高橋(左)のパンチに本場タイで学んだミドルキックで対抗する村田
NKB「交戦シリーズvlo.5」
2020年10月10日(土)東京・後楽園ホール
▼第8試合 ジャパンシフトランド杯59kgトーナメント決勝 3分5R延長1R
×高橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者)
延長R 判定0-3 ※9-10×3
〇村田裕俊(八王子FSG/元NKBフェザー級王者、現同級2位)
※村田がトーナメント優勝。本戦の判定は49-48(高橋)、48-50(村田)、49-49
2019年12月大会より8人でスタートしたトーナメントがいよいよ決勝戦を迎える。
高橋は“高橋三兄弟”の次男で、近年は『KNOCK OUT』にも参戦。2017年12月には小笠原瑛作からダウンを奪って引き分け、2018年5月には宮元啓介、9月には瀧澤博人から勝利を奪い、2019年6月にはホームのNKBでバンタム級に続いてフェザー級のタイトルも奪い、2階級制覇に成功。10月には大ベテランの国崇にもTKO勝利。1回戦でJ-NETWORKフェザー級王者・一仁からダウンを奪っての判定勝利、準決勝ではコッチャサーンに1R1分13秒、TKO勝ちと圧倒的な強さで勝ち上がってきた。
対する村田は何度もタイへ渡り、ムエタイの本場で練習と試合を積んだ。2017年2月には『KNOCK OUT』に初参戦して森井洋介と引き分け、一気に名をあげたがその後はなんと5連敗。一時は引退も考えたというが、2019年4月の試合で連敗脱出。「このトーナメントをもって引退」と発表し、1回戦でテープジュン・サイチャーンに判定勝ち、準決勝ではMA日本ライト級王者・遠藤駿平に判定勝ちして決勝へ生き残った。
1R、サウスポーの両者は右ミドルと左ローの蹴り合い。その中で高橋の左ローが強烈に決まる。
2R、高橋は村田の蹴り足をキャッチしてのボディブロー。村田の蹴りに対してパンチを連打で返していく。
3R、高橋のパンチに村田は右ミドルで対抗するが、前に出る高橋の手数が優る。しかし後半、村田が首相撲からのヒザに活路を求め、首相撲では村田が優勢に。
4R、高橋は捕まれないように動きながら、捕まえに来る村田へ右フックを打つ。しかし、捕まると村田がヒザ蹴り。高橋は組んでくる村田へハイキックを放つ。
5R、前へ出る村田にパンチとミドルで掴ませまいとする高橋だが、村田に捕まってヒザ蹴りをもらう。どんどん前へ出て組み付く村田に高橋はペースを持っていかれ、高橋がヒジで東部カットするも本選の判定は三者三様のドロー。
延長戦になるとどんどん前へ出る村田。ミドルを蹴り、組み付いてのヒザ蹴り。この勢いに押される高橋だが、終盤にパンチを連打していき逆襲。前に出る勢いで優ったことが評価されたか、判定は3-0で村田に凱歌。引退試合で有終の美を飾った。
試合後、そのまま村田の引退式が行われ、日本キックボクシング連盟の渡邉信久会長より「村田、よう頑張った。いい試合だった」、師匠である小林秀至会長より「デビューして8年、24戦、魂のこもった毎回いい試合をありがとう。おつかれさん」との言葉が贈られた。続いて村田からの挨拶。
「私、村田裕俊はキックボクシングの選手として今日をもって最後の試合となります。まだ早いという声を聞かせてもらいますが、もうキックボクシングにやり残したことはなくて悔いはありません。本当にこんな大舞台で引退試合をやれる選手になるとは、長い間応援してくれた皆さんのおかげです。今まで対戦してくれた選手の人たち、特に高橋三兄弟はみんな強くて勘弁してくれって感じだったんですが、三兄弟のおかげで強くなれたし、成長できました。ありがとうございました。
小林会長、八王子FSGの皆さん、長い間このジムのおかげで活動できました。最後に家族と両親にお礼を言わせてください。何から何までサポートしていただき、本当にいい選手生活でした。父さん母さん、今まで本当に心配かけてすいませんでした。でも本当に今、幸せです。生まれてきてよかったと思っています。僕を産んでくれて育ててくれてありがとうございました。僕もこんな家族を持っていくような存在になっていこうと思うのでよろしくお願いします。キック人生でキックを通して出会った人たちは宝物です。ありがとうございました」
最後に、村田は天井を仰ぎ10カウントゴングを聞いて現役生活に別れを告げた。生涯戦績は24戦14勝(6KO)8敗2分。