(C)RINGS
2020年10月25日(日)東京・新木場スタジオコーストにて開催予定の「PANCRASE 319」(PPVライブ配信あり)に、前田日明が推薦する“THE OUTSIDER時代の朝倉未来を最も追い詰めた男”Ryo(35・RINGS)の参戦が決定した。フェザー級(65.8kg)で、滝田J太郎(47・和術慧舟會/KINGCRAFT)と対戦する。
空白の2年を経て、PANCRASEに参戦するRyoは、前田とのマンツーマンのトレーニング、横浜グランドスラムでの練習を経て、「進化した姿を見せたい」という。一度は「勝利」となった朝倉未来戦の真実、そして前田日明のもとへいざなった、“あの人”に今回の試合を届けたい、という想いとは?
前田さんとの練習を続けて10年経った今、ある日、急に物語が変化していった
――Ryo選手は『THE OUTSIDER』で活躍していましたが、2018年7月以来、試合から遠ざかっています。どんな状況だったのでしょうか。
「試合は2年4カ月ぶりになりますが、トレーニングは引き続きしていました。『THE OUTSIDER 51』のときは、OUTSIDERがラスベガスの『FFC(Final Fight Championship)』との提携を発表していて、米国進出に繋がるような話になっていたんです。そういった兼ね合いもあったので練習は続けていましたが、試合間隔が空いていました」
――現在の練習環境は?
「勝村周一朗さんの横浜グランドスラムで、この10年くらい前から主に練習させていただいていまして、グランドスラムの戸塚ジムと行き来しています。そして、もう1箇所、“あるところ”にずっと通っています。グランドスラムでは、一般クラス、プロクラスの両方に出ているのですが、プロクラスでは田中路教選手、伊藤盛一郎選手、PANCRASEフライ級暫定王者の翔兵選手も来ていますね。みんな意識が高い選手でレベルが高いですし、フィジカルも強い選手たちなので、刺激のある練習をさせていただいています」
――もう一カ所というのは?
「前田日明さんに10年ほど指導していただいています」
――それは個人レッスンのような感じですか。
「そうですね。ゴッチ式トレーニングといいますか、まずはスクワット500回というような。その中で、昔のプロレスのときのお話も聞いたり、それを踏まえた上で、もっとこうしなきゃいけないんだという練習を、前田さんの目の前でレクチャーをいただいたりしています」
――そのカール・ゴッチ式の前田さんの格闘技のアドバイスというのは、一般的なMMAジムで習うものとは異なるような独特なものなのでしょうか。
「独特ですね。厳しさという点でも、たとえば柔道では日体大柔道部に4年間いて、非常に厳しい練習でいろいろな先輩がいましたが、(前田は)今まで出会った中で、たぶん一番と言っていいほど、次元が違います」
――どういう次元の違いなのでしょうか。
「まず練習内容もそうですし、練習中にかけてくる言葉の内容も違う。気付いているポイントが人と違うんです。基礎練習のときから、『反動を使うな』とか、『目線を上げろ』『練習のときは大きくしっかり速くやる』『試合中は全部上目使い』など、一つひとつの動作の“本当にこんな細かいところまで言うの?”という部分まで。例えばスクワットをするときに、手の位置がちょっとでも下がっただけで注意されます。レスラー式腕立てで、本当に腰をもっとぐっと中に入れて、そこから上げろと。その腰の入れ込みがちょっとでも甘いと指摘されます」
――前田さんの新日本プロレス時代のエッセンスをRyo選手は感じている感じなんでしょうか。
「とにかく厳しいです。1回の練習で『駄目』ってたぶん100回以上言われてます」
――そんなに駄目出しされるんですか……大変ですね。
「仕事をされている方で、もし上司から『いや、それ駄目だよ』って、1日100回言われる気持ちを想像してもらえたら、僕の気持ちは分かると思います」
――でも、Ryo選手はそこに通い続けていると。
「もちろん前田さんを尊敬しています。それに今、前田さんが直に継続的に教えている選手がいるのかといったら、たぶん僕しかいないと思うんです。僕は10年、THE OUTSIDERにいて、前田さんとのこの関係を築かせてもらったので、重みがあります。前田さんのイズムを、選手としてこれほど浴びられる人間はもうたぶんいないと思うので」
――だから前田さんもPANCRASEにRyo選手を上げることに尽力されたんですね。
「THE OUTSIDERでチャンピオンになった選手って、みんな『外で試合がしたい』と言って、朝倉兄弟も含め、それぞれの道へ行った。唯一、僕だけが前田さんが敷いてくれた道をずっと歩いていたんです。気付いたら誰もいなくなってしまった……。でも、僕は前田さんが好きだから、そのまま練習を続けて10年経った今、ある日、急に物語が変化していったという感じです」