(C)GONG KAKUTOGI/Wakahara Mizuaki/RIZIN FF
2020年2月22日(土)静岡・浜松アリーナにて『RIZIN.21』が開催され、メインイベントで朝倉未来(トライフォース赤坂)がダニエル・サラス(メキシコ)を2R2分34秒、左ハイキックからのパウンドでKOに下した。
そのコーナーについた朝倉海は、兄の勝利と自身と同じバンタム級の3試合をどう見たか。金原正徳vsビクター・ヘンリー、井上直樹vsトレント・ガーダム、金太郎vs加藤ケンジ、そして前戦で敗れたマネル・ケイプについて聞くと、意外な選手の名前も飛び出した。
兄貴のフィニッシュは作戦どおり
――RIZIN浜松大会で、お兄さんの朝倉未来選手とダニエル・サラス選手の試合をコーナーマンとして、間近でご覧になったと思います。あの試合、最後は、未来選手が左ハイからのパウンドで勝負を決めました。あのフィニッシュをどのように見ましたか。
「フィニッシュのハイキックは、試合直前に兄貴と『ハイキックが入りそうだ、これは絶対に狙えるね』という話をしていて、試合展開で兄貴がボディを効かせて、相手が下に意識がいっているところ、ガードが下がってきたところを、ハイキックでフィニッシュという形でした。最終的には、フィニッシュは作戦どおりだったのかなと思います」
――そこのプロセスに至るまで、未来選手はオーソドックス構えを試してサウスポーに戻すなど、試合中に作戦を変えていたようですね。
「そうですね。試合前はもうちょっとあっさり勝つのかな、と思っていたんですけど、けっこう相手の選手もボクシングが上手でした。スイッチしたり、何より気持ちが強かった。異常な打たれ強さがありましたね。思っていたより良い選手だったなと感じました」
――それでも予告どおり2Rに、未来選手がきっちりフィニッシュしたことについては、刺激を受けましたか。
「刺激を受けましたし、やっぱり試合の中で、相手の動きに応じて作戦を変えたりして、巧いなと思いました」
ヘンリーはトータル的に完成されている選手、戦うなら……
――そして、浜松大会では、海選手と同じ階級の注目のバンタム級で、3試合が行われました。まず、金原正徳選手vsビクター・ヘンリー選手について。金原選手と練習経験もある海選手はその強さを知っています。その上で、金原選手が2R TKO負けした、あの試合をどのように見ましたか。
「金原さんの強さは知っていたんですけど、ビクター・ヘンリーも強いのは前から分かっていたので、そんなに楽に勝てる相手ではないな、というのは思っていました。でも、練習で金原さんの実力も知っているので、あの結果は驚きだったんですけど……試合が始まって、1ラウンドが終わって金原さんの調子がおかしいな、というのは感じました。なんかちょっと硬いなというか。もっと自分から圧力をかける選手なのに、ビクターに圧力をかけられていて」
――それでも1Rは完全バックを奪った金原選手の攻勢だったとは思います。『レンジ(距離)が重要だった』と言うヘンリーは、巧みに近づいていきましたが、あの詰めをどう感じましたか。
「上手でしたね。顔をズラしたり、パンチを振りながら入ってきたりとか。圧力をかけながら、いろいろ、上下に打ち分けたりもして。技術的に上手かったと思います」
――対ヘンリーを海選手自身も想像しながら見ていましたか。
「もちろんです」
――トータルで戦えて、フィニッシュ力も防御力もある。
「そうですね。あらためて強い選手だなと。簡単にはいかないなと思いました。打撃でも寝技でも勝負できるし、対戦相手に応じた戦い方ができる。しかも、今回のように決める一撃も持っているし、厳しい戦いの中でも競り勝つ、腰の強さも持っています。トータル的に完成されている選手なので、戦うとなったらキツい戦いにはなるだろうな、というのは思いましたけど、全然、自信はありますね」