(C)Josh Hedges/Zuffa LLC/UFC
2020年2月8日(日本時間9日)、米国テキサス州ヒューストンのトヨタ・センターにて『UFC247』が開催された。
メインイベントではライトヘビー級タイトルマッチが行われ、王者ジョン・ジョーンズがMMA12戦全勝のドミニク・レイエスを迎え撃った。5Rにおよんだ試合は、後半のチャンピオンシップラウンドで盛り返した王者が判定3-0勝利。ジョーンズがジョルジュ・サンピエール(カナダ)が持つUFC史上最多タイトルマッチ勝利数の「13勝」を抜く「14勝」を記録し、ライトヘビー級では3度目の防衛に成功した。
セミでは、女子フライ級タイトルマッチが行われ、王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコがケイトリン・チョケイジアンを3R パウンドでTKO。3度目の防衛に成功している。
【メインカード】
▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R
○ジョン・ジョーンズ(王者/米国)
[判定3-0] ※48-47×2,49-46
×ドミニク・レイエス(挑戦者/米国)
※ジョーンズが3度目の防衛に成功
メインイベントは、UFC世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズ(米国)がランキング4位につけるドミニク・レイエス(米国)を相手に防衛戦に臨む。
23歳にしてUFC史上最年少王者になったジョーンズはMMA25勝1敗。2019年は3月のアンソニー・スミス戦、今回のチアゴ・サントス戦とすっかりニューウェーブファイターを迎え撃つ立場となり、いずれも試合は危なげなく判定勝利。しかし、32歳のジョーンズは守りに入っているつもりはないという。
「スミスもサントスも僕と戦うまでどんな試合をしていたか、みんな忘れている。フィニッシュしなくても価値ある勝利なんだ。ドミニクもそう。ドミニクは無敗で最もタフな挑戦者だ。彼にはフィニッシュする力があるし、危険な試合になるだろう。だからこそこの試合は最高なんだ。ファイトはファイト。みんな俺の試合を“新しいスタイル”だと言うけど、やることは出来るだけ殴って蹴るだけさ」。
対するレイエスは、2017年6月のLFAでジョーダン・パウエルをハイキックKOした3週間後にはUFC入り。ジョアキム・クリステンセンを29秒TKOで沈めてUFC初勝利を飾ると、6カ月後にはジェレミー・キンボールから1Rリアネイキドチョークでタップを奪い、2018年5月にはジャレッド・キャノニアを1R TKOに下すなどUFCで3連続、UFC以前も含めると6試合連続1Rフィニッシュをマークした。
2018年10月にオヴィンス・サン・プレーに、2019年3月にはヴォルカン・オズデミアにいずれも判定勝利。前戦2019年10月のクリス・ワイドマン戦で再び1R KOで勝利し、MMA12勝無敗で今回のジョン・ジョーンズ戦に向かう。
「彼(JJ)のオーバーハンドライトは見てきた。足技も見てきた。彼のような人たちを見て育ってきたからね。どうってことはない。今じゃ(JJが)ビビっている。それは彼自身が明確にしている」と、アマチュア5戦も含め、17試合負け知らずの30歳は勝利に自信を見せている。
先に入場は顎ヒゲをたくわえたレイエス。コールに両手を広げる。対する王者ジョーンズは、首から肩、腹、足を自ら叩いて、両手をついてケージイン。いつものようにマット上で側転する。
BIG FIGHT FEEL.
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ライトヘビー級タイトルマッチ。1R、正座からスタートしたジョーンズ。低い姿勢からいきなりダブルレッグも切るレイエス。
サウスポー構えのジョーンズは左の関節蹴り。同じくサウスポー構えのレイエスも右ジャブから左ローとリズムよく突いていく。
バックフィストを見せるジョーンズは距離を詰めるがステップするレイエス。ジョーンズは左ローもそこに左をボディに合わせるとジョーンズが尻餅! すぐに立つがレイエスは左ストレートを当てて前へ! ジョーンズは回って距離を取る。
手数を落としいったん落ち着いたレイエス。しかし今度は左ミドルを当て、後ろ蹴りも。ジョーンズはコツコツとレイエスのヒザに関節蹴りを打つ。
左ローを連打で返すレイエス。ジョーンズもスナップを効かせた左ハイ。さらに右ハイもレイエスはブロック。中央を取るジョーンズに回らされるレイエス。ホーンにレイエスは右手を挙げてアピールする。
2R、オーソドックス構えから入るジョーンズ。右のミドルを腹に入れるとレイエスは左ストレートから左右のラッシュで追うが、ジョーンズの懐は深い。顔を触らせずにサークリングする。オーソのジョーンズに左インローはレイエス。サウスポー構えに替えるジョーンズに左ロー。ジョーンズは再びオーソドックス構えに。レイエスも左関節蹴りを狙うがジョーンズの圧力は止まらず。後ろ蹴りを見せて詰めると動き続けるレイエスを消耗させる。右ボディストレートのレイエスに右ストレートをヒットさせるジョーンズ。
ワンツーの左は胸元のレイエス。なおも詰めるジョーンズはサウスポー構えでカウンターの左! オーソドックス構えに変えて詰めて左サイドキック! レイエスは右アッパーを当てると左インローも。終盤に返したレイエスだがコントロールはジョーンズのラウンドに。
3R、開始前に笑顔を浮かべるジョーンズ。先にオーソドックス構えから右ローはジョーンズ。レイエスは左の攻撃を上下に散らして前へ。しかしジョーンズはステップバックとブロッキング。左前手を伸ばして右ストレートを当てるジョーンズ。レイエスも左の蹴りを返す。左ボディを伸ばすレイエスだが遠い。右ボディストレートは当たるが浅い。
