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【UFC】ジョー・パイファー、UFCシアトル大会前に起きたことを告白「嫌悪感を覚えた俺は──」「『Be Joe Pyfer』の俺は死に、新たな意味を持つ」

2026/04/01 17:04

パイファー「人は変われる、より良い人間になれる」

──試合を終えた調子はいかがですか、ジョー。イスラエル・アデサニヤというレジェンドを相手に、あなたのキャリアで最大の勝利を挙げたこと、おめでとうございます。それぞれのパフォーマンスをどう感じたか教えてください。

「ああ、イジーは本当に一生懸命トレーニングしてきたと思うし、実際、俺を打ちのめしていたよ。でも、俺はプレッシャーをかけ続けた。ショットを受けても、何かにひどく傷つけられたとは感じなかった。結局、自分のテイクダウンに持ち込むことができたし、多くの人が過小評価していると思うが、自分がハイレベルのグラップラーであることを証明できた。それで、彼を痛めつけて出血させ始め、バックを取ったんだ。

 あの流れるような一連の動き(シークエンス)は、ちょうど取り組み始めたばかりのものだった。以前からあの動き自体は知っていたが、世界最高のグラップラーの一人であるニッキー・ロドリゲス、そしてジョナサン・ウェブと一緒に、文字通り練習してきたんだ。だから、彼らにはとても感謝している。そしてイジーにも感謝しているよ。今でも彼は史上最高のミドル級選手だと思っているし、彼は素晴らしい男だ」

──2ラウンド、彼が勢いに乗り始めて君を押し戻し始めましたが、あなたは「パンチによるダメージはあまり感じなかった」と言いました。それなら「ただ歩いて突き進める」と思った瞬間があったのか、それともタイミングを見計らって待つ必要があったのでしょうか?

「いや、やはり時期を待つ必要があった。イジーは戦術家だからね。彼のパンチ力は怖くなかったが、蹴りは怖かった。蹴りが怖いというのは、例えば頭へのクエスチョンマークキック(ブラジリアンキック)とかね。彼の(キックボクシングの)戦績が75勝4敗だか5敗だか、すごいのは知っていたから。だから、ガードを高く保ち、隙を無くすことに集中した。まだ試合を見返していないからどうだったか分からないが、とにかく感謝しているし、今日は神が味方してくれた。イジーは本当に、本当にすごい奴だよ」

──試合後、あなたが経験してきた個人的な葛藤について明かしましたね。特にひどい時期があり、自分を傷つけることも考えたと。これはあなた自身の物語であり、話せる範囲で構わないのですが、一体あなたの身に何が起きていたのか、そして何がそれを克服する助けになったのか教えていただけますか?

「今週ずっと言ってきたことだが、多くの人は、俺がそんな状態ならケージに入って粘り強さや獰猛さを保つことなんてできないだろうと、聞き流していたと思う。俺はファイターとして生まれた。混沌とした家庭、めちゃくちゃな家族の中に生まれたんだ。多くの子供たちがそうであるように、俺の境遇が他と比べて特別に不幸だというわけじゃないが。

 ああ、俺は自分自身の“自己破壊”の犠牲者だった。性欲の問題や、有毒な依存のサイクルを抱えていた。薬物関係とかじゃないがね。だがある時、自分自身に嫌気がさす夢を見たんだ。周りの多くの人々を傷つけ、特に一人の人間(※パートナー)を……もう二度と傷つけないと誓った。クソ、自分に吐き気がしたんだ。

 それでセラピーを受けた。あの夢の中で、神が俺を選んで手を取ってくれたように感じた。そして、修復された人生、新しい人生を与えてくれた。今言える唯一のことは、世界中のあらゆるプレッシャーや期待が消え去り、真に自由な人間になれたと感じているということだ。今週一週間、チームやコーチたちのサポートがあって本当に素晴らしかった。彼らに『人は変われる、より良い男になれる』ということ、そして神は実在し、イエスは実在し、生きるべき道があるということを示せた。俺はその道に従った。祈りを通じて、この勝利を授かったんだ。今週はたぶん50回は祈ったよ。人生で最も穏やかで、幸せで、平和で、感謝に満ちた状態でいられた」

──何か助けを求める方法を他人に教えるのはあなたの責任ではありませんが、今その暗闇を経験した者として、同じような状況にいる人々にメッセージはありますか?

