佐々木がテクニシャンぶりを存分に発揮して鈴木を返り討ち
「Krush.111」
2020年2月24日(月・祝)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第8試合)Krushスーパー・ライト級タイトルマッチ 3分3R・延長1R
×鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/王者)
判定0-3 ※26-30、26-30、
〇佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者)
※佐々木が第8代王座に就く。鈴木は2度目の防衛に失敗。
鈴木はアマチュアで無敗を誇り、2016年12月にKrushでプロデビュー。2019年1月に王座決定戦を制し、第7代王座を獲得。8月の初防衛戦ではK-1で旗揚げから活躍してきた左右田泰臣の挑戦を受けて防衛に成功し、今回が2度目の防衛戦。
佐々木は2008年にK-1甲子園でベスト8入り、同年5月にプロデビューし、2016年にKrushライト級王者となった。2018年4月に同王座を失い、スーパー・ライト級に転向すると同年11月のK-1スーパー・ライト級王座決定戦では準優勝。6月大会では不可思をTKOで下している。今回はKrushの2階級制覇を狙う一戦に。
両者は11月のK-1で対戦しており、この時は判定3-0(29-28、30-28、30-28)で佐々木が勝利。その試合が終わった直後から「ベルトを懸けてでも、もう一回戦わせて欲しい」と鈴木から逆指名のアピールがあり、ダイレクトリマッチとなった。
1R、鈴木は左ミドルを一発クリーンヒットさせると、佐々木をコーナーへ追い込んで左ストレートをヒットさせる。佐々木もその直後に連打で前へ出てポイントを挽回。鈴木は前蹴りを多用して左ミドル、佐々木も右ミドルを蹴り返しつつ、前蹴りを使う。
2R、佐々木は鈴木の左ミドルをスネでカットし、すぐにローを蹴り返す。右ストレート、左フック、右アッパーのコンビネーションを当てていく。鈴木の左ミドルに左フックを合わせに行き、自分からは右ストレートからのコンビネーション。左アッパーの連打も見せる。鈴木がショートの距離で打ち合いに来ると、右フックでダウンを奪った。
立ち上がった鈴木には前蹴り、右ハイ。右ストレートからの左アッパーでスリップ気味に鈴木が倒れてダウンが宣告される。
3R、逆転を狙って前に出る鈴木だが、佐々木はヒザ、右ストレート、左フックを面白いようにヒットさせていく。鈴木は左フックから一気にパンチで詰めていくが、佐々木は顔面前蹴りを突き刺すと片手倒立ハイキック=センチャイキックまで見せる余裕ぶり。鈴木のパンチを見切りながら自分の攻撃を当てていく佐々木。逆転を許さず、佐々木が大差の判定で2階級制覇に成功した。
佐々木はマイク持つと「僕は今回Krushで9代目? あ、8代目になります。Krushのベルトが8代になるのは数を重ねている。チャンピオンがどんどん変わる階級で難しい階級だと思いますが、このベルトもひとつのところにずっといたいと思うので僕がしっかり守って、今度のK-1で不可思選手と瑠輝也選手がやることになっていますが、その2人に佐々木とだったらやってもいいかなって言われる選手になっていきます。皆さんの力を僕に、そして僕は絶対に皆さんにパワーを届けます。こんな僕でもこういうところで活躍できることを皆さんの糧にして、明日から過ごしていってください」と、王座の長期保持とK-1王座への挑戦を宣言した。
試合後のインタビューでは「後楽園ホールでの盛り上がり・歓声は後楽園ホールでしか味わえない。昔は早く終われと思ってやっていましたが、今は3分3Rを濃く感じながら試合ができている印象です。楽しかったです」と試合を振り返る。
センチャイキックのことを聞かれると「僕が凄く尊敬していて目指しているのははっきり言うと、センチャイが大好きで。練習ではよくやっているんです。僕は他人に興味がないけれどセンチャイさんに関してはジーンときたというか」と、近代ムエタイの帝王と呼ばれるセンチャイに憧れているという。
「僕はK-1、キックボクシング大好きでしょうがない。それ以外興味がない。本当にキックボクシングを極めたいんです」と口にした。
一方、敗れた鈴木は「もう完敗です。うまいこといかなかった。佐々木選手はうまかったし強かった。前回と大きな違いはないが細かい、常に狙われている感じがした。差は埋め切れなかった。こうすればいけるかなっていうのがあったが、それがはまらなかった。ちょっとの差かもしれないが、その差が大きかったと思いました。自分がやりたいことを上手くやらせてもらえなかったですね。今回負けてしまったが少し休んで切り替えて、またゼロからやっていきます」と振り返った。
▼セミファイナル(第7試合)Krushスーパー・バンタム級 3分3R・延長1R
〇軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/第2代Krushバンタム級王者)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-28
×スリヤンレック・オーボートー.ガムピー(タイ/ラジャダムナンスタジアム認定スーパー・バンタム級4位、ルンピニースタジアム認定同級4位)
軍司はK-1甲子園2016 -55kg王者で、2017年9月には第2代Krushバンタム級王座を獲得。二階級制覇を狙ってスーパー・バンタム級王座決定トーナメントに出場したが、2019年2月の決勝戦で玖村将史に敗れた。10月の再起戦ではその玖村の兄・修平と再起戦を行って勝利を収めている。戦績は11勝(3KO)4敗1分。
スリヤンレックはラジャダムナンスタジアム認定スーパー・バンタム級4位、ルンピニースタジアム認定同級4位と2大殿堂のランキングに名を連ねるほか、タイのテレビマッチである『ワンソンチャイ』のフェザー級王者の肩書を持ち、戦績は148勝(21KO) 21敗2分。パンチを得意とするハードパンチャーで、激闘派ファイターとして名を馳せる。主戦場のラジャダムナンでは常にメインイベントかセミファイナルを務めるトップ選手だ。
12月のK-1名古屋大会に初来日するとK-1スーパー・バンタム級王者・武居由樹と対戦し、合計3度のダウンを奪われるも、そのたびに立ち上がって武居に反撃。3R終盤には猛反撃に出て武居をヒヤリとさせた。
1R、軍司は強いローを蹴ってくるスリヤンレックに対し、パンチでも蹴りでもボディを狙い、打っては離れるヒット&ウェイ。体格差を利して距離を取り、スリヤンレックにパンチを当てさせない。
2R、スリヤンレックは強引に入り込んでパンチを打って行くが、ステップを使う軍司を捉えることができない。逆に軍司はリーチの長さを利してパンチを当て、左右ボディとヒザ蹴りでボディを攻めていく。スリヤンレックのパンチは空振りさせ、距離を支配。左ハイもヒットさせた。
3R、スリヤンレックはパンチをブンブンと振り回して強引に打ち合いへ持ち込むが、軍司も強気に打ち合いに応じる。スリヤンレックの圧力に押され気味の軍司だったがしっかりパンチを返し、左ボディのカウンターを2度突き刺して、腹を抑えて後退するスリヤンレックから飛びヒザ蹴りでダウンを奪う。
立ち上がったスリヤンレックはさらなる猛攻を仕掛けるが軍司も退かずに応戦。ヒザ蹴り、左右ボディ、ハイキックとスリヤンレックのパンチに対抗し、判定3-0で難敵を退けた。