しかし左の蹴り、インローも繋げ手数は多い。カウンターのジョーンズは、右ハイキック。さらにダブルレッグへ。それを差し上げたレイエスは離れ際に右ヒジ。ブロックするジョーンズはなおも詰めて行く。たがいにファイトの掛け合いから左ミドルをヒットはレイエス! 詰めるジョーンズに左ロー、左ストレートを下がりながらも入れる。追うジョーンズだが、サークリングしながら手を出すレイエスは右アッパーも。かわすジョーンズは追い足から跳び蹴りも当たらず。手数はレイエスのラウンドに。
4R、肩で息をするジョーンズ、レイエスも口を開けている。オーソドックス構えからサウスポー構えになるジョーンズに前に出るレイエス。組み付くジョーンズのダブルレッグに尻は突くレイエスだが立ち上がると金網背に突き放す。左で飛び込むレイエスだが軸は崩れる。サウスポー構えに変えるジョーンズはダブルレッグへ。そこに背中を向けたレイエス。背後から右ハイを狙うジョーンズだが、かわすレイエスは離れる。
サウスポー構えのジョーンズに左ボディストレートはレイエス。さらに左ローも。ジョーンズも左ローも単発。ジャブは遠い。ワンツーから右ヒジで詰めるジョーンズは首相撲も切るレイエス。左を返すと右ボディストレート、左を振る。右ハイをガードの上に当てるジョーンズ。ニータップのフェイントから前に出ると下がるレイエスは左ハイをブロック上に。右の前蹴りはジョーンズ。さらにワンツー、右ストレートで前進し、いい印象でチャンピオンラウンドを終え、5Rへ。
IT ALL COMES DOWN TO THIS. 🔥
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Jones and Reyes – who takes it?! #UFC247 pic.twitter.com/I33obPBD3i
5R、拳はかわさず。ジョーンズの左に左を当てるレイエス。右ジャブダブルから左ローも! しかしジョーンズはこの苦しい時間帯にダブルレッグテイクダウンへ! すぐに金網背に立つレイエス! 右ボディストレートで前に出るジョーンズ。レイエスも下がりながら左ローも力強さに欠ける。右ミドルを当てるジョーンズ。追うが回るレイエス。ジョーンズはヒジも。かわすレイエスは口を開けて呼吸する。右ミドルを当てて前に出るジョーンズ。さらに左ローでサークリングを止めようとする。スピンキックは腹狙いもかわすレイエスは手数が足りず逃げ切り体勢か? 左ハイをかわしたレイエス。ジョーンズは腹に前蹴りを突く。さらに左サイドキック。サウスポー構えからオーソに変えるジョーンズは右ロー、右ハイ。ワンツーのレイエスは当てられず。距離を取るレイエス。互いの拳は空を斬る。ホーンに両者が手を挙げる。最終ラウンドはジョーンズのラウンドに。
3Rまでは手数で勝っているのはレイエスだが、後半はジョーンズが上回りテイクダウンも奪っている。果たして判定は、ジョーンズが3-0(48-47×2,49-46)で勝利。3度目の防衛に成功した。
STILL THE CHAMP.
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試合後、3度目の防衛に成功したジョーンズはオクタゴンの中で、「ドミニクは最高の試合をしたよ。彼に敬意を表するよ。テイクダウンはあまりできなかったけど作戦を変えてキックを蹴った。接戦だと思っていた。5Rは自分が取った。テイクダウンも勝利のポイントだったと思う。(UFC史上最多王座戦勝利「14」に)ありがとう。みんな愛している。最高の記録を作ることができた。米国の歴史、UFCの歴史を作った。ここまでタフな道のりだった。コーチにもありがとう、と言いたい。ドミニクは僕が思っていたよりずっと強い相手だった」と勝利を振り返った。
また、今後については「ヘビー級? まずは少し休んでからコーチと話して決めるよ。今日、83歳の祖母が初めて会場に観に来てくれたんだ」と長身の祖母とケージの中でハグをかわした。
MMA13戦目で初黒星となったレイエスは「1Rから3Rは自分が取っていると思った。4、5Rはチャンピオンシップラウンドで彼が盛り返したけど。まあ、結果は結果。自分が本物だと分かっている。(サプライズは?)無いよ。彼は強かった。打撃でも接戦だった。でもこれがファイトだ。ダメージがゼロじゃない。でも僕も彼にダメージを与えたと思う。みんな応援ありがとう。自分の心に響いたよ」と語った。
◆ジョン・ジョーンズ「簡単なことなんて何もない」(※試合後コメント)
「最高だよ、勝利の気分を味わえて。アメリカの歴史が作られたのがまさにそうさ。必死に戦う。一番感動した勝利とはいかなかったけど、でもこれまでも一度として楽なものはなかった。簡単なことなんて何もない。全力を尽くしたし、5Rにはチャンピオンたるところを示せたと思うから、あれは最高だ。もちろん、身体は痛いけど、勝利は嬉しいものだ。今回の試合が史上最高のアメリカ人アスリートの1人になるために後押ししてくれる。俺は自分の試合だったと思っている。彼は何度もハードな打撃を打ち込んできた。ファンは俺が打たれるのが好きみたいだけど、そう滅多にあることじゃない。ただ、同時に、俺もテイクダウンを取っているし、1回と言わず彼のバックを取っている。寝かせ続けられなかったけど、バックを奪ったし、テイクダウンを成功させて、5R目は完全に俺が優位だった。必死に勝ち取ったとしても勝利は勝利だ。レイエスはすごい若手だね。次? どうかな。アルコールかな(笑)」