「耳を傾ける気があるなら、聖書を読む機会を作って、一冊一冊について質問してみてほしい。俺はもうすぐ聖書を読み終えるところだ。俺はあまり読書が好きじゃない、すぐ眠くなるから読み通せないんだ。だからオーディオブックをダウンロードして、6カ月以上聴き続けている。各章から質問や理解できないことを書き出している。

 まず第一に、より良くなりたいと願う人々に囲まれること。そして自分の信仰にチャンスを与えてほしい。それは世界で最も自由になれることだ。『罪の報酬は死である』というが、俺たちはただここにいて、良い人として生きて死んで、その後は永遠の暗闇……なんてことは、俺がこれまでの人生で聞いた中で最も愚かな考えだ。

 俺は常に葛藤していた。自分は信者だ、クリスチャンだと言いながら、実際には生ぬるい態度だった。クリスチャンだと言いながら、外で女遊びをしたり、あれこれしたり。それは神に従った生き方じゃない。キリスト教の道徳に従って生きることにデメリットなんて何もない。それを尊重しないならそれでも構わないが、真の自由のために自分にチャンスを与えてほしい」

──勝利おめでとう。

「本当にありがとう」

──試合中にアイポークがありましたが、それで調子が狂うことはありましたか? 見たところそうでもなさそうでしたが、あの時何を考えていましたか? 集中している時にそういうことが起きると、試合の流れが変わってしまうこともありますよね。

「ああ、そうだ。イマボフとイジーの試合でもアイポークか何かの問題があったから、感謝しているよ。皮(グローブ)が目に入ったのか、指が入ったのかは分からないが、ジャック・ハーマンソンと戦った時に目に当たった時は何も見えなくなった。正直、視界がぼやけたんだ。イジーには『嘘はつかない』と言ったよ。多くの観客がブーイングしていたが、パンチだったのか指だったのかは分からない。ただ眼球に当たったことだけは分かるし、失明したくないからね。もしアイポークじゃなかったら申し訳ない。リプレイは見てないが、どう見えた?」

──アイポークのように見えましたよ。

「それなら正当化されるな。でも、あの後に彼にフィニッシュされたり、逆に俺がフィニッシュしたりしなくて本当によかった。それだと勝利にケチがついてしまう。とにかく大丈夫だったよ。ただ過敏になっていたんだと思う。前回のジャック戦で目に当たった後、文字通り彼が見えなくなって、次の3ラウンドはずっと彼が4人に見えていたからね」

──今週、精神的に非常に異なっているという話がありましたが、今、自分自身が以前とどれほど違う人間になったと感じるか、過去の試合と比べてどうでしたか?

「暖かい毛布に包まれているような感じだった。説明するのは難しいが、痛みは感じるのに、全くひるまなかったんだ。彼がすることに驚くことも、ショックを受けることもなかった。彼が脚を蹴ってくるのは分かっていたし、それに対して大したことはしなかったが、とにかく“タックルし続ける、前進し続ける、やり続ける”という気持ちだった。あいつ、すぐ汗をかいたな、めちゃくちゃ滑ったよ。とにかく、何も驚きはなかったし、神の存在が俺を勝利に導いてくれたと感じている」

──試合後、イスラエルと話をしていた瞬間がありましたが、もしよければ内容を教えていただけますか?

「イジーとはこれまでに2回会ったことがある。1回目は俺がマイアミのカードでジェラルド・マーシャートと戦った時で、彼に『なあ、あんたならやり返せる(ベルトを取り戻せる)って分かってるぜ。あんたにできないなら誰にもできない』と言ったんだ。その後彼はアレックス(・ペレイラ)を倒して、史上最高の素晴らしいスピーチをした。俺はそれにすごく刺激を受けたよ。UFCに入る前からずっとイジーを見てきたからね。それから去年のインターナショナル・ファイト・ウィークでも会ったが、彼は本当に紳士的だった。試合後には、まだ彼の考えを吸収したいし、学びたい、と伝えたよ。彼は別に仕返しをしようとしているわけじゃないからね。だから、あっち(ニュージーランド)へ飛んで行って、一緒に練習して学びたいと言ったんだ。打撃の面で研ぎ澄ませることができる部分がたくさんあると思う」

──足に装具をつけて引きずっていますが、今どういう状態ですか? 試合は終わったので教えてもらえますか?

