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【UFC】ジョー・パイファー、UFCシアトル大会前に起きたことを告白「嫌悪感を覚えた俺は──」「『Be Joe Pyfer』の俺は死に、新たな意味を持つ」

2026/04/01 17:04
【UFC】ジョー・パイファー、UFCシアトル大会前に起きたことを告白「嫌悪感を覚えた俺は──」「『Be Joe Pyfer』の俺は死に、新たな意味を持つ」

(C)Zuffa LLC/UFC

 2026年3月28日(日本時間29日)米国ワシントン州シアトルのクライメット・プレッジ・アリーナにて『UFC Fight Night: Adesanya vs. Pyfer』(U-NEXTUFC Fight Pass配信)が開催され、メインイベントのミドル級戦で、ジョー・パイファー(米国)が、イスラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)を2R TKO。UFC4連勝をマーク後、ケージ内のインタビューで「まるでこの瞬間が現実になるのが見えるみたいなんだ。数週間前までは自殺しかけてたのに──」と、深い絶望と葛藤を抱えていたことを告白した。

 本誌の取材でもかつて「幼少時から父親の虐待を受けて捨てられ、公園のベンチで寝泊まりしていたこともある」とトラウマを語っていたパイファーは、奇しくもその父に連れられた柔術道場で、「生きる道具」を与えられた。

 DWCSを激しい試合で勝ち上がりダナ代表から『ジョー・パイファーのように戦え』と、評されたタフさが売りとなったが、今回の試合直前に、自ら命を絶つ危機に襲われたという。

 試合後会見でパイファーは、マット上での告白について、「多くの人は、俺がそんな状態ならケージに入って粘り強さや獰猛さを保つことなんてできないだろうと、聞き流していたと思う。俺はファイターとして生まれた。混沌とした家庭、めちゃくちゃな家族の中に生まれたんだ。俺は自分自身の“自己破壊”の犠牲者だった。性欲の問題や、有毒な依存のサイクルを抱えていた。薬物関係とかじゃないがね。だがある時、自分自身に嫌気がさす夢を見たんだ。周りの多くの人々を傷つけ、特に一人の人間を……もう二度と傷つけないと誓った。クソ、自分に吐き気がしたんだ」と、自らの愚行によりパートナーを傷つけたことで、自殺を試みる寸前だったことを明かした。

 そのときのことについて『The Ariel Helwani Show』では、祈りがあったという。

「頭の中で何かが呼びかけているような気がしたんだ。自分がやりたいことではないと感じていたけど、いつものように、痛みから逃げて何かで埋めようとしていた」

「まるで神様が夢の中で私に現れて、体外離脱体験をさせてくれたような気がする。そこで俺は自分が何者なのかを知ることができ、そして嫌悪感を覚えた。それから、自分が本当に望んでいること、なりたい自分、つまり自分の魂はまだ純粋で、愛は本物だと気づくことができた。そして、6年以上付き合っている今の恋人が、私の2人の子供の母親になる姿を見ることができたんだ。俺はずっと子供を持つことに迷いがあった。子供たちの顔は見えなかったけど、彼女の顔ははっきりと見えた。それはとても力強い瞬間だった。俺は溺れかけていたけど、イエスの手を見たような気がしてその手を取り、目が覚めると、人生がすっかり変わってしまったように感じた」

「自分の信仰を世間に公言することには多くのことが伴うと分かっているけど、俺はそれで構わない。結局のところ、俺は自分の人生で何が大切なのか、そして今何をすべきなのかを非常に明確に理解している。自分が進むべき道がはっきりと見えている。そして、自殺未遂をするほんの数秒前、祈りが俺を救ってくれたんだ。まさに最後の手段だった」

 アデサニヤ戦の1Rは接戦で、右カーフキックを被弾するなど、キレのあるアデサニヤの動きに後手に回っていたパイファーだが、2Rに左ボディと左右フックとアッパー、右ヒジを効かて徐々にペースをつかみ始めると、アデサニヤにプレッシャーをかけ、左フックを空振りさせて組んでテイクダウン。バックを奪い、マウントからパウンド連打でレフェリーストップを呼び込んだ。

 14位のパイファーが上位ランクの4位のアデサニヤを下した瞬間だった。パイファーは4連勝。アデサニヤは4連敗がついた。

「みんな彼に厳しすぎると思う」とパイファーは敗者を気遣う。

「一つの勝利の裏には誰かの苦しみがある。俺は勝って嬉しいが、イジーがこれほど叩かれているのを見るのは辛い。俺は29歳で、階級屈指のハードヒッターだ。彼は俺相手にとてもよく戦った。彼はハングリーに見えたし、あそこにいたいという意志が感じられた。あんなレベルで戦っていれば、誰だって勝つし、誰だって負ける。だから俺は浮かれていない。信仰が俺をここに留めているのもあるが、一方でイジーが『名前のない奴に負けた』なんて言われて攻撃されているのを見るのは……俺が成し遂げたことへの敬意さえ払われていないようだし、彼が攻撃され続けているのは悲しいことだ。彼は史上最高の一人だし、今も最高レベルで競い合っている。俺の前に彼が負けたのはトップ5の奴らだけだ。だから、彼に少し寛容になってあげてほしい。本当に腹が立つし、悲しいよ。ファンには憎しみよりも愛を示してほしい」

 パイファーは、UFCファイターへのキャッチフレーズとなった『Be Joe Pyfer』の言葉を異なる意味を持つようになったという。

「この6週間の人生を考えると、ああ、今は(以前の自分は)見たくないな。ただ、俺の相棒がInstagramに投稿してくれたビデオがあるんだ。儀式的な計量の時に俺が言った『誰でもよかったはずだが、神が俺を選んでくれた』という言葉。あの瞬間の自分は誇りに思う。そして彼女のアシュリンにどれほど愛しているか、残りの人生を彼女と一緒にいたいと伝えたことも。俺は今、精神的に本当に良い状態にいるんだ。

『Be Joe Pyfer』としての俺、かつての人間としての俺は死んだ。だが『Be Joe Pyfer』という言葉は、人々をインスパイアするもっと大きな意味を持って生き続けるだろう。今はそれに意味がある。今の自分を誇りに思っている。毎日厳しい選択を迫られるが、今やっていること(信仰に基づいた正しい生き方)が実は一番難しいことなんだ。世の中の悪が攻撃してこようとするから、ますます難しくなる。そういう仕組みなんだよ。だから『Be Joe Pyfer』はこれからも存在するが、今は違う意味を持っているんだ」──会見でのジョー・パイファーとの一問一答と、『The Ariel Helwani Show』でのパイファーの言葉は以下の通りだ。

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