJ太郎選手との試合を楽しみにしています。