「たぶん、イジーの方が俺よりずっと怪我なく歩いていると思うよ。ああ、ふくらはぎを打ち抜かれた。腫れているだけだ。神経が通っている過敏な場所だから、慎重に扱っている。手の方は、まだ分からない、検査してもらうよ。あいつの頭を殴った時に痛めたんだ。まあ、一発当てれば十分だからね」

──次の質問ですが、いつ頃戻りたいですか? メインイベントという大きなプレッシャーのかかる試合でした。数カ月休んで今年後半に、という感じでしょうか? 理想は?

「マッチメイクはしたくないんだ。メディア向けには『次はこの相手だ!』と言うべきなんだろうが、俺はそういう点ではデビー・ダウナー(※場をしらけさせるキャラクター)だよな。ただ、8月にフィラデルフィアで大会があるのは知っている。東海岸には準備万端の仲間がたくさんいる。ショーン・ブレイディの結果次第だが、俺と彼でメインを張るのもクールだと思う。とにかく、できれば8月のそのカードでメインを務めたい」

──あの勝ち方なら、その資格はあると思います。

「ああ、だから8月頃かな。今はマッチメイクはしたくない。階級の他の奴らについて話したくないんだ、みんな素晴らしいファイターだから。かつての俺は、常に『次は何だ、次は何だ』と先ばかり見ていたが、それはたった今勝ち取った勝利の価値を損なうものだと思う。外にいる俺のチーム、17、18人の仲間は家族のように一緒にやってきた。だから『次は何だ』というプレッシャーをかける前に、まずは彼らと一緒にこの勝利をじっくり味わいたいんだ」

──これだけは聞かせてください。君は4位(のアデサニヤ)を倒しました。ランキングも4位になるべきだと思いますか?

「100%そうだ。4位をフィニッシュしたんだから。そうなるべきだと思わないか?(※6位に)」

──そうあるべきだと思います。対戦相手の数字を引き継ぐというのが道理ですから。

「ああ、そう機能するだろ? フットボールの仕組みは知らないが、とにかく12位の奴が世界最高の男と戦うという大きなリスクを取って、フィニッシュしたんだ。アデサニヤのようなレベルの相手とは戦ったことがなかったが、フィニッシュした。これで16勝のうち14勝がフィニッシュで、しかも相手は世界最高の一人だ。くだらない批判をしていた連中は、さぞかし悔しい思いをしているだろうな。ざまあみろ」

──あと数問だけ。今週初めに話した時、あなたに「自分自身と戦うならどう攻略するか」と聞いたら、あなたは『脚を攻める』と言いましたね。そしてイジーはそれを実行しました。試合はあなたの完勝でしたが、1ラウンドが終わってスツールに座った時、脚は気になっていましたか?

「感じてはいたが、止まるつもりはなかった。ジャック(ハーマンソン)からは30発以上もらったが、あの時は前進しなかった。今回はそこが違う。何発かチェック(カット)したが、それでも彼は蹴り続けてきた。彼も蹴りながら痛めていたはずだ。確かに痛かったが、致命的ではなかった。適切な場所を適切な回数叩かれなかったということだ」

──最後に、個人的な成長と変化について。今週初めに『Be Joe Pyfer』というタグラインについて聞いた際、あなたは「ジョー・パイファー(という以前の人間)は死んだ」と言いました。しかしプロモーションでは常にその名前が使われます。コンテンダーシリーズの頃の自分を好ましく思っていない今、プロモーション映像などで以前の自分を見るのは嫌なものですか?

※『ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ』を激しい試合で勝ち上がったパイファーを例に、ダナはしばしば「『Be Joe Pyfer』(ジョー・パイファーになれ)」と語っていた。

「この6週間の人生を考えると、ああ、今は見たくないな。ただ、俺の相棒がInstagramに投稿してくれたビデオがあるんだ。儀式的な計量の時に俺が言った『誰でもよかったはずだが、神が俺を選んでくれた』という言葉。あの瞬間の自分は誇りに思う。そして彼女のアシュリンにどれほど愛しているか、残りの人生を彼女と一緒にいたいと伝えたことも。俺は今、精神的に本当に良い状態にいるんだ。

『Be Joe Pyfer』としての俺、かつての人間としての俺は死んだ。だが『Be Joe Pyfer』という言葉は、人々をインスパイアするもっと大きな意味を持って生き続けるだろう。今はそれに意味がある。今の自分を誇りに思っている。毎日厳しい選択を迫られるが、今やっていること(信仰に基づいた正しい生き方)が実は一番難しいことなんだ。世の中の悪が攻撃してこようとするから、ますます難しくなる。そういう仕組みなんだよ。だから『Be Joe Pyfer』はこれからも存在するが、今は違う意味を持っているんだ」

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